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#16 自然に宿りし者

※この日記を初めて読む方は、必ずこの記事に目を通してからお読み下さい。


2023.06.25

あれから連日、たくさんの事を島の人達に教えてもらった。

その中でも印象に残った内容がある。

蛍を守っているのは島の人だけぢゃなく、精霊の存在もいたという事。

精霊の姿が見えるのは、3歳未満の子どもだけだそうで、3歳の誕生日が来るとピタッと見えなくなるらしい。

姿を見た子供にどんな姿だったかを絵に書いてもらうと必ず大きな青色の身体に、目は金色で、羽があり、その羽で空を自由に動き回るそう。

実際に絵を見せてもらうと、今まで見た事ないような、不気味な姿だった。その精霊を、みんなはロウルと呼んでいた。

その精霊は蛍が光り出す季節に現れては、見守り、蛍の命が儚く終わるころ、一緒に姿を消すらしい。

その姿が見えるというのは貴重で、島の数人しか、幼少期に会えていないよう。

島の人達は蛍に関する事を一語一句もらさないよう心を込めて私に教えてくれた。

他にも、何も無かった時代からずーっと愛されてきた事、自然の営みの美しさに心を動かされ、俳句や詩の材料になっていた代表の生き物でもあるという話。

きっと昔の人は年に1度の、この 'ひととき' に巡ってくる季節の風景、蛍の光を見て癒されたり、心の深いところで蛍と繋がっていたのだろう。

蛍がこの世界から消えてしまったら     一体どうなるんだろう。

島で大切にされている蛍でさえ年々数が減少しているらしい。
手紙のあのお爺さんが言っていた通りだ。

未来にこの景色はあるのだろうか。

今を生きていると、なんでも人の手で作ったり形に出来てしまうから、自然なんか必要ないんぢゃないと思われてしまうかもしれない。

そんな考え方が優先されるなら、日本の景色は後世には残らない

ある夜に、そんな難しい事を私の小さな脳みその中で考えながら、
蛍の光を見つめていた。

あまりの綺麗さに、考えるのが嫌になってきて、ボーッとしてみた。※1

はぁ。やっと頭が軽くできた。
これが答えなんだな。

人間っていつもこう。
難しく考え過ぎて、大切な事見失っちゃうんだよね。

ぼんやりしながら時が過ぎるのを待っていると、遠くに何か大きなものが見えた。

わたしは肩にぐーっと力が入り、そして鳥肌が立った。

やだなぁ、、1人で考えたいからと島の人と離れて1人で蛍を見ていた事を後悔した。

遠くに見える大きな目のようなものを無視して見ないようにしながら、船へ帰ろうとした。すると、

つむじ風が私の足をとらえた。

わたしは我慢できず、ぎゃーーーッ!!と叫んで全力で走った!

走ると背中がゾクゾクして怖さが増し、冷静さを完全に失った。

その姿を面白がるかのように、木の葉がザワザワと笑った。

やっと船の灯りが見える場所まで来てから、森の方を振り返ってみた。

木の茂みに金色の目。

間違いない。ロウルだ。

心拍数が100を振り切り苦しくなった。

ダメダメ。大丈夫大丈夫
ロウルは悪い奴じゃない。悪い奴ぢゃない。

スーっ フーッ

スーっ フーッ

途中何度もやっぱり怖い!と逆戻りしそうになったが必死に自分をコントロールした。

船に向かって今度は歩いた。

出来るだけあの事は忘れて。

船に着いてから、すぐ島の案内人平安名さんに電話した。

怯える私を心配して船まで、来てくれた。

平安名さん!聞いて!!もうめちゃくちゃ怖かった!ロウルって3歳未満しか見えないよね?

私見えちゃったかも。。。

平安名さんは信じてくれなかった。
だって大人には見えるはずないから。

きっと怖くなって心理的に思い込んだんだと冷静に解説され、納得した。

でもね、つむじ風を私の足に絡めて来たんだよ!

