2020/12/03; 世界ってみんなの仕事で出来てんだね

先日のこと。会社から支給されたハンコをぼんやり見ていると、ハンコの販売者が目に入った。今まで何度も目にしていながらも、無視してきた文字である。「◯◯堂 ××店」 お店の名前と、会社からすぐ近くの地名が刻まれている。このお店は、うちの会社に大量のハンコを卸すことで売上を確保しているんだなぁ...。何となく自分が誰かを支え、同時に支えられているような気持ちになり、悪い気はしなかった。

子供の頃から疑問に思っていたことがある。普通の家と何ら変わらない建物に掲げられた、小さい「株式会社」の看板。子供の頃の俺は、株式会社といえば何かを大量に作って大量に売っている、でっかい組織のことだと思っていた。あの家が株式会社...。あんな小さいスペースから何が生まれるんだろうか、儲かっているのだろうかと、不思議だった。

疑問はいつか忘れられ、解消されないまま大人になった。そして大量に作って大量に売る、株式会社の一員になった。そんな折に目にした「◯◯堂 ××店」の文字は、人目少ない路地裏の、何を作っているのか知らない、小さな「株式会社」を鮮やかに想起させた。そうか、あの「株式会社」は、近くの会社に商品を卸すことで生計を立てていたんだ。

ある土地に居を構えた大きい会社に、地元の小さい会社が品物を卸す。大きい会社はその品物を買う。そうやって地域は振興すんだね。この世界、支え合ってできてんだね。素晴らしいじゃないかい。

そんなことを思いました。

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