一年の終わりに

今年一番の寒波が押し寄せる
師走の慌ただしさが溢れるなか
私は久しぶりに電車に乗って
ある場所へ向かっていた。
普段あまり訪れることのない街へ行くのは、
ちょっとした小旅行の気分だった。
本当はもう少し早く到着して、気ままにひとりの時間を満喫しようかとも思っていたのだが、
なかなかそうもいかないのが、
今の私に課せられた運命なのだと思った。

そんな私とは、色んな事が全く異なる友人が
会いたいと言ってくれて、今日はここへ来た。
仕事帰りにかけつけてくれた友人は、
ホームグラウンドな土地を手慣れた様子で
食事の場所へと案内してくれた。

今日は前に話してた続きのために
お互い顔を合わせたのだ。
まずは彼女のご推測どおりの「正解」に沿って
私は少しずつこれまでの事を話し始めた。

最終結論として私が彼女に伝えたのは、
「それが幸せならば、私はそれで良いと思ってる」
ということだった。

若くて真っ直ぐな彼女は
「そんなのは嫌です」と理解してはくれなかった。

そうだよな(笑)普通はそう思う。
でも、私は初めからそう考えていた。
初めから終わりを考えていた。
日に日に大きくなる熱を帯びた感情とは裏腹に
どこかでずっと冷静な自分がいた。
冷静にならなきゃダメだと思っていた。

「でもね、最終的に私には
どうすることもできないんだよ…残念ながら」

それが幸せに繋がるのなら私も幸せなんだよ。
例えそれが自分ではなくても、
仮にね、それが実はめっちゃ性悪で腹黒で
嘘つきなやつが相手でもさ、
幸せだったらそれでいいよ。

どんなかたちであれ、幸せになってくれるのが
私のいちばんの願いだから。

「強いですね…」
彼女は納得し難いと言わんばかりの表情で
私にそう言った。

「やっぱり強い…のかな?わたし…?」
これから自宅へ帰るための道のり
彼女と別れたあと考え事をする時間は
たくさんあった。

「だってさ、仕方ないじゃん。
大人なんだもん。」

いろいろ考えてはみるものの
いつもその答えにしかたどり着かない。
考えてみると言うこと自体が
そもそも無駄なことだと言うのは、
今までに無駄だとわかりながらも、
考えて、時には苦しんで、
涙を流してきた時間があるからだ。

「強い」のではない。
「強く」ならないとやっていけなかったからだ。

あと数日で今年も終わる。
来年はどうなって行くのかなんて
誰にもわかりはしないけれど
お互いに日々を幸せに
笑ってすごせるように
心の中で祈りつつ、
私は、いつもの私に戻り、
いつもの場所へと帰って行った。

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