2020/05/17; お嬢様、まぜそば体験記!

本日はお日柄が良かったので、自宅近くの「ラーメン屋」なるものに出かけました。お店に入ると、威勢の良い男性の方が「ぃいらっっしゃいませ〜!」とのお出迎え。御元気だこと。
程なくして案内の者が現われました。「食券をお買い求めの上お待ち下さいね」最近のお店はメニューがなく、店先の自動販売機で注文ができるのです。お金を入れてボタンを押すと、ちょうど板チョコレートの1欠片くらいの紙が出てまいりました。もう1度押すと、やはりチョコレートサイズの紙が出てまいります。なくしちゃいけないようなので、肌身離さず持ち歩いている小物入れにしまいました。

さて、いよいよ私の番。案内の者が食券を回収に来たけれど、先の小物入れの具合が悪くて、案内の者と協力して開けなくてはいけませんでした。この小物入れはおばあさんからもらったものだけれど、そろそろ買い替えなくてはいけませんね。ようやく食券を渡すと、「んまぜそば大盛り1丁〜!!」この方も大変御元気でした。

席に着くと、眼前で調理が行われています。1度にあんなに多くの麺をゆでるところなんて見たことがありませんでしたから、気づくと私は口を開けてしまっていました。慌てて閉じたのですけれども、もう手遅れだったみたいです。料理人の方がこちらを見てにこっと笑顔を見せました。さっきまで全身全霊で調理をしていたのに...。けれども、素敵な笑顔でした。

私の元に「まぜそば」が運ばれてまいります。「よく混ぜてからお召し上がりください」先の料理人の方でした。私は「どうもありがとう」と一言発しましたが、なんだか上手く笑えなかったような、そんな気がします。

麺を混ぜていると、周囲の方々がズズーっと音を立てて麺を吸い込んでいることに気づきました。少し驚きましたが、皆さんそのようにお食べになるので、私もそれに従うことにしました。おろしたての服を汚してしまわないか不安を抱えながら、一口目をいただきます。

一口目を飲み込んですぐ、「なんて濃い味!」と思いましたが、不思議とお箸を持つ手は止まりませんでした。ズズ、ズズ、と絶え間なく麺を吸い込みます。いつものお食事とは全く違う味で、この気持ちが果たして「美味しい」なのかどうか、私には分かりませんでした。けれど、食べ終えた時に顔を上げると、先の料理人の方が、またこちらに爽やかな笑顔を向けていました。その時、私も笑っているんだと気づきました。あまりに自然な笑顔でした。

「ぁありがとうございました〜!」お店を出る時も、威勢の良い御元気な声です。1日中あんなに大きな声を出すのは大変なことでしょうね。窓からお店の中を覗いてみると、先の料理人の方は一生懸命に湯切りをしていました。

自宅までは散歩にちょうど良い距離でしたが、迎えの者を呼びました。迎えの者は、ラーメン屋の前にいる私を見てカラカラと笑いました。「案外お気に召したようでよかったです」「どうして分かったの?」「お嬢様の顔がいつもより明るく輝いていたので」

初めてのまぜそば、忘れられない思い出になりました。


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