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国連から指摘された日本の分離教育

国連から日本の「分離教育」が指摘されたことを受け、永岡文部科学相が反論したことがニュースになっています。これは国連と日本政府の「インクルーシブ教育」をめぐる認識の齟齬が原因である。との専門家の意見がありました。「差別しているのではなく、区別することでクラスが円滑にまわるから」と言ったところでしょうか?
私自身、イエナプランを学ぶようになって、この「インクルーシブ」の考え方が日本と教育先進諸国では大きく違っていることに気づきました。そしてその背景には、日本人の中に古くからある価値観が、学校現場の中にも根付いており、時代の進化に追いついていないのでは?と、考えるようになりました。

「グレーと言われた。」「ラベルがついたから療育施設に入れることになった。」3年ぐらい前から私の周りの母親たちからよく聞くようになったこの「グレー」という言葉

「うちの子グレーって言われたんです」

グレーというのは「発達自体、問題の基準(障害がある)には達していないけど、通常の学級で他の子と同じように過ごすことが困難である」といったところでしょうか?

素人の私から見ると、ちょっと元気すぎる?子だったり、自分の意見をはっきり言うことで周りの子たちとうまく関係性が作れない子だったり、ちょっとした事で傷つきやすいとってもナイーブな子だったり。
これがグレーと呼ばれて、関係機関で診察を受けてラベル(病名)が貼られたら「療育施設に入れる」といった流れのようです。(今回の国連の指摘は、重度の障害児も含めながら、最近の日本の発達障害や不登校児の問題も含めていると感じます)
一方、現状の日本の「画一一斉授業」の中では、「個性的な子」がいると、学習指導要領に沿った授業が進まない、40人近い生徒を1人の担任が見なければいけない現状では、手に負えない。

本人も通常クラスの中で過ごすことが困難だろうからと、「分離教育」が推奨されているのだそう。つまり、大人の都合で子どもたちは「問題のある子は分離される」ということを学校現場で体験を通して学んでしまっている。と言えるのではないでしょうか?国連という組織が一国の教育システムの課題を指摘するという異例の事態が起きているのです。

ちなみに、オランダのイエナプラン校では、本人や親が望めば、どんな障害のある子もほとんどが、普通学級に入ることができるのだそうです。特別支援が必要な子の場合、国予算でサポートしてくれる専門家がついて、他の子と同じように授業を受けることができる。まさしく、「インクルーシブ」な状況が作り出されているのです。「分離」ではなく「包含」から子どもたちは何を学び、そしてそんな状況を毎年毎年学校という場で体験することは、障害のある子どもだけでなく、それを「当たり前のこと」として共に生きることを学ぶ他の子どもたちにとっても「より良い社会の実現」に向けた思考が自然に身についていくようになっているのです。


2日目の夜に起きた子ども同士の小さな亀裂

「小さなイエナプラン海のまなびや」のサマーキャンプ。「1人でテントに寝るのが怖い!」と泣いていた匠海君は2日目も夜の8時頃、泣きながら私に訴えてきました。最初はひっそりと泣いていたのが、「明日の飛行機で帰りたい!お母さんの顔が見たい!」と初日と同じく、過呼吸に近い状況で訴えてきました。電話でお母さんにつないでもらい、「明日の朝、飛行機のチケットを取って帰るから」と、その日も室内で寝ることに・・・。
そんな匠海君の様子を見て一部の子どもたちから「ずるい!」の声が上がっていたと、グループリーダーから聞いたのは翌日のこと。
「ずるい1」といった子どもたちの言い分は「テントが暑くて眠れない!自分もクーラーが効いた部屋で寝たい!」というもの・・・。

理由は違うのだけど、眠れないというのはある意味同じ。リーダーたちは困り果てていたようです。そして、翌朝になると匠海君はまたケロッとして「最後まで頑張れる気がする!」と、飛行機の手配は不要である事を私に報告に来たのです。
匠海君の夜になるとパニックになる状況と、他の3人の子どもたちからの「ずるい!」の指摘。ここは私がジャッジする場面ではないと感じ、グループリーダーに任せることにしました。

3日目はビーチクリーン

今回、子どもたちは「地球の未来を考える」というテーマでグループでのワールドオリエンテーションをやりました。ちょうど、奄美市が「観光✖︎環境」をテーマに企画を募集していたので、そこに応募。世界遺産となった奄美にくる観光客向けに「世界自然遺産である奄美のきれいな海を大切にしてほしい!」との思いを込めてそれぞれが奄美の生き物を描いた啓発ステッカーを5日目に空港で配布します。

3日目のメインプログラムは国連の「プラスティックの海」の動画鑑賞とその後、目の前の海でのビーチクリーン。2日目に亀と泳いだきれいな海がプラスティックゴミによって変わろうとしている。地球規模での課題となっている「プラごみ問題」という刺激を与え、子どもたちから「内発的な問い」を引き出します。そして目の前のビーチに!昨日亀と泳いだ同じ海に、たくさんのプラスティックゴミがあることを体験を通して気づきます。その気づきをマインドマップに落とし込み、グループで取り組むテーマを決めていきます。

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3日目の夜・・「ずるい!」と言い出した子どもたちのその後

3日目の夜は「匠海くんだけ室内で寝るのはずるい!」と言ってた子どもたちがグループリーダーの判断で一緒に室内で寝ることになりました。匠海くんが寝ていた和室に4人がお布団を並べて就寝の準備をしだした頃、匠海くんがまた私のところにやってきました。少し泣きそうになりながらも、「今日はみんなと一緒に寝るから寂しくない」と、照れ臭そうに皆のいる部屋に入っていきました。この日は泣かずに4人が静かに部屋で寝ている姿に、「本当は1人でテントで寝るのが寂しかっただけだったのかな?」と、安易な結論を出し、ほっとしていた私でした。ところが、このことが別の火種を呼び、子ども同士の関係性が崩壊していく出来事につながっていくことになるとは・・・。子どもたちのこころで日々起きている葛藤に、大人たちはまだ気づいていなかったのです。   続く


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