出光美術館 「江戸絵画の華 第1部 若冲と江戸絵画」

副題に若冲と入るだけで混雑しそうな(苦笑)展覧会ですが、もっとよくみると「プライスコレクション帰国」とも添えられています。2019年に加わったコレクションの中から厳選、とあれば好奇心がムクムク湧き出します。
出光美術館は完全に日時指定予約制で、当日券はありませんので、チラシを見てからすぐに予約を入れました。このチラシがとても素敵で、気合を感じさせますが、2期分まとまっているので中身はA4タテ3ページを見開くような構成。
画像編集がどうにもうまくできず見たままのイメージで掲載できず、悶々しているうちに時間が経つと感動が遠のきそうなので、ひとまず感じたことを先に書いてしまいます。

表紙は若冲の作品


チラシ開いた右ページ
チラシ開いた真ん中ページ この左側に第2期の紹介が続きます

まず会場に入って 目が合ってしまったのは「虎図」谷鵬 
順路とか無視して「ちょっとカワイイんですけど♪ こんにちは〜」とつい話しかけてしまいました(心の中で) 大きな縦長の軸装ですが、画面いっぱいに窮屈そうにちょっと首を傾げて大きな目がくりっと。第2部のチラシになっている円山
応挙の虎図とは違って、どこかユーモラスです。

「牡丹に唐獅子図屏風」水上景邨 の中の獅子も丸い目がクリクリ。もう漫画のキャラクターのようにしか見えてきません。
そうかと思えば(ここでそもそもの順路に戻って) 「松竹梅群鳥図」中住道雲をみると鳥が写生のようにきっちり描かれていて、その美しさにびっくり。

そしてチラシの表紙にもなった「鳥獣花木図屏風」伊藤若冲 なんと42800枚のマス目が貼られています。実は私、日本美術を漠然と見始めてから、世間では若冲が人気らしいと知ったようなのんびり屋でして、若冲といえば「動植綵絵」のような細かい表現が得意、くらいにしか印象を持っていなかったので「あれ?こういう作品も若冲なの?」と意外に思いました。 「動植綵絵」は単眼鏡で見て感動モノの美しさでしたが、そうした筆先の美しさとはまた違う モザイク画の魅力。でも色付けしたマス目で絵を描きだすというよりも、マス目の上から筆で描いたような表現なので、モザイク画なのか?ちょっとよくわからなくなりました
ここまでが「生きものの楽園」いわば第1章

第2章は「若冲の墨戯」これでもかとばかり若冲作品が10くらい展示されています。大まかな、エッセンスだけを描いたものもあれば、緻密なものも。やっぱり鶴の絵はすごいです。。。単眼鏡で覗き込んではため息。

第3章は「浮世と物語」ということで浮世絵や屏風、絵巻物。達磨さんと遊女が服装を入れ替えている「達磨遊女異装図」武田春信は面白いし、「雪中美人図」礒田湖龍斎は風流で季節もピッタリ。作者不詳の屏風や絵巻物も見応えがあります。
「酒呑童子図屏風」は人間も童子も入り乱れて よーくみると刀で戦っている残酷なシーンもさりげなく入ってるし、「妓楼酒宴図」河鍋暁斎 は芸妓遊びしながらお財布覗いて思案顔の旦那様。おすまし顔だけではない、人間くささが見え隠れするのがまた面白いです。ここで私が気に入ったのは「住吉物語絵巻」これが作者不詳って、当の作者が知ったら泣いちゃうんじゃないかしら? 絵は細かい着物の模様まで緻密に描かれているし、語りの部分は流麗な字。キレイだから大切に扱われて保存されてきたか、江戸時代の中でも比較的新しい時代のものなのか、と想像してみます。もしかしたら名前の残らない作者こそ、その時代の人々の胸をときめかせたヒーロー・ヒロインなのかもしれません。タイムマシンで遡ることができたら名前を聞いてみたいところです。

第2部は酒井抱一や鈴木其一らが出てくるそうで、楽しみです。

番外編として 出光美術館は 併設の茶室に茶道具を展示しています。
お軸は仙崖さんの「三福神画賛」布袋さん・恵比寿さん・大黒さんの可愛い絵に「三服を一服にして大福茶」と描かれています。冒頭の虎図同様、おもわずニンマリしてしまう可愛らしさです。ぜひお忘れなくご覧くださいね


屏風型のフォトパネル


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