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吸入麻酔の濃度はどう決めているの?

吸入麻酔薬ってどのくらいにしておいたらいいんだろう。
麻酔科の先生達は適当に気化器をひねってるようにみえるけど、、。
どうやって決めてるんだ?

今回はそんな疑問にお答えします。

長くなってしまったので2回に分けて解説です。

先に答えをいってしまうと【0.7MAC】で維持します。

■ まずは難解なMACの話

麻酔の勉強をすると最初の方に出てくる【MAC】

吸入麻酔濃度を語るときに使う概念です。

が、正直ちょっと難しいです。
私も初めて勉強したときはすんなり入ってきませんでしたw

話はわかるんだけど、理解できない。
そんな感じです。

まずMACはMcDonaldでもMacintoshの略でもありません。
Minimum Alveolar Anesthetic Concentrationの略です。
直訳すると「最小肺胞内麻酔濃度

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どうやら麻酔の濃度のことらしい。

ちなみに単位は「」です。
「セボ1%」とか「デス4%」とかいいますよね。
あの「〇%」です。

説明を読み進めると

1MACとは
半数の(50%)人が刺激を加えられても動かない、肺胞内の吸入麻酔薬濃度

はい。
ピンとこないですよね、、。
とりあえず「吸入麻酔薬の濃度のことなんだなぁ」くらいでOKです。
具体例で見ていきましょう。

■ 具体例で考えてみる

これまでの研究で
1MACがどのくらいかはわかっています。

セボフルラン1MACは約2.1%です。

ここで最初の1MACの説明に当てはめてみましょう。

2.1%のセボフルランを投与された人の50%は
刺激を加えられても動かない。

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ということになります。
なんとなくわかったような、、。

■ MACは吸入麻酔薬のみで麻酔をしていたときのなごり

ふむふむ
半数の人が「動かない」吸入麻酔薬の濃度。

、、あれ?
だからなに?

そもそも「眠らせる」ための吸入麻酔薬の話なのに、
なぜ「動かない」話なのか。

変ですよね。
ちょっとズレてますよね。

それもそのはず。

このMACという概念は
吸入麻酔薬単剤で麻酔をしていたときのなごりだからです。

■ 昔は2MACで麻酔を維持していた

現代の麻酔は
鎮静・鎮痛・筋弛緩の役割をそれぞれの薬が担当します。

しかし昔の麻酔は
それをすべて吸入麻酔薬を大量に使用することで実現していました。

手術のときに患者さんが動くのは危ないですよね。

そこで、MACです。

1MACでは手術刺激で半数の人が動いてしまいます。

安全に手術を行うために
2MACくらいの濃度で調整していました。

これで95%くらいの人が
手術をされても「動かない」わけです。

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■ つづく

長くなってきてしまったので一回区切ります!

今回はMACという概念についてお話しました。

ちょっととっつきにくい概念ですよね。

次回は「現代の」MACの使い方について説明します。

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今回の話をもうちょっと細かく知りたい方。
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