2021/10/09; 短歌に触れる

『万葉集-ビギナーズ・クラシックス 日本の古典-』を読み終えた。万葉集という奈良時代の歌集から、選りすぐりの歌を現代語訳・注釈付きで紹介してくれる本である。

なぜ急に古典の歌集を読むことにしたか?それを説明するには、私の近況から話さなければならない。

私は昔から、自分の感受性の鈍さに呆れていた。名著を読んでも「ふーん」、綺麗な景色を見ても「へぇ」。それぐらいの感想しか出てこない。そのせいで友人の達者な感想を見聞きしては、なぜ自分にはこんなにもセンスがないのだろうと落ち込み、嫉妬していた。noteで文章を書き始めたのは、感受性を何とか鋭くしたいという気持ちからでもある。

noteを始めたこともあり、少しは自分の感受性も磨かれてきたかなと思っていた折、ある友人からオリジナルの曲を作ろうと誘われた。私は育ててきたセンスで1曲作ってやろうと、意気込んでペンを握った。

ところが、何をすれば良いのか全くわからない。コード進行とかアレンジとか音楽的なことが分からないだけでなく、詞を書き出すことすらできない。何とか頭を絞って出た詞は、意味不明な駄文でしかなかった。センスないにも程がある。普段何気なく聞いている音楽がどれほど偉大かを実感するのと同時に、情けねぇ〜という気持ちが込み上げてきた。

かくして、私は自分の感受性の鈍さに打ちのめされたのだった。

音楽を作るという目標のため、まずは自分の感受性を何とかしなければならない。感受性を鍛えるには、感受性豊かな文を読むのが1番だろう。そこで辿り着いたのが短歌だった。

短歌は五七五七七のたった31文字で、あらゆる心情・情景を豊かに表現する。まさに感受性の濃縮パックと言ってよい。短歌に触れ、31文字から世界を想像することで、感受性は養われるに違いない。『万葉集-ビギナーズ・クラシックス 日本の古典-』を手に取ったのは、そのためだ。

この本を読み終え、その選択は間違っていなかったと言える。今や自分の中に何らかの芽生えを、確かに見つけられる。生まれたばかりのこの気持ちに、ぴったりの名前を付けられる瞬間を、今は心待ちにしているのだ。オリジナルの音楽はきっと、名付けた気持ちから自ずと生まれてくるであろう。

本の感想については、また今度書く。

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