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体験記事「日本ライトハウス展〜全国ロービジョンフェア2019〜」

今回は日本ライトハウス展〜全国ロービジョンフェア2019〜に参加した内容や感じたことを記事にまとめていきます。ここ数年、毎年参加していますが、毎年新たな発見があります。

場所は毎年、難波御堂筋ホールの7階と8階。大阪メトロなんば駅の13号出口から直結ですが、なんば駅の中改札を出たところからスタッフさんが立ち、誘導してくれます。

今回、感じたことは次の3つです。

①眼鏡型の視覚補助や活字読み上げなどのデバイスの進化
②スマホアプリ関係の出展と視覚障がい者へのスマホの浸透
③文書読み上げ器やプレックストークなど既存の機器とスマホの競合

3つのテーマそれぞれについてまとめていきたいと思います。

眼鏡型デバイスの進化について

まずは1つ目のテーマ、眼鏡型のデバイスの進化についてです。

数年前から眼鏡型のデバイスが展示されていました。が、当時は開発中や展示のみというものが多かったように思いますが、オーカムマイアイの来航に触発されたのか、販売されたり、昨日の進化、価格低下などが進んできているなぁと思いました。

眼鏡のデバイスで有名なのはイスラエル製のオーカムマイアイ2でしょうか。

(画像はORCAMより)

活字読み上げだけでなく、時計を見る仕草をすると時刻を教えてくれる、人の外見の情報(おおよその年齢や男女など)や登録すると名前も教えてくれるなど多くの機能が搭載されています。神戸アイセンター ビジョンパークでも展示されていましたが、今回は、ケージーエス株式会社、株式会社アイフレンズ、メガネの金剛など複数のブースで展示・販売・案内されていました。価格の約60万円がなんとかなってくれるとありがたいのですが…。

リモートアシストさんのカメラに映った映像を通してオペレーターとの会話で日常の困りごとを解決するサービスも頭部につける機器で眼鏡型のではないですが、これに似ているのかなと思います。こちらは月額5千円からです。

(画像はリモートアシストより)

活字読み上げデバイスとしては河野医科器機さんのオトングラス(OTON GLASS)もあります。眼鏡のJINSさんと提携したことでフレームなども改良されて量産体制ができ、バージョンアップ。価格も19万8千円まで下がったそうです。

(画像はTechWaveより)

視覚補助のデバイスとしては、QDレーザーさんの網膜走査型レーザーアイウェアがあります。デジタル画像を超小型プロジェクタから網膜に投影するアイウェア型の機器で、カメラでリアルタイムで撮影している画像と、パソコンやテレビなどの接続した機器の画面とを切り替えることができます。網膜機能の残っている方(網膜色素変成症などで一部機能が残っている方も含む)に有効です。価格は65万円だそうです。

(画像はQD LASERより)

HOYAの暗所支援眼鏡MW10も眼鏡型のデバイスです。低照度高感度カメラの映像を眼鏡型のディスプレイに投影する事で、夜盲の方でも暗いところを安全に歩行できるように開発されたもので、こちらは歩行時の最近歩行時の安全のため、広角レンズ切り替えの機能も追加されたそうです。価格は約40万円になります。

(画像はHOYAより)

これらの眼鏡型デバイスが、後で出てくるスマホも含めてどう競合していくのかが気になりますが、普及が進めば、価格も下がりさらに良いものに改良されていくことでしょう。現時点では日常生活用具の認定は、価格のために難しいかもしれないのですが…、購入者の負担が大きいからこそ、認定してほしいものです。

いずれにしても眼鏡型デバイスの今後が楽しみですね。


スマホアプリについて

続いては2つ目のテーマ、スマホアプリについて。

一昔前までは、視覚障がい者、特に全盲の方ははドコモのらくらくホンを使用というのが定番でしたが、若い世代の方からiPhoneに切り替える流れが広がり、僕の周りの年配に近い全盲の方も続々とiPhoneに続機種変更されています。それはVoiceOverなどの読み上げ機能や便利なアプリの広がりが大きいのかなと思います。

