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警察の昇任試験(巡査部長)に最短合格する方法を公開

警察の昇任試験(巡査部長)について勉強方法や答案の書き方、コツなど現役警察官の方から質問やご相談が多いので、今回は僕の体験談に加えて関東の自治体で勤務されていた元警察官の方(Aさん)からいただいた昇任試験勉強方法を紹介します。

ちなみにこの記事のトップ画像は僕自身で退職前に記念撮影したものです。巡査部長の階級章を付けたときの喜びと重み、そしてどのようにすれば早く昇任できるかをAさんの体験談と一緒に詳しく解説します。

巡査部長の昇任試験の難易度

Aさんは若手で巡査部長に昇任後、交通課に異動されています。別の自治体で昇任された方から試験内容や答案用紙の書き方を詳しく聞くのは初めてでドキドキしたのですが驚いたことに答案用紙の書き方は大体が共通しており、必須知識も僕の自治体と同じでした。試験の難易度もほとんど同じで、求められている法律知識まで同じだったのです。

それでは巡査部長になるためどのような知識が必要かと言うと、基本的な内容として警察官職務執行法や現行犯逮捕や緊急逮捕、そして専務的な各種法律と警察改革に起因する各種取り組み状況と問題点への把握。

これをほぼ完璧に回答できなければ合格は難しいのですが、警視庁でも大阪府警でも福岡県警でも昇進試験に合格するためには一定の知識が求められます。これは何故かというと日本全国の都道府県において幹部の知識量に差があってはならず、弱い自治体と強い自治体という差をつけてはいけないからなのです。

僕は巡査当時、試験に合格する人と不合格になる人の違いを分析していると不合格になる人のほとんどが仕事を大体の流れで済ませて法的根拠を理解していないことに気付いたのです。

雑用を後輩に任せて難しい擬律判断は上司任せ、事件処理をノリで終わらせているので法的根拠を文言で説明することができない巡査長が多く、そういう人は逮捕した理由や逮捕できない理由、保護する理由や保護できない理由、私有地に立ち入ることができる理由、写真撮影・指紋採取を拒まれる理由、職務質問でカバンの中を見ることが出来る理由、拳銃を撃てる状況とその理由、逮捕した被疑者が弁護士とやり取りできる理由、それらに法的根拠を付随して確実に説明することができないことに気付きました。

後輩から「さっきの事案はなぜ〇〇なんですか?」と聞かれてお茶を濁すように答える人もおり、そういう人は後輩からも「この人、実は法律詳しくないな。ノリだけでやっているな」と見透かされていることも多いです。

昇任したいと思うタイミングは人それぞれ

僕は一線に出てすぐ内勤に入れてもらえたのですが、そこが非常に居心地良くチヤホヤされる部署だったので昇任は絶対にしたくないと思っていました。

ただ基本的な法律知識は必要ですから警察学校時代の教科書は捨てずに読んでいましたし、TOP(筆記試験勉強用の本)を購入して仕事に求められる最低限の知識はつけていました。

なのでSAに落ちたことは一度もなく、二次試験にほぼ無勉で臨むという定年間際の巡査長みたいなことをしていました。

ですが、紆余曲折を経てこの部署から異動して地域課に出たときに階級の大切さを知ることになります。

事案対応の際、市民が巡査長レベルの話を聞いてくれないのです。階級章をジロッと一瞥して「星が2つの奴の話は聞けんわ。」と頭ごなしに否定され、僕は後輩の中でポツンと取り残されました。

これまでSAでも高得点を取ったので法的知識はあるのに、どれだけ良いことを言っても相手には響きません。

何を言ったかではなく誰が言ったか

現場では、警察組織ではこれが全てでした。ユーチューブでもチャンネル登録者の数だけで説得力を値踏みされますが、現場でも同じように階級章の星の数だけで発言力に大きな差が生まれることに気付いたのです。

そしてその現場では僕よりも若い巡査部長が来て場を収めてくれたのですが、僕はそのとき恥ずかしさと悔しさで一杯でした。後輩が見てる前で階級のことを指摘され、若い巡査部長に手助けしてもらわなければ解決できない自分の不甲斐なさに悶絶しそうでした。

巡査部長になるために必要な勉強時間

僕はその日から昇任することに決めました。何を犠牲にしても昇任すると決め、1年間は遊ぶこともなく1日に13時間ほど勉強して合格したのですがこの苦労と勉強量は人生でも初めてでした。

それでもここまでしなければ絶対に合格は不可能でしたし、周りの人も同じ位は勉強していました。

たかが巡査部長と世間では思われていますが、幹部になる登竜門がこの巡査部長試験ですから適性がなければ合格することは絶対に不可能です。

僕も試験に本気で取り組むまでは半分舐めていましたが、出題範囲と難易度を知り青ざめた瞬間を今でも覚えています。

こんなの1年くらいかけて勉強しないと合格できないんじゃないのか?

その予想は大当たりで、巡査部長になるには最低1年は費やして勉強しなければ網羅できないレベルに設定されています。

逆に言うと1年本気で勉強すれば合格レベルに達することができるのです。

仕事をしながら勉強するのは大変ですが、勉強の習慣が身に付けば遊ぶと罪悪感が生まれるほど勉強の鬼になれます。

警察官職務執行法や現行犯逮捕、緊急逮捕を理解する

合格するまでは本当に大変で、もし合格できなかったらと考えたとき1年が無駄になるのが不安でした。それでも昇任試験に合格できたのは遊びも趣味も全て投げうって努力したからであり、これができないから多くの人は試験に合格できないのです。


警察官職務執行法も暗記することはとてつもなく難しいですが、丸暗記ではなく理解して必要部分だけを説明することができれば簡単に覚えることができます。

つまり暗記と理解は全く別物なのです。

僕は試験対策として必須科目を確実に理解することと、間違った資料を集めないことに尽力しました。

昇任試験の勉強をしていると、とんでもない過去の資料が出回っていたりしてそれを延々と勉強している人もおり、その場合は法律改正や出題傾向も改変されているので無駄な努力に終わる場合もあります。

つまり努力するなら最短で必要なことを詰め込んで勉強しなければ自己満足で終わってしまう可能性も高いのです。

この件については別記事『警察官が出世するための昇任試験(昇進試験)の勉強方法について』で詳しく解説しているのでご覧ください。

昇任試験の勉強方法と答案の書き方

そして僕は巡査部長に昇任できたのですが、この時は祖母も含めて家族が全員喜んでくれました。星がひとつ増えた階級章を付けた瞬間、体中に電気が走ったように感激しました。

これでようやく一人前だなとその時にホッとしたのを覚えています。

それでは前置きはここまでにして、ここからは関東の大規模自治体で巡査部長昇任試験に合格されたAさんのアドバイスを紹介します。内部の話が多いので、ここからは巡査部長試験に挑む方に限定公開させていただきます。ご了承ください。

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