根津美術館 「遊びの美」

遊びといっても、色々な遊びがあるけど、美術館に出かけてきれいなものを見てうっとりするのもそのうちのひとつかと。なんとも優雅なチラシ。

会場に入る前に仏像が展示されているホール。あれ?ちょっといつもと違うかなと眺めていたら、「十一面観音菩薩立像龕」宝慶寺 スタイル良くてオシャレで見とれてしまいました。何も解説文が書いていなくて、音声ガイドのマークがついていたので、このためだけに音声ガイドを申し込んでしまいました。優雅でいつまでも眺めていたくなります。

さて本題の展覧会場。「北野天神縁起絵巻」では子供が遊んで楽しげ。
「桜下蹴鞠図屏風」はチラシで紹介されています。蹴鞠の球って鹿革でできているのか、ふむふむ。流派とかもあったらしい。日本ってなんでも「道」にしてしまうのが、単なるスポーツとの違いでしょうか。柔道・剣道・弓道。。。勝敗の他にも、姿勢の美しさとかもテーマになりますね。もし蹴鞠が流派とか関係なく自由なスタイルで平安時代からずっと続いていたら、日本のサッカーはさらに強くなったかも!?と想像してみたりします。

歌合や絵合、貝合の道具、雅な世界が広がります。
「源氏物語画帖」伝土佐光起 では4人集まって何やら考え込んでます。歌や絵の優劣ってどう決めるのやら、接戦になったら基準がはっきりしていないとモヤモヤしないのかしら、などと余計な心配をしてしまいます。

「犬追物図屏風」では人間以外にも馬や犬が描かれています。追いかけられる犬は気の毒かなと思いきや、矢の先はカバーがついている様子。
「玉藻前物語絵巻」では美女の化けの皮が剥がれて現われた、二つの尾をもつ狐を追いかけるのだとか。しっぽが変わっている動物の絵だけ集めた展覧会も面白いかも。

(・・・美術鑑賞は私の遊びですからね、難しい話は抜きにして、こうして頭の中で一人想像をめぐらしたり、突飛もないこと考えたりして、楽しんでます)

弓矢なら那須与一とか出てきそう、などと考えていると「見立那須与一図」宮川長春 が出てきました。2つの軸がセットになって展示されているのを見ると
広い海のイメージが湧いて面白いです。海の途中が省略されて、弓を引く人と扇を持つ人だけにクローズアップされているような感じ、と言えば伝わるでしょうか。

「洛中洛外図屏風」では祇園祭の立鉾巡業の様子が描かれています。今も昔もお祭りは庶民の楽しみです。一人一人よく描かれています。こういう絵巻物や屏風の中の人々の顔の向きってすごく自然。みんな同じ方向を見ているわけではない「好き勝手ぶり」を当たり前に描いているのですが、まるでこちらが人々の生活を覗かせてもらっているような気分になれます。

根津美術館には茶道具だけの展示室があり、季節に応じた展示がされているので、行けば必ず見ます。今回のテーマは「除夜釜」大晦日から元旦にかけてのお茶席をイメージしたものです。ここでのご馳走は「大晦日」という銘のついた茶杓。
すごく贅沢です。こんなピンポイントな銘が付いてしまったら、その時期にしか使えません。
作者は江岑宗左。千利休の曾孫で表千家の四代目。
お兄さんは武者小路千家を、弟さんは裏千家をそれぞれ受け持ち、三千家に分かれたターニングポイントの方なのです。江岑の没後、2021年で350回忌を迎え、2022年秋には表千家北山会館で江岑を特集した特別展が開催されていました。
ちなみに表千家の当代お家元は学生時代に江岑の研究をされたとかで、ひときわ思い入れも深い様子でした。

根津美術館はお庭やカフェもあり、展示規模も程よく、私の好きな美術館の一つです。オンライン予約も使いやすいのですが、「会員は予約不要でいつでもお入りいただけるようになりました」と教えていただき、うれしかったです。
これで週に1日くらい20時くらいまで開けてくれればもう完璧!なのですが、贅沢は申しません。またのんびりしに行きます!

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