帰りたい場所
生まれてから、いろんな場所に住んだ。
子供の頃、親に守られながら暮らしていた実家。
温かい思い出もたくさんあるけれど、帰りたくない日もたくさんあった。
自分が鳥かごに押し込められているような窮屈な生活。
いつの日か、早く、この場所から逃れて、自由な世界へ行きたいと願っていた。
結婚を機に、私はあらたな場所で生活を始める。
フルタイムで働いていた私は、疲れて眠りにつくだけの家だった。
そして、今現在も暮らしている家に住むことになる。
20年近く経つが、そのうち8年は海外で暮らしていた。
日本には帰りたいと思っていたが、今の家に戻りたかったかと言われるとそうでもない。
私が「帰りたい場所」はまだ定まっていないのかもしれない。
時々、夕方、家路を急ぐ時に、人の家の窓からこぼれている、温かい灯りがとても心に迫ることがある。
私が帰りたい家は、1日の終わりをそこで心置きなく迎えられる家かもしれない。
何年先になるかわからない、そして今住んでいる家かわからないが
そのように感じられる、棲家、帰りたい場所があるといいな。
私が好きなこの曲のように
竹内まりや「家にかえろう〜マイ・スイート・ホーム」
山根あきらさん
青ブラ文学部
お題:『帰りたい場所』
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