ノマド・リーディング (2) 歩きながら、書くこと
川崎駅を出発して早ければ55分、長ければ65分間のあいだ揺られている毎日の通勤の道のりでは何箇所かで人が大勢乗り降りする駅があります。
横浜からやってきた人々が乗る武蔵小杉駅、小田急線と交わる登戸駅、そして京王線とを接続している分倍河原駅。そのたびに、座席に座っている私の前から人がいったん退いて、それから新しい人混みがやってきます。
でもいつも共通しているのは、誰もがいつでもどこでも、スマートフォンをのぞきこんでいるということです。友人らとLINEをしている人、満員電車も気にせずに両手でゲームをプレイしている人、動画に見入っている人、そして電子書籍リーダーで漫画を読んでいる人などさまざまですが、エディタを開いてなにかを書いている人はいまのところみたことがありません。
歩きながら、書くこと。これはスマートフォンがこれだけ普及した時代でも、まだ珍しい行為なのでしょう。
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