2021/02/05; 自分の役割とは

最近残業が多いことは前に書いた。先輩が心配してくれてありがたいということも書いた。そんな素晴らしい先輩たちの力になりたいと、今改めて思う。そのためにしなきゃいけないこと。勉強である。

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何事も胸を張って得意と言えない俺だが、昔からもてはやされてきたことがある。それが勉強だ。自分で言うのも何だが、俺は勉強ができた。

そのおかげで、高校までは調子が良かった。先生に東大行けるよと言われたり、友人に何でそんなできるのと聞かれたり。認められて、褒められて、悪い気はしない。そんなことないと謙遜しつつも、心の内で不敵な笑みを浮かべていた。

それが大学 (東大ではない) で研究を始めると、どうだ。俺は全く成果を上げられなかった。

研究では、知識と実験結果を自分の中で咀嚼し、次に自分が知るべきことは何か?という問いに答え得る実験を考え出さなければならない。勉強がインプットのみの作業である一方、研究はインプットとアウトプットを繰り返す作業なのである。

学生の俺は、実験結果を並べてうんうん考えてみるのだが、次にどんな実験をすべきか分からず、いわゆる「センスのない」実験をしてしまう。だから成果が出ない。たまらず先生に相談すると、こういう実験をやるべきだねと言われて納得する。研究者としてしょうもないわホント。つまり俺は、大学で1番恥ずかしい「勉強できても研究できないヤツ」だったのだ。

それでも何とか大学院を修了し、研究職に就くことになった。研究できなさを自覚していたので正直かなり不安だったのだが、研究以外で自分にできることも分からなかった。俺は、大学・大学院で (結果はともかく) 3年間は研究をしたという実績にすがるしかなかった。

企業で研究を始めると、案の定、優秀な先輩や同期に圧倒される日々。みんなアウトプットが早いし上手い...。あぁ、何故俺は研究職に就いたのだろう。だからやめておけば良かったのに。

ネガティブな思考が脳みそを圧迫する中、ふと客観的に自分を眺められることがある。突如訪れたその機会に、俺はあることに気がついた。

企業の研究は大学の研究と違い、1人でやるものではない。チームでやるものなのだ。チームでやるということは、役割分担が必要だ。それなら、俺は得意なインプットを担当して、アウトプットは優秀な人に任せればいいんじゃないか。

そうだ、間違いない。1人でやるんじゃないんだから、インプットもアウトプットも両方やろうとしなくていいんだ。俺は文献調査や基礎知識の収集に従事し、みんなが困っているときに「こんな情報ありましたよ」と助け舟を出す人になればいいじゃないか。幸い (?) 企業の研究者はみんな忙しいから、インプットはいくらか疎かになっているようだ。俺の存在価値をそこに見いだすしかない。勉強しろ、俺。

そして冒頭に戻る。よくしてくれる先輩を助けるため、俺は勉強をするのだ。成果をばんばん出す優秀な研究者になれなくとも、企業の研究に欠かせない人材になりたいと、俺は密かに誓ったのだった。

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