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【連載小説】螢惑守心の煌仙子【完結】

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十七年前、国に忠誠を誓い、命を懸けて護国のために戦ってきた常勝軍が、一夜にして壊滅した。  戦場はあまりに悲惨で、何かに食い散らかされた兵士たちの残骸だけが残っていた。  遺体は…
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#仙子

第〇集:登場人物用語紹介(随時更新予定)

※こちらは小説【螢惑守心の煌仙子】の用語集です。 ※歴史上、実際にあった官職も書いてあり…

第九集:異国情緒

「おおお……、なんという栄え方をしているんだ……」  花丹国一の港町、長海。  現代語では…

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第十集:適材適所

「懐かしい、この感じ……」  第一階層は緑豊かな地下大熱帯森林だった。 「なるほど……。龍…

第十一集:因果応報

 灰が散り、声を持たない魔神蚕たちが、枝や葉と一緒に燃え落ちていく。  子供たちを救おう…

第十二集:按甲休兵

「もう明け方かぁ……」  紫にさす朱は黎明の色。  魔窟から出て最初に見た空は、昨夜見た炎…

第十三集:怨望隠伏

「わぁ……」  十メートルを超える高い塀。南北に約九百メートル、東西に約千メートルもある…

第十四集:君側之悪

 朝堂。  そこは天子とともに朝臣たちが政治を行う場所。  長く大きな階段の先、いくつもの廊下で結ばれた建物はどれも荘厳で美しく、国の大事を話し合うに値する場であった。  しかし、十七年前のある時期から、この朝堂には悪意と欺瞞が蔓延るようになり、その権威は侵入してきた毒によって徐々に侵されつつあった。 「国境で瑞泉軍が命を賭けて闘っているからこそ、文官の皆様は政治を行えるのでは?」  朝政の場にて、支出が多いのではないかと戸部尚書に問われた英王は、微笑みを浮かべながら言った。

第十五集:焦熱地獄

 長海は今日も変わらずにぎわっている。  何かのお祭りでもあるのだろうか。店の軒先に、前…

第二十二集:金友玉昆

「すばらしかったですね! 蘭麝様のデザイン!」  あのあと、蘭麝は十時間以上練りに練り、…

第二十四集:乳母日傘

「大丈夫ですか、翠琅さん」  わたしは帰りの馬車の中で変身を解き、面をとると、悔しくて涙…