これも偶然?
つむじ風のワードに平安名さんはびっくりしていた。

きっとそれ、ロウルだね。

わたし達、ロウルのつむじ風の話しなかったよね?でもMEGURUさんが知っているのは、もう信じるしかない。
ロウルは精霊だから、自然を操るんだ。

何か伝えたかったのかもね。

いいなぁ。会えたなんて、凄いよ!羨ましい。

わたしは怖かったから、もう会えなくていいかな。と話し、来てくれてありがとうと伝え、平安名さんは帰って行った。

こんな夜に呼び出して申し訳なかったなぁ。明日もう一度ちゃんとお礼を伝えようと思った。

ベッドに入ってから目を瞑るとあの金色の目が浮かんでくる。強烈に脳裏に焼き付いてしまったみたいだ。
しばらく寝れずにいたが、寝る前に毎日続けている腹式呼吸をしていたら、いつの間にか眠ってしまっていた。

その日の夢にはちゃーんとロウルが出て来た。わたしはロウルの背中に乗り、空から島を一望した。
とっても綺麗な景色に感動した。

きっとロウルもこの景色が好きなんだなぁ。だから守っているんだ。

次の日、島の人達に珊瑚の産卵が見える場所を教えてもらう約束をしていたので、朝から平安名さんのお家にお邪魔した。

珊瑚を見るには小さなボートで近づく必要があった。平安名さんが持つボートを借りて昼から海に出ることになった。

私は昔ダイビングインストラクターをしていた関係で、海では何時間も暇を潰せるのであった。平安名さんとシュノーケルをしたり、魚を突いて夕飯の食材を調達した。

珊瑚の様子を観察したが、まだ変化はなかった。

だいたい5.6.7月の満月の前後、風と水温と日照のあたり具合と天候、波の高さなど自然の環境が産卵に適した時に合わせて

珊瑚は産卵を始めるそれに誘発された他の珊瑚達も一斉に産卵を始めるのだ。

その時の光景が神秘的で感動するんだと平安名さんは教えてくれた。

私も知り合いのインストラクターから見せてもらった事があるが、見た人にしかわからない特別な感情が生まれる。

まるで宇宙にいるような感覚。

離れた岩場で平安名さんがシュノーケルをしていた。
驚いた顔で私をある場所に手招きした。
水中を覗いてみると、珊瑚が真っ白になり、その一帯の珊瑚がダメになりかけていた。

白化現象※2 がおきている。

地球温暖化の影響で珊瑚がダメになるケースが増えているのはご存知でしょうか?
ダイバーの手で珊瑚を移植したりして手を尽くしているが、その白化現象のスピードには追いつかない。

サンゴは海の多様な生物を共存・防災
二酸化炭素の循環を補っている。

もし珊瑚が大量にダメになると、生態系が大きく壊れてしまう。

ルナテックコネクション※3 を起動するには、この珊瑚の産卵も関係しているみたいだけど

大丈夫だろうか。。。

お爺さんの手紙の件もあり、一抹の不安がよぎった。
夕方になり釣った魚を食べ、船に戻った。

久しぶりに海で過ごした浮遊感が抜けきれず、ずっと頭が揺れていた。

プールの授業の後みたいに、すごい疲労感で眠気が襲ってきて、そのままベッドに倒れるように眠りについた。

この日またロウルが夢に出て来た。ロウルも海の中に入って一緒に遊ぶ夢だった。
夢の途中ロウルの身体が水中で真っ黒くなりバラバラに砕けた。
ロウルがバラバラになったと同時に綺麗な海が真っ黒くなり、辺りを暗くした。

夢が覚めた時、嫌な気持ちで悲しくなった。
早く寝たから早く目が覚めてしまったみたいで、まだ明け方4時だったけど、デッキに出て朝日が登るのを待つことにしてみた。

辺りが明るくなって、海が変わらず綺麗で安心した。

安心したら、また眠たくなったので、2度寝をする事にした。

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満月まであと約一週間。
       上手くいく事を願って


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( 航海日記辞典 )

※1 ボーっとする‥未来でも過去でもなく、人間が今を生きる事ができる手段。

※2 白化現象‥白化現象とは、造礁サンゴに共生している褐虫藻が失われることで、サンゴの白い骨格が透けて見える現象です。白化した状態が続くと、サンゴは共生藻からの光合成生産物を受け取ることができず、壊滅してしまいます。
サンゴの白化の原因は、温暖化等による海水温の上昇と考えられています。

※3 ルナテック・コネクション" (Lunatech Connection)・・・
- 「ルナテック」は「月の技術」という意味で、月に関連する高度な技術を示しています。
- 「コネクション」は「つながり」という意味で、人々を結びつけるネットワークの性質を表現しています。

つまり、月の力を利用した人と人を結びつける技術の名称である。



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