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noteからコンテンツをエクスポートする方法がないというリスク

今朝、note のアプリに通知が入っているので確認するためにアプリをタップしたところ、珍しいエラーがでてきました。

処理能力を一時的に超えていたのか、502 Bad Gateway のエラーが表示されたのです。障害猫、かわいいですよね。

しかし少しだけ心配になったのは、note 自体に取り返しのつかないような障害が発生した場合に、ここで書いたコンテンツを避難させておくためのエクスポートの方法がいまのところないという点です。

情報のストックにはエクスポートが必須

 もうこれまで何年もブログを運営し、当初アメリカのサーバーで始めたものを日本のサーバーに移し替え、さらに個人のVPSも含むいくつかのサーバーに移動させてきました。

その経験でつくづく思うのは、逆説的に聞こえるかもしれませんが、ブログであろうと、なんであろうと、情報のストックというものは可搬性があって初めて信頼性が担保されるという点です。

たとえばわたしたちの生み出したコンテンツがサービスと不可分なものならば、情報をエクスポートできなくても仕方ありません。サービスの終了が、そのコンテンツとのお別れです。

しかしわたしたちが書いたもの、撮影したもの、あるいは録音した音声は、note に投稿しているとはいえnote の一部分とはいえません。ここに、可搬性の必要性があり、それを現在のnoteは満たしていないのです。

ユーザーのデータをどのように扱うかという問題では、Evernoteがかつてさまざまな問題に直面しつつ、それを克服するために有名な3原則を提示しました。それは次の3点です。

1. あなたのデータは、あなたのものである

2. われわれはあなたのデータを保護する

3. あなたのデータの可搬性は保証されている

この最初の2つは、ユーザーが作り出したデータはユーザーのものであることという確認、そしてEvernoteはサービス提供者としてそのデータを保護する責務をまっとうするという宣言です。

しかし3つ目はなんでしょうか?

それは、ユーザーが望むならば、できるだけ完全な形でユーザーのデータはEvernoteから取り出すことができること。つまりEvernoteが信頼できなくなったり、Evernote以外のサービスを使うことを選択した場合に、Evernoteはユーザーの選択を尊重し、その邪魔をしないという宣言です。

これはいうなれば、Evernote自体の成功や失敗からすらユーザーを守るという意思表示です。万が一サービスが終了することがあったとしても、いつでもユーザーは自分のデータを引き出せることを保証しているのです。

 データポータビリティはもう常識

かつては、サービスがユーザーのデータをロックインして、他に移動させないという手法もよくみられました。しかし技術的な進歩も、そして法的な整備も進んだことから、いまではデータポータビリティは権利というところまで認識が広まっています。

たとえば 2018 年にカリフォルニア州で発効した Consumer Privacy Act (CCPA)にもデータポータビリティの条項は含まれていますし、欧州のGDPRにもそれは含まれています。

そうしたことから、Google、Facebook、Twitterなどといった巨大ウェブサービスでもユーザーが自分のデータをすべて持ち出すことができるようになっています。

もう2020年ですし、誕生から6年もたって、膨大なユーザーデータが集まっているからこそ、note もそろそろこのあたりの整備をしていただくことで、さらに信頼度をアップしていただけると嬉しいなと思います。

朝起きたら、書き続けた記事が消えてしまったというのならばまだしも、何が消えたかも確認できないというのが、一番避けたいところですので。

(追記:5/10、若干の日本語のエラーを修正)

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