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障がい者手帳があれば利用できるサービス その6 補装具・日常生活用具編

身体障がい者手帳や療育手帳(東京都の愛の手帳)、精神障がい者保険福祉手帳の障がい者手帳を持っていると、いろいろな福祉制度を利用できることは知っていますか。

自治体によって利用できる福祉制度やその対象は異なる場合もありますが、障害者手帳があれば税の減免や、交通、施設などの割引や免除を受けることができます。

今回は福祉用具や介護用品の購入などをサポートする、補装具や日常生活用具の給付制度について紹介していきます(最後に他の福祉制度について紹介した記事を掲載しています)。

補装具とは

補装具とは、身体障がい者が装着することにより、失われた身体の一部、あるいは機能を補完するものの総称です。

具体的には、肢体不自由者の義肢(義手・義足)、装具、車椅子、肢装具、歩行補助つえ、歩行器などや、視覚障がい者の盲人安全つえ(いわゆる白杖)、義眼、遮光眼鏡など、聴覚障がい者の補聴器などです。

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(画像は大阪市より)

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(画像はのどかの介護応援サイトより)

1.補装具費支給制度の利用

補装具の購入・借受け・修理を、原則1割負担(世帯の所得状況によって負担上限月額があります)で購入できる制度です。

障害者総合支援法の自立支援給付に該当し、その品目や支給額の上限、耐用年数などは全国共通です。基本的には1つの品目で申請できるのは1つだけですが、盲人安全つえで携帯用と普通用のように用途や目的の違うものの場合、2つ目の申請が認められる場合があります。

申請には以下のものが必要です。

●身体障害者手帳(指定難病患者の場合不要)
●診断書、特定医療費(指定難病)受給者証・小児慢性特定疾病医療受給者証等
●補装具製作業者の発行した見積書

申請の手続きは、基本的に役所の障がい福祉課などに支給の申請し、審査を経て支給が決定されます(支給券が交付される)。その後、補装具の業者と契約を結び、補装具の提供を受けて、代金の支払いをします。全額支払ってから役所へ請求し、給付額を支払ってもらう方法(償還払い)と、手続きを踏んで、市町村から直接業者に代金を支払ってもらう方法(代理受領)とがあります。 

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(画像はのどかの介護応援サイトより)

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(画像は障害福祉情報サービスかながわより)

注意点があります。

●医療保険や介護保険、労災保険など他の制度が優先になる場合があります。
●厚生労働省の定める給付額以上の製品を購入する場合は自己負担となります。
●支給対象の補装具品目の購入しかできません(例えば車いすで手足型車いすの交付判定を受けたなら、差額を自己負担して電動車いすの交付を受けることはできません。もちろん全額自己負担で購入することは可能)。
●定められた耐用年数を超えない時点での破損や故障は、基本的に修理になります(全額自己負担で購入することは可能)。

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(画像は福岡県久留米市より)

2.難聴児特別補聴器の購入に要する費用の支給

自治体によっては、身体障害者手帳の交付の対象にならない中軽度の難聴児に対して、補聴器、イヤモールドの購入及び補聴器の修理に要する費用の支給をする制度があります。

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(画像はのどかの介護応援サイトより)

3.身体障害者介助者用車いす電動補助装置購入費の支給

自治体によっては、常時、車いすを必要とする、在宅で生活する身体障がい者で、電動車いすの操作が困難であり、同居する介護者が高齢、病弱等の理由により普通型又は手押し型車いすでの外出に支障がある方に、介助者用車いす電動補助装置の購入に要する費用の一部を支給する制度があります。

日常生活用具とは

障がいのある方または難病等の方が自宅での日常生活を容易にするための生活用具で、各自治体の行う日常生活用具給付事業の対象となっているものです。

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(画像はトップコーポレーションより)

障害者総合支援法の地域生活支援事業において実施されているため、市町村により給付品目・補助基準額・対象者などが異なります

給付品目は、介護・訓練支援用具(介護ベッドや特殊マットなど)、自立生活支援用具(入浴補助具、つえ、電磁調理器など)、在宅療養等支援用具(透析液加湿器、ネブライザー(吸入器)、音声式体温計・音声式体重計など)、情報・意思疎通支援用具(点字器、点字ディスプレイ、録音再生機、人工咽頭など)、排泄管理支援用具(ストーマ用装具、紙おむつなど)、居宅生活動作補助用具(住宅改修費)に区分され、それぞれ給付対象となる年齢や障がい者手帳の区分と等級、耐用年数などが設定されています。

