日本と発展途上国でのモノ造りの違い。良い点、悪い点。

日本以外で、アジア(東南、南)とアフリカで仕事をしていたことあります。。

アフリカ地域について、
南アフリカはわかりませんが、自分が行った国は機械産業があまり発展してませんでした。
工場は食品系「水、ビール、コカ・コーラ、お茶、お菓子」の工場。あとはセメント工場など。
機械製品を扱うのは農業機械、食品機械の製造工場が少し、小さくあるくらいでした。

そしてあとは修理工場。部品をゼロから造ることはなく、
壊れた部品を直すために修正、加工を加える工場ばかりでした。

東南、南アジア地域は流石にアフリカ地域程の状況ではなく、様々な機械産業があって発展してますが、日本と比べるとその品質は圧倒的に落ちます。

こうやって、日本と他の発展途上国で働いていて、モノ造りに対する姿勢で気づくのは以下の所です。
(アフリカが日本と正反対で、アジアは日本とアフリカの間といった感じです。)

日本⇒計画した性能100%通りにモノが動くことが重要
途上国⇒モノがとりあえず動いていればOK

具体的には、、
●モノを作る時。
日本⇒「明確に計画した(設計した)100%の形状、性能通りにモノができること」
途上国⇒「凡そで計画した(設計した)コンセプトでなんとか動けばOK」

日本は製作前にきちっと性能・形状を決めます。
そして、その通りに造ります。
ただ、途上国はそんな明確に計画せずにざっくりとしたコンセプトで造り、そのコンセプトで、まー動けばOK。というスタンスです。

例ですが、、エンジンを作るとして、、、
日本だったら性能(回転数、出力)決めて、それに合わせて形状を作りますが、途上国だったら、回転すればOKといった感じです。


●モノを使ってる時。
日本⇒その製品が100%状態であること
途上国⇒製品が動いていればOK

日本は常にその製品が100%状態であることを気にします。ねじ1本の脱落、
少しの油漏れ、エアー漏れ、異音も気にします。

一方、途上国ではそんなこと気にしません。動いていれば、OK。
タイヤのねじが1本ない。異音ばっかり、ライトがつかないクルマをよく見ます。

●モノを管理する時。
日本⇒壊れる前に直す
途上国⇒壊れてから直す

モノを使ってる状況がこんな状況なので、
日本は定期的にモノを点検して、壊れそうな部品は交換して、壊れる前に直します。
途上国は、完全に壊れたら直すといった状況です。

日本は、クルマは車検をして、部品が壊れる前に交換します。
途上国は、、壊れてから、動かなくなってから直す。ことしょっちゅうです。

●モノを修理する時。
日本⇒当初の性能通りに動くように修理
途上国⇒なんとか動くように修理

日本は壊れた時も、最初の性能通り動くようにちゃんと修理します。
正規の部品を準備して、交換して、きちんと直します。
一方途上国は、
ありあわせの仮の部品をつけて、動けばOKとしてしまいます。


何故かというと。。。途上国では、

【モノが手に入らない】
例えば、、
日本では、ねじは簡単に手に入ります。色々なサイズ、長さのねじありますが、手に入らないなんてことはないです。
一方途上国では、このタイプのねじはない、この長さのねじはない。といったことが良く起こります。
エンジン専用部品など、特殊な部品はさらに手に入りません。

なので、発展途上国では当初の状態で製品を使う、保つ、修理するといったことが簡単ではないです。

【不確定要素が多い】
発展途上国は計画が急に変わる。雨で道路網がマヒする。
明日手に入るはずのものが1カ月来ない。
突然予定していた人が来ない、といった具合に明日のことがわからない。
計画が立てづらい環境です。
日本だったら、「A部品の製作に2カ月」としたら、
2カ月ですが、途上国では、、???です。
なので、
より「今ここにあるモノでとりあえずなんとかしよう」
という意識が強いです。


【自分達の工場で製品つくりを完結することが多い】
分業が進んでいない、産業が発展してないこともあって。
途上国では他の工場で部品製作を頼むこと少ないです。
自分達の工場でモノを最初から、最後まで造ることが多いです。
自分達の工場で修理もなんとかする。

日本だったら、色々な協力先を見つけて、そこと協力しながら製品を作り上げることが多いと思いますが、そんなことがあまり多くないです。

自分達の工場だけでモノを造りあげます、、、なので、ちょっとくらい計画と形状が違っても、その現場合わせで何とか造りきってしまいます。


【モノを大切する意識が弱い】
モノの扱いが雑です。
ねじを無理やり締め付けようとして、ねじ潰すとか、
製品をかなりの高さからドンと落としたり、
モノを丁寧に扱わないことが多いです。
なので、上記で書いたように多少の油漏れ気にしない、機械が汚れていても気にしません。

発展途上国なので、
モノが手に入りずらい⇒モノが壊さないよう大切に扱うとなりそうですが、、、逆です。。
教育によるものなのかな、、と思っています。。

とはいえ、日本でも機械の扱いが雑、汚いところもありますので、平均的に見て、という話です。


【緻密にモノを作ろうという意識が弱い。】
上記のような状況なので、完璧なモノを造る意識が弱いです。
何とか動く、60-70%の完成度でOK。それ以上の部分は気にしません。
なので、細部の不具合は気にしませんし、100%に持っていく作業が苦手なように感じます。

あとは、日本はモノ造り、技術に誇りを持ってる?ためなのか完ぺきなモノ造りたがります。。自分は日本の良いところだと思ってます。


なので、
途上国は環境のせいか、意識の違いか、、、、
「整ってない環境の中、なんとか動くものを造る」
といったことが得意です。

モノが十分になくても、
その場のあり合わせのモノでアドリブを利かせて、
なんとか動くレベルもの造る、修理する。
なんてことが得意です。

日本人ではなかなか思いつかない、独創的な発想も出してきます。
これはすごいと思います。

ただ、とりあえず動くようにしたけど、、なんで動くようになったかよく分からない⇒なので、これ以上良くする方法も良くわからない。次回にも活かせない。といったことが良く起きます。

あと複雑な部分をつくるのには向かないかと思います、

日本は、
環境が整ってる中で計画を立てて100%のモノを造ることが得意です。

●計画をたてて、トライ&エラーして、その原因分析、改善を繰り返して緻密で複雑な物を作ることが得意です。PDCAが得意ってことですね(笑)
ただ、環境が整ってないと苦しい時もあります。

モチロンこんな簡単に一括りには分けられず、地域によって、人によって、業種によっても違いますが、こういった傾向があると思います。


発展途上国が発展して、モノが手に入るようになったら、、、
日本人が何もない途上国の環境に放り込まれたら、、、
どうなるか、、、興味あります。

どっちもすごい点もってるかと思います。
この途上国の人の独創性、持っていきたいと思います。

ではでは


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