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漆器は英語表記でJapanとよばれ、
日本を代表する工芸品とされている。
にも関わらず
学校教育において学ぶ機会は極めて少ない。
それは以前
学部生や高校生たちと、棉づくりをした時と
とてもよく似ている。
なぜ自国の代表的伝統文化がこれほどまでに周知されていないのか。
その理由は、漆器の歴史資料が極めて少ないことにあると、筆者はいう。
塗料や接着液にすぎない漆が、なぜ文化とよばれるのか。
化学的な事は置いておくとして、
日本人特有の象徴的ともいえる価値観が影響していると私は思う。
さらには縄文と弥生的思考の差も漆から考察する。
赤色漆主体の縄文漆器に対して、
弥生時代前期は赤と黒との塗り分けと細密な意匠で飾るものも見られるが、中期にはその意匠性が消え、後期になると黒色漆が主体となり古墳時代に移行する。
太陽の色、血の色、復活再生の色である赤色漆を
幾重にも塗りこめることに価値を見出した縄文的思考と、
器形や用途の機能を重視する弥生的思考の差も注目していくと興味深い。
また
植物学上の原産地は中国と言われている。
(中国では約8000年前の漆の木弓が出土)
しかし、福井県若狭町鳥浜にある鳥浜貝塚から1984年に出土したウルシの枝は、12600年前のものということが2005年に突き止められた。
これは、日本にウルシがあったことを示す国内最古の例という。(鳥取県立若狭歴史民俗資料館蔵)
これにより、ルーツが中国なのか日本なのかが未だ解明されていないウルシの木。
漆は「乾く」という現象が
水分が蒸発する意味とは違って
塗膜ができることを言い
塗膜を作るには、高い湿度と酸素が必要である。
縄文人がその事を習得し、精製漆を作っていたとすると、その技術と知力にとても驚く。
参考書籍
漆I、漆II
ものと人間の文化史
四柳嘉章 著
法政大学出版局
漆学
植生、文化から有機化学まで
宮越哲雄 著
明治大学出版会
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