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【創作大賞2023】漫画原作部門 応募作品『終極のメシア』第一話 

第一話『少年と賢者』

◼️辺境の国オデッサ とある海岸
砂浜に寝転がるシャイン「時間が幻なら、過去や未来はないってこと?」
傍に立つ小人「何だ?また独り言か?シャイン」
シャイン「海が言ってるんだ、ボクに」
小人「あぁ、また例のあれか」「お前の…その…なんて呼べばいいんだ?その能力は」
シャイン「ボクのこの力はヴリルには含まれない」「名前なんてないよ」
小人「六つの標『ヴァヴ・オース』…」「お前も不運なやつだ、もっと役に立つ能力…例えば〜瞬間移動とか…ヒーリングとか?そんなのがあればこの能力主義社会でも上手く立ち回れたのにな」
体を起こすシャイン「まるでボクが上手く立ち回れてないような言い方じゃないか」「ボクは今の生活には困ってないよ」「母さんもいるし、お金にも困ってないしね!」
小人「しかし、その母親も今は病気で死にかけてて、父親は莫大な遺産を残して消息不明」「オレの目には哀れにしか映らないね」
シャイン「そんな言い方ないだろ!」
空を見上げるシャイン「父さんは偉大な探検家だった…」「ボクもいつか父さんみたいに世界中、いや宇宙の銀河を股にかけるんだ!」
小人「その偉大な父親ってのが、何で宇宙で行方不明になるんだ?」
シャイン「それは…誰も行ったことがない未開のエリアを旅してたからで…でもきっと生きてる!」「この宇宙のどこかで父さんは生きてる!!」「ボクはそう信じてるんだ!」
小人「どうだか…」
立ち上がるシャイン「じゃあボクはそろそろウチに帰るよ」「母さんが待ってるし」
小人「おう、そういやお前んとこにもチラシが来てるんじゃないか?」
シャイン「何のこと?」
小人「手配書だよ」「なんでも今世間を騒がせている革命勢力ガイアを離脱したっていう三人組がいてな」「ヌーナがそいつらを必死で探し回ってるんだ」
シャイン「どうでもいいよ」「じゃ、ボク行くから」

◼️町に向かうシャイン
突然頭の中に声が響き、めまいに襲われる
シャイン「何だ?これ…」
謎の声「た…けて…じ…を…けて…」「も…ぐ…てく…」「はめ…が」
シャイン「え?」「何?」
突然目の前に海が映る
シャイン「!!?」
謎の声「助けて…人類を」「もうすぐ…破滅が…やってくる…」
目の前から海が消える
シャイン「!?」「何だ…今の」「破滅…?何のことだ?」

◼️シャインの自宅
シャイン「ただいまー」
アリス「おかえり、シャイン」
シャイン「寝てていいよ!ボクがやるから!」「今日は顔色いいね、母さん」
アリス「夢を見てね…あなたが仲間と一緒に元気で世界中を旅する夢を」
シャイン「……ハハッ、それは現実にはなりそうにないね」「ボクには仲間どころか、友達の一人もいない…」
アリス「シャイン…あなたにはいつか必ず仲間ができる」「私がもし死んだら…その後どうやって生きてくんだい?」「人は…ひとりぼっちでは生きていけない」
シャイン「……母さんは死なないよ」「それとも、母さんの看病を毎日しているボクを信用できないの?」
アリス「私はあなたを信用しているわ」「でも…自分の運命は変えられない」「私はあと少しでこの世界を旅立つ」「分かるのよ…自分にもね」
怒るシャイン「そんなこと言わないで!母さん!」「母さんは死なない!」「ボクが守るから!!」
アリス「シャイン…私はこの世での使命を果たし終えた」「もうこの世界にとどまる理由はないわ」「あるとすれば…シャイン」「あなたがひとりぼっちになることが気がかり」「仲間をつくりなさい、シャイン」
夕飯を作るシャイン「仲間なんてできないよ」「母さんも見てきただろ?この狭い国でボクが周りからどう見られてきたか」「この国の奴らは…能力主義社会で役に立たないボクのことを…ずっと蔑んできた!」
アリス「あなたの能力は素晴らしいわ」
シャイン「そんなことない」「自然と話す能力なんて…誰の役にも立たないよ」
突然腕が痙攣し、オタマを落とすシャイン
アリス「まだ治らないみたいね…その病気」
シャイン「治ることなんて期待してない…この病気とは一生付き合っていくしかない」「!」
テレビで流れるニュース番組に気を逸らされるシャイン
シャイン「……」
アリス「あぁ…今朝からずっとこのニュースばかりよ」「世界中で今…テロが起こってるみたい、自爆テロや民間人を巻き込んだテロ、犯人は不明らしいわ」
シャインの脳裏に浮かぶ例の謎の声
(助けて…人類を…もうすぐ…破滅が…やってくる…)
シャイン「母さん、あとは炒めるだけだから」「ボク…ちょっと用事を思い出して」
アリス「いいわよ」「後は自分で作るから」「気をつけてね」

