体験記事「神奈川県ライトセンター」
先日、神奈川県ライトセンターで開催されたフロアバレーボールの大会、JFVAクラブ日本一決定戦に出場しました。
「いつか会場としてお世話になっている神奈川県ライトセンターを紹介しよう、紹介しよう」と思いながら…ここまできてしまいました。もう10年以上お世話になっているのに…。
ということで、今回は試合の合間に写真を撮らせていただき、遅まきながら、そして勝手ながらライトセンターさんを紹介していきたいと思います。
神奈川県ライトセンターとは
日本各地にある視覚障がいリハビリテーション施設の1つです。
1950(昭和25)年に日本赤十字社が点字図書愛の赤十字文庫」を創設して神奈川県内の盲学校に貸し出したこと、そして1965(昭和40)年に横浜赤十字病院敷地内に解説された「神奈川県点字図書館」が現在の神奈川県ライトセンターのはじまりだそうです。
神奈川県ライトセンターでは、視覚障がいに関する様々な事業に取り組まれています。
情報提供事業として点字や音声(デイジー)図書、雑誌の制作。
指導関連事業として視覚障がいに関わる相談や情報提供、そして白杖歩行、コミュニケーション、日常生活動作などの訓練。
ボランティア育成事業として、視覚障がい援助ボランティア入門講座や点字図書、録音図書制作、スポーツ&リラクゼーション、ITサポートなどの講座開催。
スポーツ振興事業として、体育館、プール、卓球室、トレーニングルーム、クライミングウォール、ジョギングコースなどの設備を生かした各種教室や、イベントなどの開催。
普及啓発事業として、視覚障がい者福祉教室や施設見学の開催、機関誌「ライトセンターだよりの発行、クラブ活動、交歓行事、用具の展示とあっせん。
などなど幅広い事業があります。ライトセンターの紹介をしていくと視覚障がいについていろいろ学べそうですね。
ちなみにクラブはたくさんあります。
このクラブの中にJFVAクラブ日本一決定戦にも参加しているライトセンター球技クラブや悟空倶楽部があるんですね。
ちなみにライトセンターのキャラクターはライトくんです。
(画像はライトセンターホームページより)
ライトセンターの場所
最寄駅は二俣川免許センター(神奈川県警察運転免許センター)のある相鉄二俣川駅です。
(画像は神奈川県ライトセンターホームページより)
視覚障がい者のための施設だけあり、駅からライトセンターまでの道には点字ブロックが(横断歩道にはエスコートゾーンが)敷設されています。
駅からはやや登り坂です…フロアバレーボールで溜まった足の疲労に厳しいです…。
坂を登っていくとライトセンターが見えてきます。
館内案内
では、そんなライトセンターの館内を紹介していきます。
1階
1階玄関から音声での案内があります。
そして入ってすぐ左側には白黒反転で見やすく点字付きの案内と触れる館内図があります。
見たことはないのですが、屋外にはグラウンドもあるようです。
玄関入って右側にはグッズやパンフレットが置いてある用具紹介コーナーがあります。
アレクサや視覚障がいスポーツであるゴールボールのボール、アイゴ、音声スケールや音声体重計、点字タイプライターなどいろいろな用具が並んでいて、試すこともできるそうです。
日本ライトハウス情報文化センターや点字図書館などもそうですが、こういう紹介コーナーを見ると、海外から用具を買い付けて紹介された本間一夫さんの本を思い出します。
1階には他にもアートギャラリーや所長室、事務室、休養室、ボランティア室、マッサージ室などがあります。
マッサージ室では、火曜から日曜の10時から17時に15分1000円で、あんま・はり・きゅうの治療を受けることができるそうです。
アートギャラリーには、触れる展示があります。みんぱくを思い出しました。
触る彫刻「地表よりー森の生物」や「手と手」は形だけでなく石や木のザラザラとツルツルの感触が楽しめます。
フロアバレーボールの大会中はここのギャラリーと向かいの休憩スペースがみんなの溜まり場になっています笑。
ボランティア室もあります。2階のところでも紹介しますが、点字図書や録音図書の制作にはたくさんのボランティアさんが関わられているんです。
