「Paxlovidは多くのワクチン接種者には効果がなかった」そうです。

最近暑いなーと思っていたら、
今日は全国的に雨で、ひんやりとした気候です。
今日も電車に大幅な遅れがありました。
最近多いような気が・・・。

今日のお題は、
新型コロナウイルスの治療薬、
Paxlovid(パキロピッドパック)の効果について、
販売元のファイザーが発表した論文です。
当初言われていたような効果はなかったようです。


Paxlovid Doesn’t Work in Many Vaccinated People: Pfizer Study.
TheEpochTimes. 4/4/2024.

ファイザー社のCOVID-19は、同社の科学者が発表した新しい論文によれば、多くのワクチン接種者には効果がなかった。
パクスロビドとプラセボ投与者の間には、症状が緩和されるまでの時間に関して統計的に有意な差はなかった、と科学者たちは新しい論文で報告している。ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌に発表されたこの論文は、ニルマトルビルとして知られるこの薬剤について、同社が資金を提供した第2-3相試験の結果について述べたものである。

Nirmatrelvir for Vaccinated or Unvaccinated Adult Outpatients with Covid-19.
N Engl J Med 2024;390:1186-1195. April 3, 2024.
こちらの論文のようです。

この試験には、COVID-19陽性で、少なくとも1つのCOVID-19症状を示し、以前にCOVID-19ワクチンを接種したことがあり、重度のCOVID-19の危険因子(喫煙者など)を少なくとも1つ有する成人が登録された。参加者は2021年8月25日から2022年7月25日まで無作為に割り付けられた。

時期的にはデルタ株の時期です。
ちなみに、米食品医薬品局(FDA)は2021年12月22日、
緊急使用許可(EUA)を認めました。
2023年5月には、
重症化リスクの高い軽症/中等症の成人患者を対象に、
正式承認を取得しています。
症状発現から5日以内に治療を開始した患者の死亡リスクを、
プラセボと比べて86%減少させたとのことでした。


1,296人の参加者のうち、654人は少なくとも1回300ミリグラムのパクスロビドと少なくとも1回100ミリグラムのプロテアーゼ阻害薬であるリトナビルを投与された。残りはプラセボを投与された。
その結果、28日目までのCOVID-19の症状が軽減するまでの期間の中央値は、治療群で12日、プラセボ群で13日であった。この差は「有意ではなかった」と著者らは書いている。

中央値 (95% 信頼区間) では、
治療群12 (11–13)日 vs偽薬群 13 (12–14)日(P=0.6)
平均 日数では、
治療群13.8日 vs 偽薬群 14.1日でほぼ同じでした。


ハイリスクサブグループ(すなわち、ワクチン接種歴があり、少なくとも1つの重症化の危険因子を有する参加者)および標準リスクサブグループ(すなわち、重症化の危険因子を有さず、ワクチン接種歴がないか、過去12ヵ月以内にワクチン接種歴がない参加者)においても同様の結果が観察されました」と研究者らは付け加えた。
副次評価項目であるCOVID-19に関連した入院または死亡を測定したところ、パクスロビド投与群では0.8%であったのに対し、プラセボ投与群では1.6%であった。この差は統計的に有意ではなかった。また、プラセボ群では平均して入院期間が長く、集中治療室への入院が多かった。

参加者は、
平均年齢42歳と若く、 
ワクチン接種率も50%台と低かったようです。
(日本では90%超えてる気が・・)
重症化リスク(BMI>30、高血圧、糖尿病,65歳以上など)
を有する割合は50%程度のようでした。
当初言われていた重症化予防効果ははっきりしなかったようです。


著者らは、この結果から "重症COVID-19罹患のリスクが高くない患者におけるニルマトルビル-リトナビルの有用性は確立されていない "と述べている。
この論文には、最後のワクチン接種からの期間に関係なく、ワクチン接種を受けた人を登録したことが含まれている。
ファイザー社は以前、"標準リスクの患者集団で観察された入院または死亡の割合が非常に低い "ため、試験の登録を中止すると発表していた。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校の疫学教授で、この研究には関与していないヴィネイ・プラサド博士は、この試験はパクスロビドが "ワクチン接種者には効かない "ことを示したとソーシャルメディアXで述べた。
"政権と多くのID(感染症科)医師が、信頼できるデータもなしにこれを推奨しているのを見るのは恥ずべきことでした "と彼は書き、多くの試験データもないまま、この治療法のコースに120億ドル以上を費やしている政府を批判した。
ファイザーとホワイトハウスはコメントに回答をしなかった。

ちなみに効果の程を計算してみると、

・相対リスクでは 0.8/1.6=50
・相対リスク減少率 1-0.5=0.5  (50%)

50%も減らせるならいいような気もします。

以前の報告のリスク減少率の計算でも、
相対リスク減少率で述べられていました。

イベント発症率(入院等)が低い場合、
相対リスクでみると、
わずかな差であっても、
大きな数字に置き換えられることがあります。
そこで、
絶対リスク減少率 1.6-0.8=0.8%
・NNT(治療必要例数)1÷0.8%=125例

1人の入院を防ぐには、
125人に内服させることが必要です。

5日内服で薬価10万円ほどの薬ですけど、
もうコロナも5類だし、
どうなんでしょう?



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