◼️町を小走りで駆けるシャイン
町の人たち「見て…あの子だわ」「父親の遺産があるからって、よくあんな平気な顔ができるわね」「近所付き合いもしないで…」「変な病気を抱えているらしいわ」「知ってる」「母親はレプティリアン…まぁ恐ろしい…」「あの子を見ると私の波動まで下がっちゃう」
聞こえないふりをするシャイン「………」

◼️王宮
オデッサ国王トゥグリル4世「久しぶりじゃないか、よく来たなシャイン!」
シャイン「ど…どーも」
トゥグリル4世「君も知っていると思うが、今王宮は忙しい」「例のテロ事件でな…世界中で同時多発的に起こってるんだ」「まぁこんな辺境国には及んではこないと思うが…」
シャイン「そのことで、王様に伝えたいことがあって…」
トゥグリル4世「ほぅ…というと?」
シャイン「実はさっき…妙な声を聞いて」
トゥグリル4世「!」「妙な声?」
シャイン「あ…ボクも半信半疑なんだけど、それが…地球の集合意識がボクに語りかけてきた…
っていうか…その…つまり」
顔をしかめるトゥグリル4世「……」
シャイン「その声はこう言ったんだ」「助けて、人類を」「もうすぐ破滅がやってくる…って」
一瞬、沈黙が流れる
息を吐くトゥグリル4世「……シャイン、君も知ってるだろう?私がその…そういったいわゆるオカルト話には興味ないと…」
シャイン「えぇ…でも」
トゥグリル4世「君が昔っから自然物の声を聞けるというのは、私の旧友であり君のお父上でもあるサン・エナメルから…耳にタコができるくらい聞かされている」「だがな…普通に考えてみろ」「我々人類の一部には、確かにヴリルと言われる特殊能力を持つ者がいる」「だが…ヴリルとは六つの種類に分けられる、君も知っているだろう」
シャイン「えぇ、六つの標(ヴァヴ・オース)ですよね」
トゥグリル4世「そうだ、だがその中に自然の声を聞けるなんて能力はない」「すまないが、たとえ私がその話を信じても…議会は耳も傾けないだろう」「自然と会話できるなんて…世界的に見ても前例がないからな…」
シャイン「……そうですよね」(やっぱり、ボクの能力は何の役にも立たない…)
トゥグリル4世「用事はそれだけか?」
シャイン「はい…」
トゥグリル4世「途中まで送ろう」
王宮の兵士「国王」
トゥグリル4世「入り口まで行くだけだ、心配ない」

◼️王宮入り口
トゥグリル4世「本当にいいのか?家まで送らなくて」
シャイン「大丈夫ですよ」「それに、今忙しいんですよね?」
トゥグリル4世「あぁ…早く事件が解決すればいいが…」
王宮の西側に立つ時計塔を見上げる二人
トゥグリル4世「今は夕方の6時か…もうすぐ日が沈む」「そろそろ帰った方がいい」
シャイン「!」
日が沈む方角から低空飛行で飛んでくる宇宙船
トゥグリル4世「?」「何だあれは?」「こっちに飛んでこないか?」
異変に気づくシャイン「伏せて!!!」
その瞬間、宇宙船が時計塔に激突する
慌てて王宮の外に駆けつける兵士たち

