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【漫画原作アイデア】『ギルガメッシュ』シナリオ・設定まとめ

1タイトル
『ギルガメッシュ』

2ジャンル
ダークファンタジー

3ターゲット読者層
10〜20代男性

4あらすじ
今から約5000年前、シュメールに伝説的な王が存在した。彼の名はギルガメッシュ。気性が荒く暴君と呼ばれていたギルガメッシュは、天空神アヌが生み出した野人エンキドゥとの出会いをきっかけに、後に英雄と呼ばれるほどの名君に成長する。しかしある日、女神イナンナが地上に送った怪物を倒した罪で、エンキドゥが神々に殺されてしまう。親友であるエンキドゥが殺されたことに激しい怒りを覚えたギルガメッシュは、天界に乗り込んで神々を打ち倒すことを誓う。これは、闇落ちしたギルガメッシュが親友の仇を討つために神々に戦いを挑む、英雄と神々による壮大なバトルダークファンタジーだ。

5登場人物
■ギルガメッシュ
シュメールの伝説的な王。暴君と呼ばれていたが、野人エンキドゥとの出会いをきっかけに名君に成長する。しかし、エンキドゥが神々に殺されたことに激しい怒りを覚えたギルガメッシュは、親友の仇を討つため、伝説の神々に戦いを挑むことを誓う

■エンキドゥ
最高神アヌが、ギルガメッシュを改心させるために地上に送り込んだ野人。ギルガメッシュとエンキドゥは決闘をするが、お互いの実力を認めてからは二人は親友となる。見た目に反して優しい性格で、自然をこよなく愛している。気性が荒いギルガメッシュを隣で支えることで、彼を名君と呼ばれる王になるまで導いた人物でもある。

■アヌ
シュメールを支配する神々のトップに君臨する最高神。年老いた神で、すでに現役を引退している。お転婆で問題ばかり起こす娘イナンナに、いつも頭を抱えている。だがなんだかんだ言って親バカなためイナンナには甘い

■イナンナ
アヌの娘であり、美しい容姿を持つ女神。多くの男に求婚し、彼らと交わることで精気を全て吸い取ってしまうことで知られている。お転婆でわがままで、問題ばかり起こして父アヌを常に困らせている・誰に対しても上から目線。いわゆる女王様気質。

■グガランナ
神々が生み出した怪物。通称「天の牡牛」。巨大な角と翼が生えており、口からは光線を出して大暴れする。イナンナはギルガメッシュを懲らしめるためにグガランナを地上に送り込み、ウルクの町を破壊する。

