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第23週 教育者・学者 保井コノ

第23週の教育者・学者は日本女性初の理学博士である保井コノさんです。


大学卒業まで


保井 コノ(やすい コノ)さんは1880年2月16日愛媛県讃岐国大内郡三本松村(現・香川県東かがわ市三本松)で廻船問屋を営む保井忠治氏とウメさんの長女として生まれた。

1898年18歳で 香川県師範学校(現・香川大学)を卒業し、女子高等師範学校(現・お茶の水女子大学)に入学されます。

1902年22歳で女子高等師範学校理科を卒業されます。そして岐阜高等女学校教諭になられます。

教員そして留学

1904年からは神田共立女学校教諭を務められます。
1905年 女子高等師範学校に新しくできた研究科に入学されます。たった一人の理科研究生として入学し、動植物学を専攻されます。25歳でした。

研究科1年目の時論文「鯉のウェーベル氏器官について」発表されます。これは『動物学雑誌』に掲載された女性科学者最初の論文でした。

次いでサンショウモの原葉体を調べ『植物学雑誌』に発表します。


1907年 女子高等師範学校研究科修了され、同校助教授になられます。

1911年日本人女性初の外国雑誌Annals of Botanyに山椒藻の生活史に関する論文投稿されます。これは外国の専門誌に載った日本女性初の論文となりました。


1914年 アメリカに留学されます。ここまでの道は非常に厳しいものでした。

女高師助教授としてすでに業績をあげていたにもかかわらず、彼女の外国留学願いに対し「女子が科学をやっても、ものになるまい」と文部省は許可を渋ります。

そして留学の条件として“理科研究”の他に“家事研究”が加えられ、さらには結婚をせず生涯研究を続けるという暗黙の制約まであったということです。

1914年から2年間文部省在外研究員としてシカゴ大学、ハーバード大学(指導者はC.ジェフリー)で学び、植物組織研究の新しいテクニックを学ばれました。そして日本産石炭の研究を始められました。


帰国後教授までの道

帰国後も、コノさんは東京帝国大学で遺伝学講座の嘱託として学生実験を担当しながら、この研究を10年間にわたって続けられました。

コノさんは日本各地の石炭を、自らモッコに乗って炭坑のたて穴深く降りて採集し、綿密な検討を重ねて、炭化度による石炭植物の構造変化を明らかにされたそうです。

また石炭研究と並行し、アサガオやマツバボタン等の植物の細胞学的・遺伝的研究も続けられました。

1919年 女子高等師範学校教授になられ、東京帝国大学理学部の嘱託を兼務されました。

岩川友太郎氏らの指導を受け、東京帝大理学部では藤井健次郎氏と親交があったそうです。


1927年に学位論文「日本産の亜炭、褐炭、瀝青炭の構造について」(主論文「日本産石炭の植物学的研究」他8本)によって、日本の大学初の女性博士が誕生するに至りました。

以後、東京帝大での研究と平行して、東京女高師では細胞学、遺伝学の研究にとりくみ、比較発生学、比較形態学へ、さらに進化や種の変位、系統の問題を扱われました。

また1929年から、藤井健次郎氏を編集主幹とする国際的な細胞学雑誌Cytologia(キトロギア)の創刊にも関わっておられます。コノさんは

庶務・会計・編集を担当されていました。

教授としての活動退官まで

1949年 お茶の水女子大学発足と同時に教授になられています。

またその前年、新制大学設置準備委員会委員長を務めておられます。

この戦後の教育改革に際しては、女子教育の向上のために女子国立大学の発足を目指して積極的に行動されました。


1952年 に72歳で教授を退官されます。同大学名誉教授になられこの年から
『キトロギア』の正編集者になられます。

退官記念会のときに贈られた祝金は、後輩の育成のため「保井・黒田奨学金」として大学に寄附され、今なお若い研究者を励まし続けているそうです。

退官後


1955年に 紫綬褒章を受章されています。
1962年9月にバス停で倒れられ病の床につかれています。
1965年 に勲三等宝冠章を受章されています。
1971年 3月24日東京文京区の自宅で逝去されます。享年91歳でした。

お茶の水女子大学のページでは詳細な生涯と共に写真や資料などを見ることが出来ます。

めぐめぐがすごいと思う保井コノさんのこと

 

1若いころから非常に研究熱心で学者として女性初という多くの業績を成し遂げられていること

2また学位を取られてからも様々な研究に関わり、また科学雑誌のために貢献されていること

3そして教育者としても特に戦後の大学の改革において女性が大学で学ぶことが出来るように尽力されたこと。

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