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意味不明小説集

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自分の意味不明小説や、noteで見かけた不条理だったりホラーだったりする、星新一系の意味不明ショートショート(1頁漫画も)をまとめています。
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2019年2月の記事一覧

創作》POLLENPHOBIA(パレンフォビア)

鼻がむず痒い。 そろそろ花粉の飛ぶ季節。 この頃になるといつも思うんだ。 花粉症にならない奴らは大丈夫なのかな?って。 花粉ってさ植物の種みたいなもんだろ? 正確にはおしべなんだけどさ。 おしべである花粉とめしべがくっついたら、種になるわけだ。 そして、種はいつか芽を出して双葉になって、どんどん大きくなる。 考えてみろよ。 花粉を吸い込んでも平気って事は、体内にもしめしべがなんかの間違いで入ってて、くっついて種になって芽を出す確率が上がるって事だ。 だが、花粉症の奴

創作》白イ花

今朝は、いつものように自宅の最寄り駅に行きました。 駅の改札に向かう途中、頭に綺麗な白い花のコサージュを付けた女の子を見掛けたんです。 中学生か…高校生くらいの子、だったかな? とても綺麗な花だったので、つい、見とれちゃって。 …でも、よく見るとその花、なんか変なんです。 飾りなら、こう、金具がちらっと見えたりするじゃないですか。でもそうじゃなくて。 なんか変だなって、よく見てたら、気付いたんです。 頭から、生えてたんですよ、その花。 ちょっと意味分かんなくて、本当かなって思

創作》白と黒

白い世界に、ポツンと1つ黒を落とす。 黒はゆっくりと広がり、薄まりながらもしっかりと世界を濁していく。 黒はどうしようもなく強いのだ。 では、黒に白を落としてはどうか。 残念ながら、黒はあっという間に白を飲み込んでしまう。 黒はそれこそ光すらも飲み込んでしまうのだ。 これはいけないと、 何度も何度も落としてみるが、黒が白になることはない。 頑張ってみたけれど、黒がすこぅし薄まる程度だった。 「ままならないなぁ…」 僕はそう呟いて、カップの縁ギリギリまでになったカフェオ

創作》歪

ある朝起きたら、視界が歪んで見えた。 真っ直ぐな筈の物には不規則な波、 人の顔のパーツは有り得ない配置、 なだらかな婉曲は弾けたようにギザギザ。 そういえば、こんな絵を描く画家がいたなぁと思い出す。 綺麗な長方形であった筈の鏡を覗くと、平凡な顔がおかしなことになっていた。 小さな目は大きく拡大され、左右の大きさもばらばら。 低い鼻はさらに低く、普通の大きさだった口は鼻よりも小さい。 耳もやたら大きいし、頭だって破裂しそうなほど大きい。 違和感あるけど、普通に生活が出来る