2020/06/02; 俺のamazarashi観を聞いてくれ
Twitterを見ていると、次のツイートを発見しました。
https://twitter.com/amazarashi_info/status/1267757854548586496?s=21
amazarashiは、僕の好きなバンドです。かなり好きなんですが、その独特な世界観と過激な歌詞から、人にはあまりオススメしていません。「こんな音楽聞いてんの?」と言われるのが怖いんです。そんな野暮なことを言ってくる奴は鼻フックをぶちかましてやりたいのですが、そこまで強気になれていません。
一方、人に言えないというこの気持ちが、自分自身がamazarashiを蔑んでいることを裏付けているようで、非常に悔しい気持ちを抱えていました。
だからこの場で、僕のamazarashiに対する思いを述べておきたいと思いました。
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amazarashiに出会ったのは中学3年生くらいの時でした。当時テレビ神奈川でやっていた音楽缶という番組で、たまたま「光、再考」のPVを見ました。特徴的な低い声や変なバンド名、謎の生命体がフューチャーされたPVに、当時の僕は嫌悪感さえ覚えました。
姉は「光、再考」を気に入ったようで、進んでPVを視聴していました。何でそんなの見るの?と聞くと「クセになる」みたいなことを言っていた気がします。僕は「えー嘘でしょ?」とか言いながら、何となくamazarashiに対する気持ちがいい方向に変わってきていることに気づきました。気づいていながら、その気持ちを押しつぶそうとしていました。
そんな折、音楽缶でamazarashiの別の楽曲「夏を待っていました」が放送されます。この曲が我が家では大絶賛でした。やはりPVは訳の分からない生命体が登場する、あまり気持ちの良いものではありませんでしたが、それを抜きにして、アレンジや詩的な歌詞がカッコいい。
一方で僕は、じわじわと湧き上がる「amazarashi、いいじゃん!」という気持ちをまだ認められず、「何がいいのか分かんない」などとふざけたことを言っていました。
すると姉は、すぐさまTSUTAYAでamazarashiのアルバム「千年幸福論」をレンタルしてきます。これを聞いて、ようやく僕は自分の気持ちに気づきました。詩的な歌詞に、それにぴったりの繊細なピアノと深い黒色の声。これまでに聞いたことのない音楽でした。
高校時代、通学時間の多くをamazarashiとともに過ごしました。けど、当時はあまり歌詞に注目していなかったように思います。聴いていた理由はアレンジがカッコ良くて、とかだった気がします。amazarashiの1番の魅力に気づくのはもう少し大人になってからというわけです。
あまりamazarashiを聴かなくなって数年が経ちました。大学院生になって、たまたまYouTubeでamazarashiの「名前」という楽曲を耳にしました。以下、歌詞の引用です。
“時には大袈裟な看板を背負わされて 時には言われない不名誉を着せられて
君のこれまでをいっぺんに語ることができる名前なんてそうそうないよな
だからどんな風に呼ばれようと好きにやるべきだと思うよ
君を語る名前が何であろうと 君の行動1つほどには雄弁じゃない“
当時僕は研究が上手くいかず自信を失い、周囲の人間はみんな僕を「まともに研究できないザコ」として馬鹿にしているだろうと恐れていたもので、この楽曲にはすごい勇気をもらいました。
こんな歌詞、普通書けますかね??すごくないですかこれ。
それからもっと俺を励ましてくれと言わんばかりに、amazarashiの歌詞を片っ端から読み始めました。高校生の頃に聞いたより、よっぽど心に突き刺さってきます。以下、あの「光、再考」の1節です。
”どこへ行けばいいんですか いきたいとこへ勝手に行けよ
何をすればいいんですか 僕は誰に尋ねてるんだろう
何か始めようと震えてる ジャングルジムの影が長くなって
僕は今から出かけるよ ここじゃないどこか
そんな光”
この曲の歌詞が何人を絶望から救ったことでしょうか。僕は絶望ほど気を落としていたわけではありませんが、何度もこの歌詞を見て自分の気持ちに折り合いをつけてきました。
amazarashiの歌詞は、とにかく考え抜かれています。それ故に、洗練された哲学が概念的に、あるいは詩的になるのと同じように、amazarashiの歌詞も非常にとっつきにくいものになっています。万人には伝わらないかもしれませんが、一度引き込まれると物凄い力を持っていることに気づくと思います。
かなり回り道をしましたが、冒頭Twitterのリンクで紹介したamazarashiのライブ、是非見てみてほしいんです。amazarashiを知らないだけで必要としている人は、きっといっぱいいると思います。そういう人に届いたらいいなぁと、amazarashiの1ファンとして思うわけです。
P.S. 気になった人は「ナモナキヒト」や「それを言葉という」「無題」「さよならごっこ」など聴いてみてください。オススメです。
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