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『仮定法物語2』 仮定法過去完了篇

仮定法の時制を理解するための図

友「やあ、元気かい?」

僕「お、久しぶり!どうしたんだい?」

友「そろそろ『仮定法過去完了』を学ぼうかと思って。」

僕「お、いいね。」

友「じゃ、まずその前に、前の旅で習ったことをちょっとおさらい。」

僕「OK。」

友「『仮定法過去』とは何か述べよ。」

僕「現実では100%起こり得ないことを条件として提示し、その条件に対して、意見や判断、感想を述べた英文を『仮定法過去』と呼ぶ。」

友「正解!すごいぞ!」

僕「まっ、メモを読んだだけなんだけどね。」

-----僕の暗記メモ1-----

仮定法過去

現実では100%起こり得ないことを条件にする。        
     ↓
その条件に対して、意見・判断・感想を言う。

注釈: 「仮定」は、仮にある事柄を真であるとみなして、結論を導くための条件とする こと。(引用元:goo辞書)

「条件」は、ある物事が成立・実現するために必要な、または充分な事柄。(引用 元:goo辞書)

-----end-----

友「次の質問。なぜ『仮定法過去』と呼ぶ?」

僕「条件の部分と、意見・感想・判断の部分に過去形が使われているから。」

友「じゃ、なぜ過去形が使われている?」

僕「ええっと、英語の過去形と過去完了形は時間的な距離だけでなく、実は心理的な距離も表せる。そして......。」

友「そして?」

僕「英語では、というか、英語話者は、現実では100%起こり得ないことを仮定した時、その仮定した世界を、心理的に遠い場所としてとらえる。そして.......。」

友「そして?」

僕「心理的な遠さを表す為に、過去形を使う。よって、『仮定法過去』と呼
ぶ。」

友「まずまずの出来だね。」

-----僕の暗記メモ2-----

仮定法過去と呼ぶ理由

▶︎ 英語の過去形や過去完了形は時間的な距離だけでなく、心理的な距離も表す。 (この感覚は日本語の敬語、丁寧語、普通語の使い分けに似ていなくもない。)

▶︎ 英語では、現実では100%起こり得ないことを仮定した世界を、心理的に遠い場所として捉える。(日本語話者にはない感覚。)

▶︎ だから、心理的な遠さを出す為に、過去形を使う。

▶︎ よって、「仮定法過去」と呼ぶ。

-----end-----

友「次の質問。『仮定法過去』の英文はどうやって作る?」

僕「まず、100%起こり得ない条件と、その条件に対する意見や判断、感想を現実の世界の時制で考えて書きだしてみる。そして、それを『"仮定の世界"制作所』で、時制を過去に一個ずらす。」

友「例えば?」

僕「この暗記メモを見て。」

------僕の暗記メモ3-----

1.
まず、現実の世界の時制で作成
(★条件の内容は100%あり得ないこと)

条件:
If I have ten million yen,
(1,000万円あったら、)      
    ↓
判断・意見・感想:
I will start my own business.
(自分でビジネスを始めるだろう。)
I can start my own business.
(自分でビジネスを始めることができる。)
I may start my own business.
(自分でビジネスを始めるかもしれない。)

2.
『"仮定の世界"制作所』で、時制を過去に一つずらす。そして、元の英文を削除。

条件:
If I have ten million yen,
▶︎ If I had ten million yen,
(1,000万円あったら、)
    ↓
判断・意見・感想:
I will start my own business.
▶︎ I would start my own business.
(自分でビジネスを始めるだろう。)
I can start my own business.
▶︎ I could start my own business.
(自分でビジネスを始めることができる。)
I may start my own business.
▶︎ I might start my own business.
(自分でビジネスを始めるかもしれない。)

3.
できた文を組み合わせると(今回は'would'を採用):

If I had ten million yen, I would start my own business.

若しくは、

I would start my own business if I had ten million yen.

意味は:
もしも、1,000万円あったら、自分のビジネスを始めるのに。

-----end-----

友「上出来!」

僕「もう一つあるよ。」

------僕の暗記メモ4-----

1.
まず、現実の世界の時制で作成
(★内容は100%あり得ないこと)

条件:
If I am a billionaire,
(私は億万長者だったら、)      
    ↓
判断・意見・感想:
I will travel around the world.
(世界一周旅行をするだろう。)
I can travel around the world.
(世界一周旅行をすることができる。)
I may travel around the world.
(世界一周旅行をするかもしれない。)

2.
『"仮定の世界"制作所』で、時制を過去に一つずらす。そして、元の英文を削除。

条件:
If I am a billionaire,
▶︎ If I were a billionaire,
(私は億万長者だったら、)
(★ 'am'の過去形は'was'だが、仮定の世界では'were'が使われる。でも、'was'で も良い。僕は'I were'の響きが好きなので、'were'を使う。)
    ↓
判断・意見・感想:
I will travel around the world.
▶︎ I would travel around the world.
(世界一周旅行をするだろう。)
I can travel around the world.
▶︎ I could travel around the world.
(世界一周旅行をすることができる。)
I may travel around the world.
▶︎ I might travel around the world.
(世界一周旅行をするかもしれない。)

3. できた文を組み合わせると(今回は'could'を採用):

If I were a billionaire, I could travel around the world.

