2020/08/09; ボルダリング体験記

先日、初めてボルダリングを体験した。その時のことを話そうと思う。

ボルダリングに対する印象は、「懸垂できればできそうだし、そんなに難しくなさそう」というものだった。そんなことを言うと必ず、それは間違ってるとか、そんなに簡単じゃないとか言われるのだが、言われるだけでは具体的に何が難しいのかピンとこない。これは1度やって確かめてみなくては...と密かに考えていた折、たまたま友達が行くと言うので、ついていくことにした。

結論から言うと、みんなが難しいと言う意味がわかった。俺は筋力があればできるでしょと思っていたから簡単そうだと思っていただけで、ボルダリングで大事なのは筋力だけではない。むしろ筋力よりも、体の重心をどこに置くとか、どういう経路で登るとか、足場のどこを掴むとか、そういう技術の方が大切なのである。

初めてなので、簡単なコースから始める。この辺りは筋力だけで登れるので、やっぱり簡単じゃんと思っていた。しかし徐々に難しいコースを登り始めると、みんなが難しいという意味がわかってきた。筋力だけではどうにもできないところが出てくるのだ。登っている最中に上を見て、「あんなの届くはずがない...!」と絶望し、何回挑んでも届かない。まさにゾロが初めてミホークと戦った時のあれだ。「こんなに遠いはずはねぇだろう」と俺も思った。

しかし、上手い人が登るとどうだろう。ひょいひょいと簡単そうに登っていくではないか。コツを聞いてみると、「腕を高く伸ばすために、1回右側に体重を乗せて、それから膝を伸ばして腕をあげるんです」と。なるほど、体重のかけ方が大事なのか。そんなこと全く考えてなかったぞ。
その通りにやってみると、なんと数回で届いた!あんなに遠かったあの足場に!喜びで思わず笑ってしまった。中学生の頃の野球部で、滅多に打てなかったヒットを打てた時のことを思い出した。あぁ、嬉しいってこういうことだ。

ボルダリングは、ゴールやゴールまでの道筋がはっきり見えているので、打ちひしがれて挫折みたいなことも起きにくいし、素晴らしい趣味のような気がする。壁を登っていくという行為自体が、楽しいし、人生の壁を乗り越えることを暗喩しているようで達成感がすごい。

壁を登る人の姿は、とても美しい。必死に壁を登っている友達を見ていると、そんな考えがごく自然にわいてきた。何かこう、壁があったら越えるんだという人間 (というか動物?) の本質を垣間見た気がして、とても美しく見えたのだ。そして登り切れた後の混じり気のない笑顔、素敵と呼ばずに何と呼ぶのか。

あと今思い出したが、高いところから飛び降りるという子供の頃にしか味わえなかったあの感覚を久しぶりに感じられたのもよかった。大人になった今、高いところから飛び降りる感覚を覚えている人はいるだろうか?ぜひボルダリングで思い出してみてほしい。

そんな色んな気持ちを1度に味わわせてくれるボルダリング、また行きたいな。なお、翌日上半身全部が筋肉痛となり、ろくに動けなかったことは言うまでもない。

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