◼️王宮の向かいにある森の中
望遠鏡で崩落する時計塔を見つめる謎の男「始まったか…」
その男の後ろには別の二人の男が立っている

◼️翌日 時計塔跡
事件現場の調査をするドラゴンゲート
トゥグリル4世「お前たちにしては、来るのが随分早かったな」
ドラゴンゲート長官セザンテス「世界連合ヌーナから軍に警告されていたんですよ、テロに注意しろとね」「まさかこんな辺境国でも起こるとは思えませんでしたが…」
トゥグリル4世「……」
セザンテス「それよりも国王、あの少年ですか?事件当時あなたと一緒にいたというのは?」
シャインのいる方に目をやるトゥグリル4世「あ…あぁ、だがあの子は無関係だ」「私の友人の子でね」
腕の痙攣が止まらないシャイン「……」
セザンテス「友人とは?」
トゥグリル4世「……サン・エナメルだ」
セザンテス「!?」「あの天の川銀河単独横断を成し遂げた、伝説の探検家サン・エナメルですか?」
トゥグリル4世「成し遂げてはいない…奴は銀河横断中に謎の通信障害に遭い…消息不明となった」
セザンテス「えぇ…ですが、子どもがいたとは…」
ドラゴンゲートの兵士「長官!」「生存者を一名、確保しました!」
セザンテス「何!?」「生きているのか?」
兵士「はい!ですが、虫の息でして…」
兵士の後ろには瓦礫に埋もれた血まみれの男がいる
血まみれの男「ハァ…ハァ…」
セザンテス「この宇宙船で何があった?」「テロリストにハイジャックでもされたか?」
血まみれの男「俺たちが…ハァ…ハイジャックした…」「ハァ…俺たちは…ロスト・リリジョンだ!」
セザンテス「!!」
トゥグリル4世「!!」
シャイン「ロスト・リリジョン?」
トゥグリル4世「世界連合ヌーナの打倒を目指している過激派組織だ」
セザンテス「そのロスト・リリジョンがなぜ今回のテロを起こした?」
血まみれの男「ハァ…お前らは知らない……ヌーナよりもさらに…ハァ…上の組織を……」「そこは完全に奴らに牛耳られている…ハァ…そして奴らは…あることを企ん……」
セザンテス「?」「おい!」
首を横に振る兵士「ダメです」
トゥグリル4世「どういうことだ?」
セザンテス「さぁ…」「ですが、本部に問い合わせれば何か新しい情報が分かるかもしれません」「私は本部に今のことを連絡してきます」
走り去るセザンテス
トゥグリル4世「あぁ」
すると野次馬の中から騒がしい声が聞こえてくる
野次馬「あの子だよ!」「あのシャインって子がこの国に災いを招いたんだ!!」「そうだ!」「私もそう思う!」
困惑するトゥグリル4世「な…何を言ってるんだ!?」
シャイン「……」
野次馬「その子の波動が落ちたから、こんなテロなんかを引き寄せてしまったんだ!!」「そうだそうだー!!」
シャインを見つめるトゥグリル4世
シャイン「じゃあ…ボク、もう帰りますね」
野次馬「逃げるのかい!?」「何とか言ったらどうなんだ!!」
シャイン(そうだ…ボクに仲間なんていない)(でも…それでも構わない)(母さんさえ生きてくれれば…)
その時、謎の三人組が野次馬に紛れて声を上げた
「それは間違っているぜ!」「奥さん方」
野次馬「!?」
謎の男「この少年の波動は下がっていない」「つまり今回のテロ、そう…ネガティブな現象をこの国に引き寄せたのは、彼じゃないぜ」
野次馬「な…何を言ってるんだい?」「アンタらは……」
シャインに向けて何かの機械を向ける三人組の一人「ほらな?シグネチャーカウントで測っても、小僧の周波数は高いまま維持されている」「一般人でこんな数値は見たことない…」
謎の三人組を見た野次馬の一人が叫んだ
野次馬「手配書と同じ顔……!」「まさかアンタら……例の革命勢力ガイアを離脱したっていう…」
「三大賢者か!!?」
シャイン「三大…賢者…?」
シャインの脳裏に今朝砂浜で聞いた言葉が響く
(なんでも今世間を騒がせている革命勢力ガイアを離脱したっていう三人組がいてな)(ヌーナがそいつらを必死で探し回ってるんだ)
シャイン(この人たちが…?)
トゥグリル4世「噂には聞いているよ」「過激派組織ロスト・リリジョンとは違う穏健派の革命勢力…」「その中でも特に実力が飛び抜けているという三人の賢者がいると…」「ジング・ロストゲート」「カイン・シーカー」「アチュラ・ヴァレンティン」
ジング「ふん」
トゥグリル4世「18年前に、シリウスに住む龍の一族を討伐し…その功績を星間連合に認められ…宇宙の知識と永遠の命を与えられたとも聞くが……それは本当か?」
カイン「申し訳ないが…その話はまた別の機会に」「王様♪」
アチュラ「……」
ジング「ところで…我々はそこのシャインという少年に用が……」
突然走り出すシャイン
ジング「おい!」
自宅に向かって町を駆け抜けるシャイン「…っ!」

