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自己満足のドイツ駐在記録 (2) | 思い出作り

2016年1月。

ドイツ赴任の辞令を受け年が変わってからは慌ただしい毎日が続く。

3月からイギリス支社でまずは2ヶ月の研修。
一旦日本に帰国して改めて準備。
8月にドイツに赴任。

というスケジュールが決まった。仕事の引き継ぎは淡々と、といってもバタバタと。

あとは、しばらく会えなくなるであろう両親との思い出作りも大切に。

特に当時1歳の娘ウチの両親からしたら孫にもしばらく会えなくなるので、地方から東京に遊びに来てもらった。

行き先はテッパンの東京スカイツリー。

展望台に着いて地上350mから関東平野を一望すると、日本の首都東京の発展に目を奪われる。

遠くにいくつか見えるビル群、品川、新宿、渋谷、そんなビル群がいくつもある都市は日本ではここ東京しか無い。

かと思えば、足元には昔ながらの長屋のような住宅が立ち並ぶ下町が広がる。なんとも不思議な景色。しかしながらこれこそがある意味でユニークな景色なのだろう。

とかとか考えながら景色を楽しんでいると、

「記念にお写真はいかがですか?」

と声をかけられる。

展望デッキに必ずある記念写真コーナーである。

今は分からないが、当時はベンチの真ん中にスカイツリーのイメージがドーンとあり、スカイツリーと一緒に写真が撮れる、という感じになっていた。

(東京スカイツリーの中でスカイツリーと一緒に写真を撮るってなんだか変だなぁ)

と感じた私。加えて値段も高い。

ケチな性格の私は大体この手の観光客向けのサービスは鼻っからお断りなタイプ。

でも今回はじじ・ばばが一緒だ。

「ウチが出すから写真撮ってもらおうよ、しばらく会えなくなるんだし」

とか言って、撮ることになった。

(いい年こいて、しかも観光客丸出しじゃないか。あー恥ずかしい)

と思っているのは私だけ(もしかしたら妻もそうだったのかもしれないが)ウチの娘と両親はノリノリで写真撮影に参加。

「いきますよー、はいチーズ」

ということで撮影した写真をこれまたスカイツリー全開のデザインになっている額におさめられた写真をウチと両親の2セット購入。いいカモである。

しかし、そんな嫌々というか恥ずかしい思いをして撮影した写真が7年経った今、我が家のリビングの飾り棚に飾ってあると悔しいがいい思い出として残っている。
そう思うと悪くない買い物だったと今は思う。


というのが、両親との思い出作り。

そして自分たちは、やっぱりしばらくいけなくなるであろう温泉を堪能するため、初めて草津温泉にいってきた。

いやぁー、あの湯畑は圧巻でしたねー。お湯もいいし。最高の思い出となった。本帰国したらまた行きたい!

と、そんなこんなで思い出作りにいそしんでいると、あっという間に3月末のイギリス研修の時となった。

(いよいよここから海外赴任が始まるのかぁ)

とか考える余裕もなく仕事もプライベートもバタバタだった。

そんな時、会社の先輩から

「よし、壮行会しよ!」

と誘われて飲みに行くことに。

(壮行会というんだから、特別なところに連れて行ってくれるのか?)

との期待も裏腹に駅裏のちっちゃな居酒屋でいつものメンバーでただダラダラ飲んで終わった。

(まぁ、特別視するのは自分だけだなぁ)

と思い改めていた帰り際、急に先輩が改まって、

「いやー、めがねくん、今日はありがとう。もうすぐイギリスだよね。これ餞別。頑張ってね」

と急なプレゼントをもらう。

なんだろうと思いながら

「開けてみて」

と言われたので開けてみると、それは3年日記だった。

(え?日記?日記とか書かないんですけど…)

という心の声が聞こえたのか、露骨に表情で出してしまったのか、先輩はつかさず

「まぁ騙されたと思ってちょっと書いてみてよ。必ず君のバイブルになるから!

と酔った勢いもあり、なんだか大層なことを言われた。

「あ…はい…アリガトウゴサイマス」

と私は渋々受け取った。

思わぬプレゼントに少々困惑した私だったが、まぁせっかくだしと思い日記をスタート。

そしたら意外にも書くのが楽しくなって、実は7年経った今でも継続中。あの時は自分が日記を書く習慣をもつとは夢にも思っていなかったが、今ではその日の出来事や感じたことをちゃちゃっと書き記している。3年日記なので、3冊目の途中。

これらがバイブルになるかどうか、は今でも甚だ疑問だが、まぁ良き思い出にはなっているなぁという実感はある。

なのでこれから新生活を始める人、私みたいに海外赴任・生活を始める人におすすめしたい。

当時、そのプレゼントしてくれた先輩からは、

「なるべく感情の起伏を書き残しておくといいよ」

とのアドバイスももらった。

そういう自分の感情が触れた時こそ、自分の本心が現れるし、あとで見返すと特に変化が感じられやすいから、とのことだ。

という訳で当時は?な餞別を片手に、イギリスに旅立っていった私でした。

つづく

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