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(画像は大阪市より)

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(画像は習志野市より)

1.日常生活用具給付事業の利用

日常生活用具を、原則1割負担(世帯の所得状況によって負担上限月額があります)で購入できる制度です。

障害者総合支援法の地域生活支援事業に該当し、その品目や支給額の上限、耐用年数などはお住まいの自治体によって異なります。

申請には以下のものが必要です。

●身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳(指定難病患者の場合不要)
●診断書、特定医療費(指定難病)受給者証・小児慢性特定疾病医療受給者証等
●日常生活用具販売業者の発行した見積書、製品のカタログ

申請の手続きは、基本的に役所の障がい福祉課などに支給の申請し、給付が決定されます(日常生活用具給付決定通知書及び日常生活用具給付券が交付される)。その後、業者と契約を結び、補装具の提供を受けて、代金の支払いをします。

補装具同様に、全額支払ってから役所へ請求し、給付額を支払ってもらう方法(償還払い)と、手続きを踏んで、市町村が直接業者に代金を支払ってもらう方法(代理受領)があります。 

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(画像はとうきょう福祉ナビゲーションより)

注意点があります。

●医療保険や介護保険、労災保険など他の制度が優先になる場合があります。
●市町村の定める給付額以上の製品を購入する場合は自己負担となります。
●定められた耐用年数を超えない時点での破損や故障は、基本的に修理になります(全額自己負担で購入することは可能)。

特に市町村によって上限額や品目が異なるという点には問題も多くあります(もちろん自治体によって財源も異なるのですが…)。

ただ僕個人の知っている事例として、他の自治体で給付対象になっていることや日常生活を送る上でどうしても必要になる合理的な理由を説明して、品目が拡大されたケースや、支援学校の授業で用具の使用方法を学習するため設定された18歳という年齢の前に給付を受けることができたケースなどもあるようです。

状況に応じて役所と交渉した方が良いケースもあるかと思います。

2.点字図書給付事業(価格差補償制度)の利用

一般に点字図書は発行部数が非常に少なく高価になっています。そのため、主に情報の入手を点字によっている視覚障がいの方を対象に、点字図書で年間6タイトル(点字本は墨字本1冊が何冊分になることがざらにあります)、又は24巻を限度に、墨字本(原本)の価格で購入ができる制度です。 

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(画像は日本ケアフィット共育機構より)

介護保険での用具の購入

介護保険で要介護認定が出ている場合は、補装具や日常生活用具の給付ではなく、介護保険制度の利用が優先されます。

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(画像は株式会社BANDSより)

基本的にはレンタル(貸与)となりますが、要介護の身体に直接触れる福祉用具や排泄に関する福祉用具、衛生面や心理面でレンタルにはなじまない福祉用具は原則1割負担(世帯の所得状況によって負担上限月額があります)で、年間10万円を上限に給付を受けることができます。

対象は、腰掛け便座、自動排泄処理装置の交換可能部分、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトの吊り具の部分です。

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(画像は株式会社BANDSより)

検討される場合は、担当のケアマネージャーさんに相談してください。

まとめ

前回からかなり時間が経ちましたが…笑

自分の授業の中では福祉制度について子どもたちに紹介したり、市役所見学を企画したりしています。支援学校教員として、当事者の方はもちろん、保護者の方や支援者の方にも福祉制度についてお伝えしていく必要があるよなぁと思っている次第です。

手帳があることによって受けられるさまざまなサービスなどを今後も紹介していく予定です。よければ参考にしてみてください。


参考にしたサイト

1.大阪市 福祉のあらまし

2.堺市 補装具の支給

3.堺市 日常生活用具

4.のどかの介護応援サイト「補装具ってなに?どんな時に必要なの?」

5.厚生労働省「福祉用具」

6.厚生労働省「障害者支援機器の活用ガイドブック」



表紙の画像は一般財団法人メルディアより引用しました。