◼️翌日 浜辺で海を眺めるシャイン
シャイン「……」
すると大きな木箱が海から流れてくる
木箱の蓋を開けて驚愕するシャイン
その箱の中には自分と同年齢くらいの女の子が入っていた
シャイン「!!?」「だ…大丈夫…ですか?」
目を覚ます女の子「ん……」「ここは…?」
シャイン「ここはオデッサって国だけど…」「あっそうだ!水でも飲む?ボク今持ってるんだ!」
シャインから渡された水のボトルをがぶ飲みする女の子
エミリー「私の名前はエミリー」「助けてくれてありがとう」
シャイン「いやいや…」「それよりも君…何で箱に入って流れて来たの?」
エミリー「そ…それは…」
シャイン「とにかくウチに来る?」「ボクが何か料理でもつくってあげようか?」
少し顔をしかめるエミリー「……えぇ」「……そうするわ」

◼️シャインの家
シャイン「ただいま!母さん」
アリス「おかえり、シャイン」
ベッドで横になっているアリスの姿を見たエミリー「もしかして、あなたのお母さんって……」
シャイン「そう、レプティリアンだよ」「父さんは人間だけどね」
エミリー「あなたのお父さんは?」
シャイン「行方不明…」「宇宙を旅してる途中で通信障害に遭って……」
エミリー「まさか、あなたのお父さんって…あの伝説の探検家サン・エナメル!?」
シャイン「そうだよ!知ってるの?」
エミリー「知ってるも何も、まだ誰も行ったことがない秘境の地に何度も足を運んで、ヌーナや星間連合から何度も表彰されているチョー有名人よ!!」「まさかそんな有名人がこんな辺境の国の出身だなんて……信じられない」
シャイン「出身がどこかなんて関係ないよ」「ボクもいつか世界中を旅して、父さんみたいな偉大な探検家になるんだ!」
心の中でつぶやくアリス(やっぱりね、あなたには夢がある)(それも大きな大きな夢が)(母さんは嬉しいわ)
居間にあるテレビのニュースに気がつくエミリー
テレビ「昨日行われた時計塔でのテロ事件の捜査中、驚くべき人物が現場に現れました」「先日からヌーナによって指名手配されている三大賢者です」
エミリー「!!!」「……」
シャイン「どうしたの?」
急にシャインを問いただすエミリー「この国に……三大賢者が来てるの!!??」
この時エミリーの服から何かが落ちたが、二人は気づかなかった
シャイン「う…うん」「昨日王宮に突然現れて」
エミリー「だったら……彼らに伝えて!今すぐに!!」
シャイン「伝えるって…何を?」
アリス「?」
エミリー「いい?星間連合のメンバーのアヌンナキ族って知ってるわよね」
シャイン「あぁ、学校で習ったよ」「ボクたち人類を創って星間連合に罰せられたっていう宇宙存在だよね?」
エミリー「そう……彼らの王子エンリルは、今とんでもない計画を企んでいるの」
シャイン「とんでもない計画?」
エミリー「人類を滅ぼすための…大洪水計画よ!!!」
シャイン「!!??」
エミリー「エンリルは、堕落した人類を嘆いて、私たちを滅ぼす道を選んだの!!」「エンリルの異母兄弟エンキはこの計画に反対していて、宇宙存在の血と人間の血を混ぜてネフィリムという巨人を生み出した……今大陸ではエンリル勢力とエンキ勢力がぶつかり合って大変なことになってるわ!!」
先日の謎の声を思い出すシャイン「そんな……」
エミリー「ロスト・リリジョンはこの計画を知っていた……」「そこでヌーナに警告したわ」「大洪水計画を中止しなければ実力行使を行うとね」「でも、大洪水計画の情報はヌーナには届いてなかった…ヌーナよりもさらに上の組織がこの計画を企んでいるの!」「その上の組織に関する情報は、どれだけ調べても掴めなかったわ……完全に隠されているの」
シャイン「……!?」
エミリー「ロスト・リリジョンは実力行使に出た」「それが今回の世界同時多発テロ事件よ!!」
シャイン「じ…じゃあロスト・リリジョンは、アヌンナキ族に警告するために今回のテロを起こしたの?」
エミリー「そうよ……とにかく何としても大洪水計画だけは止めなきゃいけないわ」「そのためには三大賢者の力が必要なの!!」「彼らに今すぐ会わせて!!」

