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冬の朝は、目覚めても布団の中から出たくない。 今日もいつものようにもぞもぞぐずぐすしていると、枕を向けた壁側の、窓がガラリと開く音がした。 驚いて窓の方を見上げると、窓の向こうから男が顔を出して、こちらを覗いている。 待ってくれ、ここは三階で、窓の向こうは足の踏み場などないはずだ。 ぽかんとしていると、男は僕に向かって、 「おい、起きろ!朝だぞ!」 そう叫んだ。 うわっと声を上げたところで目が覚める。 なんだ、夢か、変な夢だったな。 そう思って窓の方を見上げると、窓が開
〈……おはようございます。本日の天気は、晴れ。最高気温は18度、最低気温は13度です〉 朝、目覚めると、だいぶ古くはなったが、未だ現役で動き続けるスマートスピーカーが、丁寧な口調で喋り出す。 その声を聞きながら僕はベッドの上で伸びをして、脳みそがゆっくりと起動するのを感じた。 〈……本日は、ーーー様のお誕生日です〉 ああ、そういえば、そんなヤツもいたな。 小学校の時に仲の良かった友人で、中学あたりまでは一緒につるんでいたっけ。 優秀なスマートスピーカーは、僕のアカウン