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新型コロナ治療薬 ②ラゲブリオ
なんだか急に朝は涼しくなりました。
通勤の方もマスクなしの方が増えてきましたね。
5/8から、新型コロナも5類になったので、
そろそろコロナネタも終了の予定ですが、
もう少し内服薬について少しまとめます。
今回はラゲブリオです。
他の薬と違って、同意書もいらなくなりましたが、
あくまで、重症化リスクがある方が対象です。
Molnupiravir plus usual care versus usual care alone as early treatment for adults with COVID-19 at increased risk of adverse outcomes (PANORAMIC): an open-label, platform-adaptive randomised controlled trial.
Lancet. December 22,2022.
背景
SARS-CoV-2の経口抗ウイルス薬であるモルヌピラビルの安全性、有効性、費用対効果は、COVID-19による罹患・死亡のリスクが高まる地域のワクチン接種患者においては確立されていない。我々は、この集団において、通常のケアにモルヌピラビルを追加することで、COVID-19に関連する入院や死亡が減少するかどうかを確認することを目的とした。
そもそも最初の緊急承認では、
ワクチン未接種者で効果を検討していました。
この研究ではワクチン接種者を含めた効果の再検討です。
当初の承認の経緯は
COVID-19:FDA expert panel recommends authorising molnupiravir but also voices concerns. BMJ. 02 December 2021.
に詳しく書いてます。
(これを読んだら、飲んだり処方したりするのにちょっと躊躇します。)
方法
PANORAMICは、英国を拠点とした全国規模の多施設共同、非盲検、多群、前向き、プラットフォーム適応型無作為化対照試験です。参加資格は、50歳以上、または18歳以上で関連する併存疾患を持ち、地域社会で5日以内にCOVID-19が確認され、体調を崩している人でした。参加者は、800mgのmolnupiravirを1日2回、5日間投与する群と通常のケアを受ける群、通常のケアのみを受ける群に無作為に割り付けられた(1対1)。 年齢(50歳未満 vs 50歳以上)およびワクチン接種状況(あり vs なし)で層別化された。COVID-19のアウトカムは、無作為化後28日間、自己記入式のオンライン日誌で追跡されました。主要アウトカムは、無作為化後28日以内の全死因による入院または死亡で、無作為に割り付けられたすべての適格な参加者についてベイズモデルを用いて分析された。
いろいろ難しいこと書いてますが、
前向き無作為試験です(コロナ関連では後ろ向き研究が主流でしたね)。
入院か死亡が減らせれば有効と判断します、と宣言して研究開始です。
飲む量も通常量です。
真っ赤で大きいカプセル1回4つ飲む必要ありで、
元気のないお年寄りは飲めないことも多いような。
結果
2021年12月8日から2022年4月27日の間に、26411人の参加者が無作為に割り当てられ、12821人がモルヌピラビル+通常ケアに、12962人が通常ケアのみに、628人がその他の治療群(別途報告される)に割り当てられた。モルヌピラビル+通常ケア群から12 529人、通常ケア群から12525人が一次解析集団に含まれた。集団の平均年齢は56.6歳(SD 12-6)で、25708人の参加者のうち24290人(94%)がSARS-CoV-2ワクチンを少なくとも3回接種していた。入院または死亡は、モルヌピラビル+通常ケア群12529人中105人(1%)に対し、通常ケア群12525人中98人(1%)で記録された(調整オッズ比1-06 [95% Bayesian credible interval 0-81-1-41]; 優越性の確率0-33)。サブグループ間で治療の相互作用を示す証拠はなかった。重篤な有害事象は、モルヌピラビル+通常ケア群では12 774名中50名(0~4%)、通常ケア群では12934名中45名(0~3%)で記録された。これらの事象はいずれもmolnupiravirとの関連はないと判断された。
すこしややこしいので下にまとめております。
オミクロンが流行ってきた時期での検討です。
26000人が、ほぼ半分モルヌピラビルあり、
ほぼ半分モルヌピラビルなしに振り分けられました。
平均年齢56.6歳と若い集団です。
94%が3回ワクチン接種済みです。ほぼ全員です。
入院、死亡は両者とも約1%で差はなく
副作用も差がないようです。
体が大きい欧米人ですので、
小柄な日本の老人が同じ量のんで、
副作用出ないかは不明です(肝機能障害など)。
考察
モルヌピラビルは、高リスクのワクチン接種を受けた成人の地域社会におけるCOVID-19に関連した入院や死亡の頻度を減少させることはなかった。
残念ながら入院や死亡を減らす効果はないようです。
フランスでは、昨年末、ラゲブリオの発注を取り消ししてました。
(フランスがメルクのコロナ飲み薬発注取り消し、期待外れの試験効果で。ロイター2021/12/23)
アメリカでも、積極的な推奨薬にはなっていません。
資金
英国国立医療研究機構(National Institute for Health and Care Research)
資金元として、製薬会社は絡みなしです。
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