(ネタバレ注意)映画『ゴールデンカムイ』感想ー山崎賢人さんに土下座したい
映画『ゴールデンカムイ』を観たので感想。
ネタバレあります。
もともと『金カム』は原作マンガもアニメも好きだった。正直なところ、実写化するほど人気作品になったことは嬉しいけど、映画自体にあまり期待はしていなかった。なにしろ、色々な意味で特殊な作品である。持ち味であるスピード感や、シリアスとギャグの程良いミックスは2D媒体ならではで、生身の人間が演じると薄ら寒いものになってしまうのではないかという危惧があった。私は元々さほどマンガやアニメを嗜まず、金カムは数少ないハマった作品だから、その思い出をそっとしておきたいという思いもあった。だから、心にガードをかけて、まあ様子見というくらいの気持ちで劇場に足を運んだのである。
その結果、映画『ゴールデンカムイ』は、見事に私を裏切ってくれた。鑑賞直後の感想は、「凄え良いもん見たなぁ」。
ストーリーについてはおおよそ原作をなぞっている。戦争の場面も含め、戦闘シーンに一切の妥協がなかった。ややグロテスクなシーンもあるが、露悪的な描写は避けつつ、原作の流れを再現したものとなっていた。杉元の串刺しシーンは、私自身アニメで見たときちょっと視聴を休止したところで(あまりグロ耐性がないのだ)、どの程度やるのか気になっていたが、バッチリぶっ刺されていた。そのあたりの演出については、本当に血を見るのがダメという人は難しいと思うが、ちょっとしたサスペンスドラマが大丈夫な程度であればさほど怖がることはないと感じた。
気になっていたギャグ面は、特に白石の登場から加速していくが、ナチュラルに溶け込んでいた。白石がレタㇻに頭を噛まれるところなど、劇場に笑いが広がっていた。それでいてシリアスな部分とのイヤな温度差もなく、それぞれが一貫してひとりのキャラクターであるという部分は守られていた。
白石は金カム内でも特にギャグマンガ時空というか、マンガ的なコメディリリーフなのだが、矢本悠馬さんの動き方・話し方に嫌味がなく、原作どおりの愛されるキャラクターとなっていた。そして、変顔もアイヌ語も弓使いも、難しいはずのアシㇼパさん役を見事に再現した山田杏奈さんに拍手。
その他の人物も、見た目、会話、アクション、どれをとっても原作から抜け出てきたようだった。特にやはり山﨑賢人さん。私の普段の生活範囲が偏っているために、『時効警察はじめました』最終話におけるゲストの雨夜役か、菅田将暉『さよならエレジー』のPVの人、というイメージしかなかった。あるいは、最近マンガの実写化によく起用される俳優さんとの認識だった。『時効警察〜』で、トリッキィな役を自然体に演じられる人なんだなあと思っていたし、整った見た目もあってそりゃ映画に出すわと感じていた(なんなら本編前の予告で見た『陰陽師』にも出てたし)。その一方で、やや線の細いイメージもあったので、「不死身の杉元」としてはどうなのかなと疑っていた。今は山﨑さんに土下座したい。彼は杉元だった。帝国軍人の筋肉とまではいかないまでも説得力のある鍛え方だったし、優しさと狂気と強さがすべて表現されていた。イケメンなのに、あそこまで顔に傷が入る役をよく引き受けてくれたものだ。大感謝。
その他気づいた点など。
ナレーションは、アニメ版で尾形役を演じている津田健次郎さん。最初は出演を悩んだともコメントされていたが、普段から彼のナレーションをニュース番組などで聴いているからか、「尾形じゃんw」みたいな違和感はなかった。ちょっと怠そうに話す尾形に比べ、力強めの発声だったからかも。
白石の問題発言、「そのアイヌはお前さんの飼い犬か?」も映画中にあった。そのかわり、杉元家で発症した病については原作では結核であるが、「肺病」とぼやかされている。原作者の野田先生が脚本に関わっているそうなので、このあたりは注文があったのではないかと思う。
※その他原作との主な変更点(気づいたところのみ)
・白石と笠原が同時に現れている
・リスの脳みそを食べるシーン、エビフライのシーンがない
・「チタタㇷ゚」と言いながら食べることがアシㇼパの家独自のものと説明されている
・回想のエピソードのタイミングが一部違う
・イオマンテについての説明がない
最後に出演者のロールがあって、そこで終わりかと思いきやその後もけっこう続いた。家永、インカラマッ、キロランケなんかが出てきたから続編はあるものだと信じたい。でもこのペースでいくと完結まで10本以上になるのでどこかを略すのだろうか…次回に期待!
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