■ウトナピシュティム
東の果ての島国で暮らす謎の人物。神々について何か知っており、天界への行き方を求めるギルガメッシュが彼の元を訪れることになる。

6脚本
第一話

・今から約5000年前の中東に、人類史上最古の文明が存在した・その文明の名はシュメール・シュメールの古代都市ウルクには、ギルガメッシュという名の王がいた・しかし、民たちの彼に対する評価はとても低かった・ギルガメッシュは乱暴で気性が荒く、政治には全く興味を持たずに毎日遊び歩いていた・民から批判されればすぐに暴力で解決しようとするため、やがて彼は「暴君」と呼ばれるようになった・天界を支配していた最高神アヌは、そんなギルガメッシュを見かねて、彼を改心させるためにエンキドゥという名の野人を生み出して地上に送り込んだ・エンキドゥはギルガメッシュに闘いを挑む・ギルガメッシュは、毛むくじゃらで原始人のような見た目のエンキドゥを嘲笑った・こんな奴に自分が負けるはずがない・ギルガメッシュはそう思い、軽い気持ちでエンキドゥに付き合うことにした・しかし天空神アヌが生み出したエンキドゥは、ギルガメッシュが思った以上に強かった・二人は三日三晩拳を交え続けた・体力を使い果たしたギルガメッシュとエンキドゥは、地面にばたりと倒れ込んだ・ギルガメッシュの心の中から、エンキドゥに対する嘲りの気持ちはとっくに消えていた・一方でエンキドゥも、最後まで全力で自分にぶつかってきたギルガメッシュに敬意を示していた・その日から二人は親友となった・ギルガメッシュはエンキドゥに地上の世界のことを教え、エンキドゥは顔を輝かせて彼の話を聞いた・そんなエンキドゥの表情を見て、ギルガメッシュは自分を恥じた・今まで自分は、民のことをちっとも考えずに好きなことばかりして過ごしてきた・民たちが自分を嫌っていることもギルガメッシュは知っていた・このままでは、エンキドゥを失望させてしまう・そう思ったギルガメッシュは、初めてできた親友のためにも、真面目に王としての務めを果たそうと考えを改めた・それからギルガメッシュは、民のためになることを必死に考えて実行することにした・エンキドゥは力仕事が得意だったため、ウルクの民たちの仕事を手伝うようになった・最初の方は、民たちも本当にギルガメッシュが改心したのか疑っていたが、ギルガメッシュが必死になって今までの過ちを償おうとしていることを、エンキドゥは一生懸命民たちに伝えた・やがて月日が流れ、ギルガメッシュを支持する人は次第に増えていった・それは、親友エンキドゥが影でギルガメッシュを支え続けたおかげでもあった・ある日、最高神アヌの娘イナンナが、ギルガメッシュの噂を聞きつけてウルクを訪れた・イナンナはギルガメッシュを一目見ると、彼を気に入り求婚を申し込む・しかし、ギルガメッシュは愛と美の女神と言われる彼女に関する悪い噂について知っていた・彼女の美しい見た目に惹かれて彼女の求婚を受け入れた多くの男が、その後彼女に精気を全て奪われて命を落としていた・そうはなりたくなかったギルガメッシュは彼女の求婚を拒否した・イナンナにとって、自分の美しさに心を動かされない男に出会ったのは初めての経験だった・イナンナは怒った・このギルガメッシュという生意気な人間の男を懲らしめたくなった・天界に帰ったイナンナは、神々が生み出した怪物「天の牡牛グガランナ」を少し貸してくれと、父であるアヌに頼む・「お小遣いをくれ」みたいなノリでとんでもないことを頼むイナンナに困惑するアヌだったが、親バカだったアヌはイナンナの頼みをのむことにした・イナンナは、怪物を使ってウルクの町を破壊するため、グガランナを地上に送り込んだ・立派な王を目指すギルガメッシュにとって、最初にして最大の試練が降り掛かろうとしていた

