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光れ!?乾物屋さん【第4話】

次の週末。

健太の一日は、アキラの乾物屋での一風変わった撮影準備で始まりました。

今日の目標は、アキラが伝えたい「光るひじき」の魔法を、料理を通じて世界に広めること。二人は店の奥の小さなキッチンでカメラをセットアップし、撮影のための最後の準備を整えていました。

食材が光る理由

先日。
アキラと共に未来の食材のパワーを現代で広めると決めた時から健太はずっと、不思議に思っていることがありました。

「アキラ、勘違いかもしれないんだけど。
この店の乾物は、干からびた感じがしなくて、なんとなく、内側から光っているように感じるんだ。
未来の食べ物は、みんなこんな感じなの?」

アキラは、健太の言葉に嬉しそうに笑い、こう答えました。

「健太、君はこれまで「食べる」という行為について、どう思っていた?
単に空腹を満たすため、あるいはエネルギーを補充するためだけのものだと考えていなかったかい?

しかし、食べ物にはもっと深い意味があるんだ。特に、私たちが未来で学んだことがある。
それは、自然のエネルギーをたっぷりと受け取って育った食べ物には、特別な力が宿っているということ。
そう、食材が光り輝くのは、その証拠なんだ。

例えば「光るひじき」は、最もエネルギーが高まる状況で育ち、丁寧に加工された結果、その力を内包している。
そして、これらの食材を感謝の気持ちを持っていただく時、私たちの体だけでなく、心も健康になる。

それは、ただ栄養を摂取する以上のこと。
私たちが自然と共に生き、その恩恵を受け取っている、深いつながりを感じる瞬間なんだ。

未来では、この事実が広く知られるようになり、高級食材店はこのようなエネルギーの高い食材で埋め尽くされている。それは、食べ物が単なる物質を超えた、生命力を与える源として重宝されているからだ。」

そういったアキラはかっこいい顔がとろけてしまいそうなほどにくちゃくちゃの笑顔になって言いました。

「健太、僕は嬉しいよ!
現代人にも、食材のエネルギーがちゃんと伝わるんだってことがわかって、とても嬉しい!

このメッセージを多くの人に伝えたい。食べることの大切さ、そして自然と共に生きることの大切さをね。
私たちの体は、食べたものから作られる。だからこそ、何を食べるかが、私たちの未来を形作るんだ。」

アキラは本当に嬉しそうです。健太はそんなアキラを見てこう思いました。

この男は、見た目はすごくシュッとしていて近寄りがたいくらいなのに、どうしてこんなにも素直なんだろう。
大人になってからこんなに感情をダイレクトに出すことって、あんまりない気がする。
未来人はみんなこんな感じなのかな。

アキラの笑顔を横目に見つつ、健太は作戦を練ります。
健太は、にわかには信じがたい魔法のようなことを、どう伝えればいいか考えた挙句、とりまSNSで発信してみよう、と考えたのでした。

光るひじきの煮物を作ろう!

そして、迎えた週末。

念の為に、アキラも健太も顔バレしないような角度で撮影することにしました。

アキラがカメラに向かって語り始めます。
「ひじきには豊富な鉄分が含まれているんです。これは身体に必要な栄養素で、酸素の輸送能力を上げてくれます。が、それだけではありません。私たちの体だけでなく、心にも活力を与えるんです。」

アキラはカメラの前で淡々と料理を始めます。
彼の手際の良さに、健太はただただ圧倒されるばかり。

今回のレシピは「光るひじきの煮物」。
未来の科学で明らかにされた、ひじきの持つ栄養とエネルギーを最大限に活かすシンプルでヘルシーな料理です。

健太は料理のアシスタントとして、アキラが手際よく刻む野菜や、鍋の火加減を調整しながら、アキラの動きをカメラに収めていきます。
二人の息は完全に合っており、まるで長年の共演者のような連携を見せていました。

料理が完成し、健太とアキラはカメラの前でその煮物を試食します。
一口食べるごとに健太の頭上でミラーボールが輝きました。

「光るひじき、って、オレの頭が光るのかよ!?」
人々を元気にする魔法ってどんなものかと思ってたら、単なるギャグだったとは!

大笑いする健太とアキラの映像は、LIVEで配信され、気がつけば多くの人が見ていることに2人は気が付きました。

「うそでしょ?」「なにこれ変なの」「これ、マジの画像?」「んなわけない、編集だろ?」
この楽しい演出は視聴者にも驚きを与え、コメント欄はいろいろな言葉で溢れかえりました。

動画の最後は、アキラの店の紹介で締めくくります。

EMO乾物店。
健太が新しくつけた、アキラの店の名前です。

「高エネルギー乾物屋、って、どう考えても怪しすぎるんだよな」
アキラの未来センスでは絶対に人が来ないと思った健太が考えた店名の由来は、

  • E: "Energetic"(エネルギッシュな、活力に満ちた)

  • M: "Mystical"(神秘的な、不思議な力を持った)

  • O: "Organic"(オーガニックの、自然由来の)

"E"、"M"、"O"を頭文字とする英単語の組み合わせで、高エネルギーで波動の高い食品を扱う乾物店という意味を持たせると同時に、日本の懐かしさを売りにできないか、と考えられました。

お店の場所や連絡先は伏せて、告知だけに留めましたが、SNSのDMには質問が殺到。
どこで買えるのか、という問い合わせも多く寄せられ、健太とアキラは未来に希望を感じ始めました。

その矢先・・・。
現代で未来の食材を売る困難に、2人はぶつかるのです。

次回、健太とアキラの挑戦をお楽しみに!

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