◼️王宮に向かって走るシャインとエミリー
シャイン「ところで、何で君はそんなに色んなことを知ってるの?」「大洪水計画なんて、普通の人にはそんな機密情報降りてこないよ?」
立ち止まるエミリー「何でって……私もあっち側の人間だからよ」
シャイン「あっち側?」
エミリー「私は……エンリルが統治しているレムリアの王女」「エミリー・セイルだからよ!」
シャイン「!!!」「レムリアの王女様!!??」「レムリアって言えば、世界でもトップクラスで栄えている王国の一つだよね!?」「君が……!?」
エミリー「……」「さぁ、王宮に急ぐわよ!」「そこにいるんでしょ?三大賢者が……!」
シャイン「いや、いるかどうかは正直分からないんだけど……」
叫ぶエミリー「はぁ!??」「あなたが言ったのよ!昨日三大賢者が王宮に現れたって!!」
シャイン「現れたのは確かだけど、その後どこに行ったかまでは……」
エミリー「ふざけないで……」
その時、謎の爆発音が聞こえ、海岸の方に顔を向ける二人
シャイン「何だろう?」
エミリー「まずいわ…もしかしたら私を追いかけて来たのかも……」
シャイン「誰が?」
エミリー「レムリアの軍よ!」「私の両親は、私がレムリア軍に捕まらないように木箱に入れて海に流したの」「私を助けるために……」
シャイン「じゃあ……君の両親は……」
エミリー「……とにかく、早くこのことを三大賢者に……」
エミリーを引き止めるシャイン「待って!」
エミリー「何よ!」
シャイン「あっちにはボクの家がある!」「母さんが危ない!!」

◼️シャインの家
シャイン「母さーーん!!」
アリス「シャイン!」(今、シャインの声が……!)
アリスはレムリア軍によって拘束されていた
レムリア軍「何度も言わせんな、知ってるんだろ?」「王女はどこだ?」「奴につけた発信機がここで止まってるんだ!」
アリス「知らないわ!そんなこと!!」
その時家の入り口に駆けつけるシャインとエミリー
シャイン「母さん!」
アリス「!?」「シャイン!こっちに来ちゃだめ!!」
シャインの隣にいるエミリーに気づいたレムリア軍「やはりこの国にいたか……エミリー王女」
エミリー「……ホントにしつこいわね、あなたたち」「こんなところまで追いかけてくるなんて」
レムリア軍「ここはなるべく穏便にすませたいところだが……オレたちには時間がない」「単刀直入に言う……このレプティリアンのババァを殺されたくなければ、王女を渡せ」
シャイン「それは……」
エミリー「……」
レムリア軍「無言ってことは、答えはNOだな?」
シャイン「ちが……」
レムリア軍の持っていた剣がアリスに降りかかり、アリスの首が飛んだ
シャイン「!!!!!!」
目を背けるエミリー「……!!!」
青い鮮血が家中に飛び散る
アリスの首がシャインの足元に転がる
シャイン「母さーーーーーーん!!!!!!」
アリスの声がシャインの頭の中に響く
アリスの声(シャイン……夢を叶えて……)(母さんの存在は……あなたにとって足枷でしかない……)(あなたは自由よ……仲間と一緒に…立派な探検家を目指しなさい……)
アリスの声はここで途切れた
呆然とするシャイン「……………」
この時シャインの脳裏には、母の言葉や近所の住民からの罵倒の声、自分を信じてくれない国王の声、三大賢者の声が渦巻いていた
エミリー「シャイン……?」
シャインの体が痙攣し始める
シャイン(ボクには仲間はいない……)(ボクには……ボクには……ボクには……)