今回のライトハウス展でも、今まではあまり見かけなかったスマホアプリの展示が増え、ドコモのスマホ体験教室ブースは大盛況でした。

スマホアプリの展示は、入り口入ってすぐにNPOメディア・アクセス・サポートセンターさんのUDCastの体験コーナーがありました。映画館で音声ガイドや字幕を利用できるアプリです。ホームページには追加された映画タイトルを調べることができます。最新の映画も続々と追加されていますよ。無料のアプリです。

(画像はAppStoreより)

(画像はUDCastより)

株式会社コネクトドットのアプリ、ToT:Tag of Things ものタグは、例えばシャンプーとリンスの詰め替え用やドレッシングの種類ごとになどにタグを貼り付け、登録した内容を音声で読み上げてモノを識別するものです。無料のアプリです。

今回の展示は単なるモノの識別だけでなく、大阪教育大学の学生さんと連携して、地図や教科書などに貼ったタグの詳細説明を読み上げて確認できる新たな可能性を示されていました。

例として環状線の触地図には、駅名だけでなく乗り場情報が詳細説明につけられていました。また3Dプリンタで作成した昆虫模型のそれぞれの名前のところに貼ったタグに詳細説明をつけることで、自分で模型を触りながら音声を聞いて確認することができるようになっていました。

(画像はAppStoreより)

(画像は著者撮影より)

昨年も展示されていたのが、有限会社サイパックさんのボイスオブデイジー5です。スマホから直接サピエ図書館に繋ぎ、デイジーデータを検索、ダウンロードできるようになりました。価格は3,180円です。

(画像はAppStoreより)

株式会社Do it プランニング/ MD Siサポートさんのスマホやタブレットでの撮影位置の補助や拡大鏡代わりに使えるアイアイサポーターや、アイネットワーク有限会社さんのiPadを書写台とセットで拡大読書器として使える(iPadは取り外し可能)アイビジョンデジタルなどもスマホ関連機器になるでしょうか。

(画像はZAURUSより)

(画像は記者撮影より)

他にも便利なアプリはたくさんありますし、今後も視覚障がい者にスマホは広がっていくのでしょう。そうしたときに気になるのが、従来までの日常生活用具などとスマホの競合です。


既存の機器とスマホアプリの競合について

最後に3つ目のテーマ、既存の機器とスマホアプリの競合について。

据え置き型拡大読書器など画面の大きさが必要なものは別として、既存の機器に代わるアプリが次々に登場しています。

スマホのアプリでラジオも聴けるし、色や光、紙幣の識別、OCRでの文字認識と読み上げ、デイジーなどの録音再生など出来ることはどんどん増えています。

もちろん機能的には既存の機器の方に軍配が上がるのですが、価格や持ち運びやすさなどの利便性はスマホアプリの方が高い、その上、アプリの性能は年々上がっていきます。

特にアメディアのよむべえやのような活字文書読み上げ装置などアプリと競合する大型の製品はスマホにシェアを奪われていくかもしれないなと感じました。

企業側もそのようなことを考えているのでしょうか、株式会社日本テレソフトの音声読書器(活字文書読み上げ装置と拡大読書器の複合機)であるスマートリーダーHD、有限会社エクストラの携帯型OCRマルチプレイヤー(活字文書読み上げ装置とデイジー図書や音楽の再生、録音、ラジオ、カラーリーダーなど多彩な機能が付いたもの)のブレイズETなどスマホを意識したような複数機能を持ち持ち運びが容易な製品が新登場していたのも印象的でした。

(画像は記者撮影より)

以上、日本ライトハウス展〜全国ロービジョンフェア2019〜のに参加した感想をまとめた記事でした。


表紙の画像は日本ライトハウス展〜全国ロービジョンフェア2019〜のチラシから引用しました。