くされ縁
「今月、生活費が足りない、2万円貸してくれ」
この言葉が引き金となり、私とあなたに繋がれていた、腐れ縁、鎖のような縁は繋がらないものになった。
あなたと出会ったのは、出会い系。
と言っても、直接パーティ会場で知り合った。
あなたも友達のお付き合い、私も友達のお付き合いで参加。
めでたくカップルになり、その日からお付き合いは始まった。
恋のイロハを教わったのもあなた
最初は何もかもが鮮やかな恋で、楽しい時間だった。
こんな時間がずっと続けば良いなと思ったけれど、いつしか私は都合の良い女ではないかと思った。
あなたは酒豪で、二人で行くお店は、あなたが選んだお店ばかり、いつもきっちり割り勘は、割りに合わないなとも思いだしてきた。
いつしか、デートのコースもほとんどあなたの家、車を持たないあなたの家に電車を乗り換えてバスで通う。
車窓の風景も回数を重ねると、悲しい色にうつってきていた。
いつまで、こんな生活続けるのかな。。。
と思っていたところ、お金を貸してくれ、しかも2万円は痛い授業料だった。
お金と引き換えに、私は私の身体に絡みついていた鎖のような、腐れ縁を切り離すことができたと思う。
でも、そんなに簡単な話でもなかった、今でも、あたなのことは思い出してしまう。
初めてもらった、私の誕生石の左薬指のリングは捨てられず、引き出しにしまわれたまま、街で似た人を見ると、ドキッとしてしまう。
私の中のあなたの姿は20代の私より4つ年上、今では55歳となっているはず。
山根あきらさん
青ブラ文学部
「腐れ縁だから」
に参加します、よろしくお願いします。
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