2020/04/19; ひますぎて散歩した

社会人になったら、休日にカフェへ赴き読書をするという生活を思い描いていた。家では読書をなかなか進められない自分でも、カフェに行けば捗るだろうという算段だ。けど、そういうことが難しい世の中になってしまった。

とにかく家にいる時間が増えた。元からインドア派だったのでそこまで苦痛ではなかったが、休日、それもこんな晴れてる日に、家でYouTubeを見てる自分に嫌気が差した。そうだ、散歩行こう。

とは言え、軽い足取りで家を出たわけではない。家にいる時間が長すぎて、重たく固まった体に鞭を打ちながら支度をした。

正午過ぎ、ようやく家を出る。ほとんど雲がない青空に、暖かい風。え、いいじゃん。急激に体が軽くなった。鼻歌混じりに歩き出す。BGMはチャットモンチーの「風吹けば恋」だ。

歩くと暑い。軽く汗ばんできた。桜はすっかり衣替えを済ませ、きれいな緑色になっていた。
あぁ、人間がコロナウイルスに戦々恐々としている間にも、冬が過ぎ、春が来ていたんだな。そして今、もう待ちくたびれた夏が、耐えきれなくなって暖かい風を吹かしてきている。社会の形が目まぐるしく変わる中、毎年変わらず存在する四季が、妙に頼もしく思えた。

人間がコロナウイルスを克服した時、社会の形は以前と大きく変わっているだろう。私たちの世代が生きるのは、その、変化した後の時代である。言い換えれば、コロナ後の世界を作っていくのが私たちなのである。私たちを生かすも殺すも、私たち自身だ。幸せな時代を作っていくためにも、今の社会をよく知り、理想を掲げ、必死に生きていかなきゃいけないな...歩きながらそんなことを考えた。

家の周りは山がちな地形なので、急な坂が多い。坂を見てうなだれたが、せっかちな夏の風が、私の背中を押してくる。暖かくて柔らかい。頑張れってか。
なぁ、もうちょっとだけ強めに押してくれ。そしたらこの坂も越えられる気がするんだ。

P.S. 
坂を登りきり、少し下ったところに公園があった。暇を持て余した子供たちが、無邪気な顔で遊んでいる。めちゃめちゃ楽しそうだ。
少年少女よ、世界って素晴らしいよなぁ。コロナ後の世界はもっと素晴らしいものにしてやるからな。

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