シャイン「あああぁあぁあああぁあああぁあぁぁああああぁああぁぁあああああぁああっ!!!!!」

突然シャインの額に第三の眼が現れ、瞳は爬虫類のように縦に切れた状態になった
エミリー「!!!??」
シャイン「ハァ……ハァ……」
そこに突如現れる三大賢者たち
ジング「やはり君だったか……」「ホルスの烙印を受け継ぐ者は……!」
エミリー「あなたたちは!?」
レムリア軍「まさか、こいつら三大賢者か!?」
エミリー(彼らが?)
レムリア軍「くっ!」「ここは一時撤退だ!」「行くぞ!お前ら!」
レムリア軍の兵士たちは去っていった
突然シャインは気を失い倒れた
彼の額と瞳は元の状態に戻っていた
エミリー「一体……どういうことなの??」
ジング「我々の目的は、君と同じだ」「エミリー王女」
エミリー「え?」

◼️王宮
シャインは目を覚まし、五人は王宮に移動していた
トゥグリル4世「話は聞いた」「アリスが殺されたようだな?」
ジング「えぇ」「だが彼女のこの世での使命はすでに果たし終えていた」「彼女はいつこの物質世界を旅立ってもおかしくない状態だったよ」
シャイン「じゃあ…母さんが殺されたのは当然のことだって言いたいんですか!?」「何でもっと早くに来て、母さんを助けてくれなかったんですか!!?」
ジング「少年……人間は神ではない」「その人の運命は……誰にも変えられない」「今日死ぬことが彼女の運命だった……ただそれだけだ」
怒りを抑えるシャイン「…………っ!!」
ジング「国王」
トゥグリル4世「何だ?」
ジング「この国の管理下にあるスターゲートを使うことを許可していただきたい」「シャインとエミリー、この二人を連れて大陸へ向かうことも」
シャイン「え!?」
エミリー「……」
ジング「シャイン」「君の夢は探検家になることだね?「それもサン・エナメルよりも偉大な探検家に……」
シャイン「どうしてそのことを……?」
ジング「夢は……待っているだけでは叶わない」「自分から行動を起こすことが大事だ」
シャイン「……」
ジング「私たちと来れば…きっと君の人生は大きく変わる」「それが、偉大な探検家に近づく大きな一歩となる」「私が保障しよう」
考え込むシャイン「……」
エミリー「あなたたちの本当の目的は?」「まさか……あなたたちもアヌンナキ族の仲間じゃないでしょうね?」
ジング「私たちの目的は、エンリル勢力とエンキ勢力の仲介」「つまり、大陸での戦争とエンリルの大洪水計画の阻止だ!!」

◼️3日後 オデッサ北東の海岸 スターゲート前
トゥグリル4世「スターゲートの行き先をフォートリアにセットした」「いつでも行けるぞ」
カイン「大陸の入り口か……いいねぇ」
アチュラ「……」
ジング「目指すは世界の中心、レムリア上空の天宮城だ」「そこに世界の頂点に立つ権力者たちがいる」
エミリー「そこから権力者たちを地獄に引きづりおろすのね!」「まぁ……上手くいけばいいけど?」
シャイン「……」
ジング「シャイン」「顔を上げろ…君は今から世界へと旅に出る」「私たちと一緒にな」
シャイン「…」
ジング「君の母さんが望んでいたことは何だ?思い出してみろ」
アリスの言葉を思い出すシャイン
(仲間と一緒に…立派な探検家を目指しなさい……)
ジング「君の選択が…人生を決する」「ついてこなくてもいいんだぞ?」「私は無理強いしない」
シャイン「いや、行くよ」「ボクは……父さんを超える偉大な探検家になる!」
ニヤッとするジング「そうか」
カイン「よろしくな!小僧に、王女様♪」
アチュラ「……」
ジング「では、行こうか」
スターゲートに足を踏み入れる五人

〜ナレーション〜
これは若き五人の探検家が、世界の中心を目指して旅に出る、偉大な冒険の物語だ
この旅が後に世界を変え、歴史に刻まれることを彼らはまだ誰も知らない

第一話 完


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