そして1階奥にはフロアバレーボールの大会、JFVAクラブ日本一決定戦で熱い戦いが繰り広げられた体育館があります。フロアバレーボール界の巨頭、ライトセンター球技クラブのホームでもあります。暑い季節、エアコンが効いていて有り難かったです。
体育館の舞台上には、クライミングウォールがあります。
またこの体育館は全日本ブラインドダンス選手権の会場としても使用されているそうです。
屋外にはジョギングコースもあります。誘導ガイドロープを備えた1周110mのジョギングコースで、レーンと繋がっているロープを使うことで視覚障がいの方が1人で走れるよう工夫されています。
地下
地下にはプールやトレーニングルームがあるそうです。「視覚障がいの方がプール?」と思われるかもしれませんが、パラリンピックでも視覚障がいの水泳があるんですよ。
ただコロナ禍以降、プールは閉鎖されているそうで、見ることはできませんでした。プールは、25メートル×4レーンで、プールの内壁には衝撃吸収板、室内に吸音材を使用し、視覚障害者の安全な利用に考慮したつくりになっているそうです。
エアロビクスやトレーニング、ブラインドテニスなどの教室案内が掲示されていました。クラブ活動が盛んなんですね。
2階
2階への階段踊り場には、社交ダンスや詩吟、ブラインドスキーなどの案内が掲示されていました。盲学校時代のスキー実習を思い出します。
階段を上がってすぐの壁には点字と白黒反転で見やすい地図が掲示されています。
2階に上がってすぐのラウンジスペースには、拡大文字の図書や教科書が置かれていました。
2階にはたくさんの部屋があります。講習室は、大会のときは更衣室兼昼食場所として使用させていただきました。
和室、調理指導室、ITサポート室などは視覚障がいの方が生活のいろいろを練習される場所です。
和室を使って茶道クラブが行われているのでしょうか。
ITサポート室では、音声出力されるパソコンが設置され、ボランティアさんのサポートを受けられます。
県域ボランティア室は、神奈川県内の視覚障がい関係ボランティアの方が使用できる部屋で、点字プリンターも設置されているそうです。
点字校正室、製本作業室、点字製作室、点字印刷室、点字機材庫は、点字図書関係の部屋です。点字図書は現在はパソコン上で編集し、点字プリンターで印刷することが多いですが、当初から点訳奉仕活動として、現在も多くのボランティアさんに支えられています。
壁には点字図書の制作工程や、点字の歴史クイズ(ルイ・ブライユに関するクイズなど)が展示されていました。『ヤンキーくんと白杖ガール』のうおやまさんのサインもありましたよ!
音声データを編集し、音声録音図書を制作している編集室もあります。
視覚障がいスポーツのサウンドテーブルテニスの卓球台のある卓球室もありました。
トイレにも音声ガイドあります。
3階
長年お世話になっていますが、今回初めて3階に行きました。許可をいただき、写真を撮らせていただきました。
こちらにも点字と白黒反転で見やすい地図が掲示されています。
3階に上がってすぐラウンジがあり、録音図書などのオーディオを聞くことができます。
図書事務室は点字図書や録音図書の貸し出しをされています。ライトセンターにない書籍なども取り寄せて発送してくれます。
閲覧・資料室には点字毎日などの雑誌や点字図書がたくさん置かれていました。
対面朗読を受けることができる対面サービス室もあります。
奥には録音室スタジオもありました。録音図書の制作が行われている部屋です。
まとめ
僕自身が実際に見てきた神奈川県ライトセンターについて紹介しましたが…実はYouTubeでもライトセンターの紹介動画がアップされているんです。
またホームページには点字版、墨字版のライトセンターだよりなども掲載されています。そちらもぜひ覗いてみてください。施設見学も行われているようですよ。
ライトセンターについていろいろと紹介しましたが、施設やスポーツなど、視覚障がいの方のアレコレについてイメージできる部分もあったかと思います。関連する情報も紹介していますので、気になった方はリンク先も覗いてみてください。
そしてこの場を借りてですが、毎年JFVAクラブ日本一決定戦では大変お世話になっております。この紹介記事が何かに貢献できれば大変ありがたいです。今後とも神奈川県ライトセンター様よろしくお願いいたします。
表紙の画像は、記者が撮影した神奈川県ライトセンターの外観です。