若しくは、

I could travel around the world if I were a billionaire.

意味:
もしも、億万長者だったら、世界一周旅行するのに。

-----end-----

友「『仮定法過去』は完璧だね。じゃあ、そろそろ『仮定法過去完了』を学ぼうか。」

僕「御意!ところで、『仮定法過去完了』ってどんな英文?」

友「君はこんな風に思ったことはないかい?『ああ、あの時、ああしてれば、あ
んなことにはならなかったのになあ。』」

僕「しょっちゅうある。俺の人生は後悔の連続なもんで。」

友「じゃ、『仮定法過去完了』は君のための表現だな。」

僕「ありがたいっす。」

友「『仮定法過去完了』の英文は、実際に過去に起こった事実に反する仮定の世界を表すのさ。条件の部分には過去の事実とは反対の内容がきて、残りの部分にはその条件に対する判断・意見・感想がくる。ほとんどの場合、願望や後悔や想像した内容がくるね。」

僕「難しいね。」

友「な〜に、以前と同じような雑記を作って、時制を一つ過去にずらすだけさ。取り敢えず俺の雑記を見てくれ。」

----友の雑記-----

▼ 日本語の過去の仮定

一生懸命勉強していたら、⬅︎ 過去の仮定を条件に設定する。
   ↓
試験に合格しただろう。   ⬅︎ 条件に対する判断・意見・感想など。
試験に合格できた。
試験に合格したかもしれない。
試験に合格するべきだった。

▼ 上記の文を英語に直訳

一生懸命勉強していたら、
「試験に合格した + たら、」にして直訳
I studied very hard + if
   ↓
試験に合格しただろう。        
「試験に合格した + だろう。」にして直訳
I passed the exam + would

試験に合格できた。︎ ︎︎                
「試験に合格した + できた。」にして直訳
I passed the exam + could

試験に合格したかもしれない。︎
「試験に合格した + かもしれない。」にして直訳
I passed the exam + might

試験に合格するべきだった。    
「試験に合格した + べきだった。」にして直訳
I passed the exam + should

-----end-----

僕「あれ?ちょっとおかしな日本語があるね。」

友「今回は、日本語を英語の構文に近づけて、それを元にして英文を作らないと、『"仮定の世界"制作所』の機械でうまく「仮定法過去完了」の文に変換されないのさ。」

僕「英語の構文と日本語の構文はずいぶん違うから、仕方ないよな。じゃあ、俺も雑記を作ってみるよ。」

----僕の雑記-----

▼ 日本語の過去の仮定

さっきトイレに行っていなかったら、⬅︎ 過去の仮定を条件に設定する。
   ↓
電車に間に合っただろう。   ⬅︎ 条件に対する判断・意見・感想など。
電車に間に合うことができた。
電車に間に合ったかもしれない。
電車に間に合うべきだった。

▼ 上記の文を英語に直訳

さっきトイレに行っていなかったら、
「さっきトイレに行かなかった + たら、」にして直訳
I did not go to the bathroom just now + if
   ↓
電車に間に合っただろう。        
「電車に間に合った + だろう。」にして直訳
I caught the train + would

電車に間に合うことができた。︎ ︎︎                
「電車に間に合った + できた。」にして直訳
I caught the train+ could

電車に間に合ったかもしれない。︎
「電車に間に合った + かもしれない。」にして直訳
I caught the train+ might

電車に間に合うべきだった。    
「電車に間に合った + べきだった。」にして直訳
I caught the train+ should

-----end-----

僕「これでいいかい?」

友「ああ、準備万端だ。じゃあ、『"仮定の世界"制作所』に出発!」

<『"仮定の世界"制作所』に到着。>

受付嬢「いらっしゃいませ。本日のご用件は?」

友「あ、はい。この雑記の時制を一つ過去にずらしてほしいのですが。それと、その後、『仮定法過去完了』に文の形にしていただけますか。」

受付嬢「承知致しました。今回はプロセスが複雑ですので、少々お時間を頂きます。」

友「わかりました。」

<受付嬢が製作所の奥に消え、1時間後、再び現れた。>

受付嬢「出来上がりましたので、ご確認ください。星(★)の文が最終的な英文でございます。また余計な文は消しておきました。ポイントもございますので、是非 お読みください。」

