2021/04/17; バンドを組んだぜ

去年の暮れにギターを買った。以来ちょこちょこと練習を続けてきて、先日初めてドラム・ベースと共に演奏する機会を得た。私たちのバンドの、記念すべき第1回目の練習である。私はというと、同じバンドのメンバーとは言え人前で、しかも大音量でギターを鳴らすのは初めてで、ひどく緊張した。普段の倍くらい手に汗を握り、ぽろぽろと拙い音を出した。メンバーについていくことに精一杯だった (というかついていけなかったのだが)。練習を終えた頃、私はぐったりして「何とか乗り切った...」とこぼすことしかできなかった。

帰宅すると、メンバーから音声ファイルが届いていた。私たちの初めての演奏を録音したものだ。正直聞きたくない気持ちが強かったが、恐る恐る再生ボタンを押す。メンバーの出すカウントが聞こえ、イントロが始まる。

私は、演奏中の風景を思い出していた。初めはミスをした場面ばかりが思い出されたが、繰り返し聞いているうちに良かった場面も浮かんできた。必死に指を動かしながら、ドラムやベースの音に耳を澄ます瞬間、偶然目が合ったメンバーと微笑みを交わす瞬間...。拙い演奏の中にも、メンバーと心を通わす素敵な瞬間が数多くあったのだ。それらの瞬間は、広い砂浜に散りばめられた、キラキラ光る虹色の貝殻のように美しく思えた。

あの貝殻を拾い集めに行きたい。いや、行かなきゃいけない。そう思った私は、既に砂浜の上を駆け出していた。これから、砂に足を取られ転ぶこともあるだろう。砂浜のあまりの広さに途方に暮れることもあるだろう。けど見ているだけで満足するような自分だけの貝殻を手に入れるまで、止まるつもりはない。

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