第二話
・イナンナが天界に帰った翌日、いつも通り政治の業務に必死で取り組んでいたギルガメッシュ・その時、町の方から悲鳴や叫び声が聞こえてきた・そんなことは初めてのことだったため、ギルガメッシュは少し不安に思った・町の方で何かが起きている・その時、エンキドゥが慌てて部屋の中に駆け込んできた・こんなに焦っているエンキドゥを見たのも初めての経験だった・エンキドゥは「町に怪物が出た!」と叫んだ・ギルガメッシュは不思議に思った・エンキドゥとは今まで何度も一緒に森に入って虎や狼などの猛獣を捕まえて食らっていたため、エンキドゥが大抵の猛獣には臆することなく立ち向かう男だとギルガメッシュは知っていた・そんなエンキドゥが珍しく青ざめた顔でギルガメッシュに助けを求めてきた・ギルガメッシュは内心では、少し嬉しく思った・今まで自分はエンキドゥに支えられてばかりいた・自分が立派な王になれているかは正直分からない・ギルガメッシュは王として、そして親友として今までエンキドゥの力になれたことが一度でもあったかどうか不安になることが最近はよくあった・しかし今は、エンキドゥは自分のことを頼ってくれている・こんなことは初めてかもしれない・ギルガメッシュは力強い言葉でエンキドゥを安心させた・そして剣を手にして意気揚々とエンキドゥと一緒に町に出た・怪物といってもどうせ大したことはないだろう・ギルガメッシュはそんな軽い気持ちで町に向かった・しかし、そこにいた怪物を見てギルガメッシュはあんぐり口を開けた・ウルクの町の上空には、とてつもなく巨大な角の生えた牡牛の怪物が浮かんでいた・その怪物は巨大な翼で空を飛び、口から光線を放って町を破壊していた・町のあちこちで火の手が上がり、民たちはパニックになって逃げ惑っていた・ギルガメッシュはこんな怪物を見たことがなかった・その怪物こそが、女神イナンナがウルクを破壊するために送り込んだ怪物グガランナだった・ギルガメッシュは最初は驚いたものの、すぐに気持ちを切り替えて、怪物を倒すため武器を構えた・エンキドゥはそんなギルガメッシュの姿に目を疑った・まさかあの怪物に戦いを挑む気か!?・その時、逃げ惑うウルクの民たちがギルガメッシュの姿を見て目を輝かせた・「ギルガメッシュ様、どうか私たちを助けてください!」・しかし民たちの中には、今でもギルガメッシュのことを嫌っている者も大勢いた・彼らは「この町に災いをもたらしたのはお前のせいだ!」とギルガメッシュを罵った・エンキドゥは思った・(この期に及んでまだそんなことを言うのか、人間は本当に愚かな生き物だな)・エンキドゥはギルガメッシュを励まそうとした・しかしエンキドゥの予想に反し、ギルガメッシュの表情は闘志に満ち溢れていた・そしてギルガメッシュはエンキドゥに言った・「俺たちがあの怪物を倒せば、俺たちはこの町の英雄になるだけじゃなく、俺たちの名は永遠に歴史に刻まれるだろう」・その言葉を聞いて、エンキドゥの中から恐怖心が一気に吹っ飛んだ・ギルガメッシュはちっともあの怪物に臆していない・おそらくこの怪物は、神々の手によって生み出されたものだろう・だが、ギルガメッシュと一緒なら負ける気がしない・エンキドゥの中に勇気が湧き上がってきた・ウルクの民たちはギルガメッシュ支持派と反対派に分かれて争いを始めていた・しかしギルガメッシュとエンキドゥはその争いを無視して、真っ直ぐに怪物に向かって歩み始めた・そしてついに、戦いの火蓋が切って落とされた・ギルガメッシュとエンキドゥは、その人間離れした筋力を活かして、高々とジャンプした・グガランナは光線を放って二人を迎え打った・ウルクの町を、民たちを、そしてたった一人の親友を守るために、ギルガメッシュは命を懸けて怪物と戦った・そして死闘の末、ついにグガランナを倒すギルガメッシュとエンキドゥ・しかし、ウルクの町は戦いの影響で完膚なきまでに破壊されていた・もう民たちは以前の生活には戻れないだろう・町が元通りになるまで何年かかるかも分からない・ギルガメッシュは思った・(あぁ、また嫌われるな……)・しかし、民たちは息絶えた怪物を見て考えを改めていた・ギルガメッシュは自分たちを守るために必死で戦っていた・もう以前のような暴君と呼ばれていた頃のギルガメッシュはどこにもいない・今人々の目の前にいるのは、大切なもののために命を投げ打って戦うことができる、偉大な王の器を持った男だ・ウルクの民たちは歓声を上げ、神々の怪物を倒したギルガメッシュを褒め讃えた・そして心の底から感謝した・民の一人がこう言った・「あなたはもう以前のような暴君じゃない、私たちはあなたがウルクの王であることを心から誇りに思います」・ギルガメッシュは目を丸くした・人から感謝されるのは初めてだったため、どう答えればいいか分からなかった・その時、視界の中に毛むくじゃらの見慣れた顔が入ってきた・エンキドゥはしばらくギルガメッシュと顔を見合わせた・そして、二人揃って大声で笑った・二人ともこんなに笑ったのは生まれて初めてだった・しかし、二人は息ができなくなるまで笑った・民たちも笑っていた・町は怪物に破壊され、人々は住む場所を失った・しかし、人々はもっと大切なものを手に入れた・民たちは強く偉大な王を、エンキドゥは勇気を、そしてギルガメッシュは自信と誇りを取り戻したのだった・破壊された町の中に、彼らの笑い声がこだました・その夜、ウルクの町の瓦礫の上で宴が行われた・主役はもちろん、民の命を救った二人の英雄だった・こんなに大きな宴を開いたのは初めてのことだった・ギルガメッシュたちは心の底から宴を楽しんだ・そしてギルガメッシュとエンキドゥは幸せな気分で深い眠りについた・エンキドゥは夢を見た・夢の中で、エンキドゥは美しい宮殿のような場所にいた・そこでは、神々が円卓を囲んで何かについて話し合っていた・エンキドゥは話を聞いた・神々は、グガランナを殺したギルガメッシュとエンキドゥのどちらを処罰するかについて話し合っていた・エンキドゥは黙って話を聞いていた・長い話し合いの結果、神々は処罰の対象を決定した・その瞬間、エンキドゥは目を覚ました・そして、自分はもう二度とギルガメッシュとは会えないだろうと悟るのだった

