息る宿る根づく
いのち。
それはひとつ。
ひとりにひとつ。
いのち。
それはすべて。
互いに響き合うもの。
個であるけれども、ひとつらなりに連なっている。
いのちと共に、いのちを頂いて生きる豪の中にいる私たち。
私たちはいのちそのもので、大きないのちのもとに育まれている。
でも現代を生きる私たちは、その大切ないのちを忘れかけている。
おろそかにしている。
他でもない自分自身の生身がいのちであるということも、
わたし自身がいのちの主人公であるということも。
わたしが生きていると感じるとき、
それはわたしが何をしようともそのエネルギーをとどめることができないような、
大きな自然のパワーを浴びるとき。
自分の無力さと小ささを知り、
抗えないけれども包み込まれている
そんな自然の一部に溶け込むとき。
人間には決して作り出すことのできない大自然の美しさ、
人工物でないものの個性。
その心に触れたとき、わたしのなかに大きなエネルギーが蠢く。
生きているということ。
生かされているということ。
感謝の気持ち、尊くおもう気持ち、
今この瞬間の音と空気と風の流れと匂いと温度と光は刹那であって、
毎秒ごとに儚く移ろってゆく世界。
流れ続けるこの時代の一片で、
わたしが生きるということ。
すこやかに、たおやかに。
わたしがわたしを生きるということ。
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今日は「いのちの教室」と題したイベントに参加させてもらい、樹林気功を提唱されている樹遷さんにお話を伺いました。
先生から紡ぎ出されるすべての言葉には深みがあり、真っ直ぐにわたしの中に浸透してくるものばかりでした。
上の文章は、先生の言葉をお借りしながら、私なりに受け取ったものを表現したものです。
私自身も常々、生きとし生けるもの、そしてその全てが自然であるということに美しさを見出していて、人間なんぞには到底敵わない大きな大きなエネルギーを感じる瞬間がとても心地よくて好きです。
土を感じ、木々を感じ、鳥のさえずりを感じ、波を感じ、太陽を感じ、空に手を伸ばすこと。
地球を感じ、宇宙を感じること。
そんな時いつも、人間はなんて思い上がった生き物なのだろうと思います。
そして、こんなちっぽけな私には何ができるというのだろうとも思います。
それでも私にできることがどれほど小さくても、すぐ隣にいる人を笑顔にできるなら、つらく悲しい気持ちの人の背中にそっと手を添えてあげることができるなら、それでいいんだとも思うのです。
それは連鎖して繋がって、次の誰かへ、次の誰かへ。優しい世界がじんわりと広がるんじゃないかと、そう信じていたいのです。
そして医療人にとって最も必要なものは、「人間に対する深い関心」そして「共感能力」だともおっしゃっていました。
私も一医療人として、病院で働く中で、施す側・施される側に上下関係が生まれてしまう風景を幾度となく見てきました。
そしてそこにものすごく違和感を感じる自分がいたのもまた事実です。
同じ人間に優劣があるのだろうか、その人よりほんの少し医学を学んだというだけに過ぎないのに。同じ人間であり、むしろ私たちよりもながくの時間を生きてきた先輩たちから学びとれることが沢山あるんじゃないだろうか。
病気を患った患者さんに対して病名をつけ、満足したようにフローチャートに沿った治療を進める医療にも疑問と不安を感じます。
なぜ病気が悪と扱われ、排除しようとされるのか。健康の定義さえもままならない人間が、どこまで自分の身体をわかって、私は健康だと言い切れるのだろう。
病気を患っていることをマイナスと捉える必要はない。病気を患っている人を可哀想だというのも違っている気がする。そう感じた時から、私は病気であることを、単にその人の「状態」と捉えるようにしている。堅苦しく考え過ぎずに、それぞれの人間の「身体の個性」だと捉えるとすごくすんなりと心に落とし込める。
慌ただしい臨床の現場で働いていると、治療の一部に携わるだけで、一人一人にじっくりと向き合い、家族構成を知り、話を聞き、心を触れ合わせ、寄り添うことができない。
それでも私は医療人として、「こころ」の部分を大切にいだいていたい。
私がなぜ医療人を目指したのか、その原点を振り返ればいつだってそこに答えがある。せわしなく状況が変化する渦の中で、目の前のことに一杯一杯になってしまうときもある。大切な根本をつい忘れてしまいそうに、波に飲み込まれそうになってしまうときもある。
それでもちゃんと私の原点を見つめ続けて、私の医療を見出していきたい。
いのちは私たちそのものだから。
医療もいのちの交流そのもの。
こんなに素晴らしい仕事を生業とできる私はなんて幸せものなんだろう。
今日は絹の柔らかなベールに全身を包まれたような心地で、深く深く眠ることができそうです。
心に触れる出会いと繋がりのご縁に感謝です。
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