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バイデン元副大統領が、民主党の候補者指名に必要な選挙人を確保

COVID-19の影響と、抗議活動が全米に広まるなか、11月3日の大統領選挙にむけた候補者選びの党員集会も進んでいました。

4月9日に対抗馬のバーニー・サンダース氏が選挙戦を中断すると発表したことで、presumptive nominee、つまり事実上の候補者となっていたジョー・バイデン元副大統領ですが、6月2日までに行われた党員集会の得票も積み上げて、正式に候補者指名に必要な票を確保しました。

オハイオ州:バイデン 115、サンダース 21
オレゴン州:バイデン  46、サンダース 15
インディアナ州:バイデン 81、サンダース 1
メリーランド州: バイデン 96、サンダース 0
ペンシルヴェニア州: バイデン 147、サンダース 32

と言った結果ですが、積算でここまでで 1995 票ということで、指名に必要な1991票を越えたことになります。

静かなキャンペーン

COVID-19のせいもあって、大統領選挙戦は奇妙な静けさの中で進んでいます。それは民主党側も、共和党側も同じです。

特にジョー・バイデン元副大統領はここしばらく公的な場所に姿を見せず、自宅から動画やソーシャルメディアを通して発信をするという静かな選挙キャンペーンを行っています。

そんな彼が久しぶりに姿を見せたのは、メモリアルデーに戦没軍人の慰霊のために外出した際と、George Floyd氏の死をめぐる抗議活動に参加している人々のこえを聞きに出た際だけです。

その際に、マスクをしていることから共和党側からは揶揄されるなど、マスクも、抗議活動も、全てが政治的争点になってしまうのが2020年の悲しさです。

盤石に見えたトランプ氏の数字に異常が

そうした中、盤石とみえたトランプ氏の支持にほころびが目立つようになってきました。

念頭においてほしいのは、元々トランプ氏の支持は圧倒的というわけではないという点です。2016年の大統領選は選挙人では勝ったものの、全得票数ではヒラリー・クリントン氏に負けていましたし、支持率は安定して40%代前半です。

ただし、大統領選挙は選挙人を争う戦いですので、勝敗を分ける特定の州を押さえていれば圧倒的有利に進めることができます。そのバトルグラウンドと呼ばれる州の数字がじわじわとバイデン氏有利になりつつあるのです。

たとえばこちらのサイトで、フロリダ州のように勝者にとって必ず勝たなくてはいけない州の様子を見ていると、少しずつバイデン氏有利の場所が増えてきています。同じように、ペンシルヴェニア州、ノースカロライナ州、ウィスコンシン州、ミシガン州の結果を見ても、バイデン氏の微妙なリードが見えます。

しかもこの傾向は、4月から系統的に拡大している様子が見えるのです。4月に +5 ポイントほどだったのが 6月で+8 ポイントほどならば、大統領選挙戦全体で +4 ポイントほどが平均して変化することを考慮してバイデン氏がそれなりに有利と言えます。

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こちらは Manmmoth poll の全国の数字ですが、これからよく耳にするようになる Registered Voter、つまりすでに選挙登録をしていて実際に選挙に行く可能性が高い人々の間でバイデン氏が +11 というのは、単独の集計とはいえ強い数字です。

こうしたデータもあって、トランプ氏の最近の騒動、つまりツイッターとの争い、COVID-19を終わった話にして経済を再開したいという強い希望、デモを早期に鎮圧したいという動きが、なんとなく理解できます。

トランプ氏にとって良いニュースは、5月の経済指標が強かったため、もしアメリカの経済の回復が思ったよりも早いのならば、「経済に強そう」な大統領として支持の回復を期待できるかもしれない点です。

でも全米に広まった抗議活動の影響がまだこれらの世論調査には入っていませんので、こうした影響が出てくる今月中旬以降のデータに注目したいところですね。


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