第三話
・ウルクの町を朝日が照らし出した・ギルガメッシュは目を覚ました・ウルクの人々はまだぐっすり眠っていた・ギルガメッシュにとって、人生で一番素晴らしい朝だった・自分はようやく認められた・ようやく立派な王と認められたのだ・人々の自分に向けられた歓声を思い出すだけで自然と笑みが溢れた・ギルガメッシュは周囲の瓦礫の山を見渡した・ずっと生まれ育ってきた町が破壊されたにも関わらず、ギルガメッシュは世界がとても美しい場所であることに改めて気づいた・周囲の何もかもが美しく輝いているように見えた・町の復興については後で考えればいい・どうせ時間はたっぷりあるのだから・その時ギルガメッシュはあることに気づいた・エンキドゥの姿が見当たらない・一足先に目を覚まして散歩にでも出かけたのだろう・ギルガメッシュは、今まで自分を支えてくれたエンキドゥにもお礼を言わなければいけないと思い、彼を探すことにした・しかし、町中を探し回ってもエンキドゥの姿が見当たらない・もしかしたら森に入ったのかもしれない・エンキドゥは自然の森や動植物を心から愛している・そう考えたギルガメッシュは、森の方に向かった・森に入った途端、空気が変わった・今まで森の中には何度も入ったことがあったが、今回は明らかに様子がおかしい・なぜか不安な気持ちになるギルガメッシュ・不安の原因は分からなかったが、ギルガメッシュは自分を鼓舞して森に足を踏み入れた・神々の怪物を打ち倒した自分には、もう怖いものなど何もない・そう思っていた・しかし、その後ギルガメッシュは、森の奥で衝撃的な光景を目にする・それは、何も怖いものがないと思っていた自分が、この世で最も恐れていたことだった・目の前の木には、惨殺されたエンキドゥの死体が無造作にぶら下げられていた・周囲の木には、どす黒い血がべっとりと染み付いていた・ギルガメッシュの頭は真っ白になった・完全に思考停止に陥った・目の前の光景が現実であることが信じられずにいた・しかし、次第に状況を理解し始めた・エンキドゥが、ギルガメッシュにとってたった一人の親友が何者かに殺された・どう見ても森に住んでいる動物の仕業ではない・ギルガメッシュの中に激しい怒りが沸き起こってきた・しかしそれとは裏腹に、目から涙が溢れてきた・ギルガメッシュは生まれてから一度も泣いたことがなかった・泣くということがどういうことか今まで全く分かっていなかった・しかし、ギルガメッシュはその時ようやく理解した・大切な存在を失った時の悲しみがどんな感じなのかを・そしてギルガメッシュは叫んだ・喉が裂けるほど大声で叫んだ・ギルガメッシュの慟哭が森中に響き渡った・エンキドゥの死は、瞬く間に民の間に知れ渡った・ギルガメッシュが教えたからだ・ギルガメッシュは、民たちと共に親友を手厚く葬りたかった・ギルガメッシュのその想いに、ウルクの民たちは快く賛同してくれた・町の復興そっちのけで、人々はエンキドゥの墓を作った・ギルガメッシュは、それから何日も飲まず食わずのままエンキドゥの墓の前に座っていた・人々はそんなギルガメッシュを心配したが、ギルガメッシュは墓から離れようとしなかった・ギルガメッシュは勉学が苦手だったが、シュメールに伝わる神々の物語についてくらいなら知っていた・ギルガメッシュは、天の神々に祈り続けた・エンキドゥの魂の安寧を・そしてギルガメッシュは心の中で、今までずっと伝えたかったことをエンキドゥに伝えた・(ありがとう……!)・エンキドゥの死から1週間が経過した・ギルガメッシュは相変わらずエンキドゥの墓の前で祈っていた・すると、どこからか女の声が聞こえてきた・それは以前にも聞いたことがある声だった・声は頭上からする・ギルガメッシュは空を見上げた・そこには、翼を持った美しい女神イナンナがニヤついた表情でギルガメッシュを見下ろしていた・ギルガメッシュは、イナンナの姿を見ても何も感じなかった・イナンナはギルガメッシュに全てを打ち明けた・グガランナを地上に差し向けたのは自分であることを・自分の求婚を断ったギルガメッシュを少し懲らしめたかっただけだと・正直、ギルガメッシュにとってもうそんなことはどうでも良かった・エンキドゥは死んだ・宴の時に感じた幸福感は、もうとっくに消えていた・ギルガメッシュは、偉大な王という人生史上最高の栄誉を手にした直後に、最も大切な友を失ったのだ・ギルガメッシュは「エンキドゥを生き返らせられないのなら今すぐ帰れ」とイナンナに悪態をついた・イナンナは、こんなに焦燥し切ったギルガメッシュを見るのが愉快で仕方なかった・もっとギルガメッシュをいじめてやろうと思ったイナンナは、ギルガメッシュに神々の会合について話した・ギルガメッシュは、イナンナが語った内容を聞いて衝撃を受けた・エンキドゥを殺した犯人は、天界の神々だった・神々はグガランナを殺した罪で、ギルガメッシュとエンキドゥのどちらを処罰しようか話し合った結果、エンキドゥが選ばれたのだという・その話を聞いたギルガメッシュの信仰心は、一気に打ち砕かれた・子供の頃からずっと大人たちに聞かされてきた伝説の神々が、自分にとって唯一無二の親友を殺したのだ・イナンナはギルガメッシュを無視して話し続けた・エンキドゥを処刑するために地上に降りた神々の中にイナンナも加わっていた・イナンナは、エンキドゥの最期を嬉々として語っていた・まるで人の死を何とも思っていない様子だった・イナンナは、エンキドゥが殺される直前に命乞いをしていたことを面白おかしく語った・ギルガメッシュは、顔をうつむけたまま彼女の話を黙って聞いていた・エンキドゥの最期の言葉はこうだった・「お願いだ!もう一度、ギルガメッシュに会わせてくれ!せめて最後のあいさつだけでも伝えさせてくれ!!」・エンキドゥは涙を流して神々に懇願していた・しかし、神々はそれを無視してエンキドゥを殺害した・その現場に居合わせていたイナンナは、話し終えると大声で笑った・涙を流しながら耳障りな甲高い声で笑った・その瞬間、ギルガメッシュの怒りが頂点に達した・ギルガメッシュは鬼のような形相で、その場にあった剣でイナンナの体を真っ二つに両断した・大きな音を立てて地面に倒れるイナンナ・イナンナは驚いていたが、体が両断されたにも関わらずにまだ何か叫んでいた・「私にこんなことをして父が黙ってると思うの!?神に逆らえば、あなたといえど無事では済まないわよ!!」・しかしギルガメッシュの怒りはおさまらなかった・「黙れぇ!!!!!」・そう叫んでギルガメッシュは、イナンナの頭を踏み潰した・イナンナの顔はグシャリと潰れ、周囲に鮮血が飛び散った・イナンナはようやく息絶えた・ギルガメッシュの息は上がっていた・イナンナを殺した自分は100%神々に命を狙われるだろう・ここにいれば、ウルクの民たちも巻き添えを喰らうことになる・もうこの町にはいられない・そう考えたギルガメッシュは、イナンナの死体を近くの川に沈めて、ウルクの町を出ることにした・ギルガメッシュの頭からは、エンキドゥの死を弔う気持ちはすっかり消えていた・それよりも自分にはやるべきことがある・それは、神々を倒すことだ・奴らを放ってはおけない・奴らは神と呼ばれ崇められているが、その正体は自分たちに逆らう者は誰であろうと平気で手にかけるただの人殺しだ・ギルガメッシュは、エンキドゥの顔を思い浮かべた・エンキドゥのあの優しい笑顔を思い浮かべれば浮かべるほど、ギルガメッシュの心の中に、神々へのどす黒い復讐心が湧き上がってきた・(エンキドゥ…俺は必ずお前の仇を取ってみせる!)・しかし、ギルガメッシュは神々が暮らす天界への行き方を知らなかった・それからギルガメッシュは、メソポタミアの各都市を周り、天界への行き方に関する手がかりを探し続けた・それから一年後、ギルガメッシュはようやく神々についての情報を掴むことに成功した・どうやら、東の果ての島国で暮らすウトナピシュティムという男が、神々について何か知っているらしい・ギルガメッシュの中では、まだ復讐心が燃えたぎっていた・ギルガメッシュは、神々に戦いを挑んでエンキドゥの仇を討つために、天界への行き方について知っているであろうウトナピシュティムのもとを目指すことにした・こうして、闇堕ちしたギルガメッシュと天界に住む神々による壮大な戦いが幕を開けた

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