友「ありがとうございます。」

<僕らは製作所を出て、雑記を確認した。>

----出来上がった友の雑記-----

▼ 日本語の過去の仮定

一生懸命勉強していたら、⬅︎ 過去の仮定を条件に設定する。
   ↓
試験に合格しただろう。   ⬅︎ 条件に対する判断・意見・感想など。
試験に合格できた。
試験に合格したかもしれない。
試験に合格するべきだった。

▼ 上記の文を英語に直訳

一生懸命勉強していたら、
「試験に合格した + たら、」にして直訳
I studied very hard + if
I had studied bery hard + if ⬅︎ 過去完了形
★ If I had studied very hard, ★
(ポイント:過去形「studied」の一つ前の過去は過去完了形「had studied」になる。)
   ↓
試験に合格しただろう。        
「試験に合格した + だろう。」にして直訳
I passed the exam + would
I had passed the exam + would⬅︎ 過去完了形
★ I would have passed the exam. ★
(ポイント:過去形「passed」の一つ前の過去は過去完了形「had passed」になる。最後に「had」が「have」に変わるのは助動詞の後は原形という規則があるから。この「have」は「現在完了形」の「have」ではないので注意!)

試験に合格できた。︎ ︎︎                
「試験に合格した + できた。」にして直訳
I passed the exam + could
I had passed the exam + could
★ I could have passed the exam. ★

試験に合格したかもしれない。︎
「試験に合格した + かもしれない。」にして直訳
I passed the exam + might
I had passed the exam + might
★ I might have passed the exam. ★

試験に合格するべきだった。    
「試験に合格した + べきだった。」にして直訳
I passed the exam + should
I had passed the exam + should
★ I should have passed the exam. ★

-----end-----

友「見事な出来だ!」

僕「すごいね。」

友「じゃあ、早速組み合わせてみよう。
『 If I had studied very hard, I would have passed the exam. 』。訳は『一生 懸命していたら、試験に合格しだろう。』でもいいけど、『もしも、一生懸命勉強していたら、試験に合格していただろうのに。』とすると、より仮定の世界観 にふさわしいかな。」

僕「僕のも見てみよう。」

-----出来上がった僕の雑記-----

▼ 日本語の過去の仮定

さっきトイレに行っていなかったら、⬅︎ 過去の仮定を条件に設定する。
   ↓
電車に間に合っただろう。   ⬅︎ 条件に対する判断・意見・感想など。
電車に間に合うことができた。
電車に間に合ったかもしれない。
電車に間に合うべきだった。

▼ 上記の文を英語に直訳

さっきトイレに行っていなかったら、
「さっきトイレに行かなかった + たら、」にして直訳
I did not go to the bathroom just now + if
I had not goen to the bathrrom just now + if ⬅︎ 過去完了形
★ If I had not gone to the bathroom just now, ★
(ポイント:過去形「did not go」の一つ前の過去は過去完了形「had not  gone」になる。)
   ↓
電車に間に合っただろう。        
「電車に間に合った + だろう。」にして直訳
I caught the train + would
I hadcaught the train + would ⬅︎ 過去完了形
★ I would have caught the train. ★
(ポイント:過去形「passed」の一つ前の過去は過去完了形「had passed」になる。最後に「had」が「have」に変わるのは助動詞の後は原形という規則があるから。この「have」は「現在完了形」の「have」ではないので注意!)

電車に間に合うことができた。︎ ︎︎                
「電車に間に合った + できた。」にして直訳
I caught the train+ could
I had caught the train + could
★ I could have caught the train. ★

電車に間に合ったかもしれない。︎
「電車に間に合った + かもしれない。」にして直訳
I caught the train+ might
I had caught the train + might
★ I might have caught the train. ★

電車に間に合うべきだった。    
「電車に間に合った + べきだった。」にして直訳
I caught the train+ should
I had caught the train + should
★ I should have caught the train. ★

-----end-----

僕「組み合わせは今回は
『 If had not gone to the bathroom just now, I would have caught the train. 』で、訳は『もしも、さっきトイレに行っていなかったら、電車に間にあうこと ができたのに。』てな感じ?」

友「ブラボー。これで『仮定法過去』と『仮定法過去完了』の理解できたね。次は『仮定法未来』を学ぼう!」

僕「御意!」

<完>

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