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眼鏡絵本のレビュー(その4)アイパッチ治療がテーマの本『アイパッチのぎょうれつ』『わたしのすてきなたびする目』

こんにちは。近藤ろいです。
皆様サンタクロース代行業はうまくいきましたか?
我が家は、このサイトの主役でもある上の娘が「癇癪をよく起こすからプレゼントをもらえるかわからない」と本気で思ったのか、
うなされては1時間ごとに起きるので大変でした。


さて、いつもの口上です。

今4歳の上の娘は弱視治療をしています。
「遠視性不同視弱視」といいます。左目が強い遠視であまり見えておらず、治療をしなければ将来眼鏡をかけても視力が出ないかもしれない状態です。

普通の3歳児健診で発見されました。

ここから数回は、「当事者母が語る! 日本一詳しい子どもの眼鏡治療・アイパッチ治療関係の絵本レビュー」と題して、
発覚当時、娘のために借りた絵本と娘本人の反応を綴ります。

娘が3歳10ヶ月~4歳2ヶ月くらいの間に読んだものなので、4歳前後の子どもの反応ということになります。

目次ページを設置しました。
こちらです。

他の本も読んだらまた加えていく予定です。

ではレビューです。今回はいよいよ…

アイパッチがテーマの本

アイパッチのぎょうれつ

著者 すずき ひろこ (文),いかり りか (絵) 出版社: 風媒社

絵本の魅力 先天性白内障を患う少女の治療と成長の物語です。

これまで紹介した絵本が比較的大きくなってから眼鏡をかけることになった子どもの話でしたが、
この絵本は赤ちゃんの頃に診断が下った子どもさんの、実話に基づくお話です。

同じ施設に通う保護者の方2名で絵とストーリーを作られたようで、イラストは"お母さん"の思いがにじむような、優しくどこか懐かしい絵柄です。

ごく幼い頃に弱視が見つかった子どもはどんな治療をするのか、そして本人だけでなく家族はどう受け止めるのか、ということも自然に描かれています。

これまで紹介した絵本が「主人公の葛藤と解消を描いた、主人公のストーリー」だとすると、
こちらは家族の中のその子、という視点なんですね。さすがお母さんの作られた本です。

(そうそう、周りも無関係ではいられないのよ。親だって色々考えるのよ!わかって娘よ!)なんて読み聞かせながら思っていました。

子どもの反応 これも食いつきがとても良かったです。アイパッチがテーマの本は少ないですからね。

自分と同じくらい小さい女の子、というのも親しみが持てたようです。
「自分のように苦労をしている女の子はいるんだなあ、嫌な思いをしているのは私だけじゃないんだなあ」。

そんな風に、アイパッチ治療という孤独な戦いに思いを馳せていたようでした。


「うちはお母さんが色んなアイパッチを作ってくれるんだよね」と嬉しそうに話してくれて、こちらも心が安らぎました。

ところで作中に、治療用コンタクトレンズとシールタイプのアイパッチを常時着用する主人公を可愛そうに思い、両親が育てていたところ、「だんだんわがままになってきました」という一文があります。

そこを読みながら娘を肘でツンツンしてニヤリと笑いかけたところ、意図が伝わったようで、次の日からは同じ箇所を読むと
(ハイッ私もです!)
と横で手を上げる娘がおりました。

自覚はあるのねん。

保護者の視点から描かれた絵本を親子で一緒に読むことは、親にとっても労りになるんだなあ…と感じたこともあり、無謀にも自作絵本をネット上で販売することになったのはここだけの話です。


わたしのすてきなたびする目

作: ジェニー・スー・コステキ=ショー 訳: 美馬 しょうこ 偕成社

絵本の魅力 これはコラージュの手法によって描かれているようです。

一つ一つの事象の表し方が、主人公の子ども本人の主観そのままで、コラージュの持つ独特の雰囲気と相まって、芸術的でおしゃれ!

余談ですが中学生の時、美術の時間にコラージュを習ったのですが、今一つコツがつかめず不完全燃焼で終わったのを覚えています。

この絵本を見て「ああ、コラージュってこんな風にいいものなのね」と約25年ぶりのカタルシスを覚えた近藤でした。

斜視の女の子がとうとう眼科を受診し、治療用眼鏡とアイパッチをすることになる、その葛藤と解消です。

この子はシールタイプのようです。ここでもやはりお母さんの助けがあって主人公は前に進めるので、親子で読んでいて「うちも二人三脚やな感」を娘も私も感じていました。

出てくるアイパッチはどれもきれいなデザインです。

子どもは喜んでいましたが、デコアイパッチを作る身分の私としては「同じものを全部作れと言われたらどうしよう」と冷や冷やしながら眺めていました。

そしてわが子は不同視弱視なので斜視のことは全く知らないのですが、右目と左目で見えている世界が違う場合もあるんですね。

私は脳内でうまく一つの風景に処理しているのかと思っていました。

「そりゃ大変だわ!」と思うのは大人の乾いた思想。

絵本では、主人公が右目と左目、いずれが持つ世界も大事にしていることが明確に描かれています。

弱いから治さなくてはならない、は子どもには知ったことではないんですね。
治療といえども、子ども本人にとっては自分の「見え」の世界を変革させられる侵襲的な体験なのだなあと気づかされました。

子ども本人の反応 喜んでいましたね。アイパッチがテーマの絵本は本当に少ないので。
前述の、子ども自身は弱い方の目の見え方も大事にしている、という点も、本人にとっては安心したのかもしれません。

本文の結構早い段階で、弱い方の目を「怠けちゃっている目」と医師が表現するシーンがあります(もちろん主人公は内心では言い返すのですが)。

とはいえ、悪意のない差別的な呼称に娘は自分を重ね合わせて傷ついたりするのか?と気になりました。

初見では「えっ、そんなひどい言い方」という表情でしたが、通しで何度も読み返しているうちに、あまり気にならなくなったようです。

そして「眼鏡もアイパッチも医師の処方箋がないと着けられない、羨むべきもの」という描かれ方にもふふんと満足気でした。


ところで治療用眼鏡もお母さんと一緒にマスキングテープのようなもの?で装飾するシーンがあり、もちろん娘も言うわけです。

「私もこういう風に飾りたいなあ」

嫌なアイパッチ治療をがんばっていることを知っている母としては、「そうね、また機会があればね」と表面上は全肯定で返事していました。

6万円する治療用眼鏡にシールベタベタの日は来るのか…。


以上がアイパッチがテーマの絵本でした。


以下、宣伝です


「3歳児健診で眼科に行くことになり、眼鏡を掛けることになった」がテーマの本そのものは無かったので、描きました。

絵心は無いのに大冒険です。

120円で販売しています。紹介ページはこちら。

紹介ページの後半、絵本データをダウンロードする箇所だけが有料で、紹介リンクそのものは無料です。
よければサンプルだけでも覗いてみてください。



次回は分類しにくい「その他もろもろ」をレビューします。