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私の前世探究記【第八話】

前回のあらすじ:
チェコ旅行を断念したQ太郎は、これまでの体験記を出版する方向へ目的を変更する。
さっそく出版企画書を作成し、出版社へ応募したQ太郎なのであった。


【2023年4月某日】
企画書を送ってみたものの、どのくらいで結果が分かるのだろうか。
不安と期待の入り混じる日々を過ごすQ太郎であったが、ここ数日、妙な視線を感じるようになっていた。

それは家の外から来るものだった。
夜になると、誰かが家の外からQ太郎の部屋をじっと見ているような気配がするのだ。

しかし、外を見ても誰もいない。

いないのだが、気配はあるのだ。不思議だ。
そして、その気配には悪意やおそろしさは感じない。

そんな夜が数日つづいたある日、Q太郎は外に出て、気配の発生源のところへ行ってみたのだった。


真夜中であるが、僅かな街灯に照らされ、周囲はほんのり明るい。
人が居れば、確実に目視できるほどだ。

しかし人のいる気配はするものの、姿は見えない。

見えないのだが、その気配の主がどんな容姿なのかは分かるのが不思議だった。

小柄な、若い女性。黒髪で、メガネをかけている。
Q太郎が目の前に来ても気づいていない様子であるが、オドオドした雰囲気。

何かを探しているようにも見える。見えないのだが。

Q太郎は話しかけてみる。

「おーい。何かお探しもの?あなた、死んでる人じゃなさそうだね?迷子?身体にお帰りなさいよ。風邪ひくざますよ」

いろいろと言葉をかけるが、反応がない。
でも、怖くないので放置することにした。


【2023年4月某日から数日後】
右腕が痛むので、Q太郎はいつもの整体師さんの所へ行こうとしていた。
が、残念なことに、その日は予約がいっぱいで、入店することが出来なかった。

しかし右腕が酷く痛み、どうしてもマッサージをしてもらいたかったので、飛び込みで別のマッサージ店に行ってみることにした。

幸い、予約なしで入れるお店があったので、そこで腕を揉んでもらうことにした。

そのお店の担当の施術師さんを見て、Q太郎は驚いた。

小柄で黒髪で、メガネをかけた若い女性。

ここ数日、Q太郎の家の前に現れた気配の主のイメージと全く同じ人だったのだ。

右腕を揉んでもらいながら、思い切ってその事を告げてみた。

「初めましての人にこんなことを言うのはアレなんですが、私最近、お姉さんの生き霊を見たざます」

と言って、事の経緯をお姉さんに話した。ちなみに、お姉さんはYさんという名前だ。

「えっ。……うーん。初めてのお客さんにこんなことを言うのはアレなんですけど、私、この店を今日で辞めようかと思ってたんです。いろいろ考えちゃって。……私、生き霊を飛ばしちゃってたんですね!?」

Yさんは、Q太郎の話に興味を示してくれたようだ。

その流れで、Q太郎は前世占いのことや前世探究について、Yさんにベラベラと話すのだった。

「すごく面白いです!私、辞めるのやめます。Q太郎さん、また来てください。前世のお話、もっと聞きたいです!右腕も、もっとしっかり揉んであげたいです!」

なんだか分からないが、Yさんはお店をもう少し続けてみることにしたようであった。

【2023年5月初旬】
出版企画書の方は、どうやら落選したようだ。
応募して2ヶ月になるが、なんの音沙汰もないというのが答えだろう。
うーむ、残念。

【2023年5月某日】
Yさんのマッサージ店に行った。

「Q太郎さんの影響で、私も前世占いをしてもらうことにしたんです!」

Yさんは嬉しそうに言ってきた。

「ほう、なら、予言するざます。Yさんの前世は、私と関わりのあった人。温泉宿で働いていて、怪我をしたアレシュを薬草とかで看病した人。あとは、アレシュとは別の時代で、魔女狩りに遭ったこともあるかも。
これらが当たっているか確かめて来てちょ!」

Q太郎は、Yさんの前世について、なんとなく感じていたことを述べた。これがどのくらい当たっているのか。まぁお遊びである。

YさんはQ太郎の勧めもあり、R先生のところへ占ってもらいに行くそうだ。

結果が楽しみだ。


【2023年5月中旬】

「Q太郎さん!私の過去世はポンペイの温泉宿で働いてて、噴火にまきこまれて死んじゃったんですって!
そのあとは森で薬草を摘んだりしている女の人として生まれて、魔女として告発されて死んじゃったみたいです!
その次だか前だか分からないけど、アレシュさんとも関わっていたかもです!
Q太郎さんの予言ぜんぶ当たってました!」

Yさんのお店に行くと、Yさんははコーフン気味に、占いの結果をQ太郎に告げてきた。

いやいや、当たりすぎざます。

「ヒプノセラピー、私もやってみたいです!」

Yさんは、今度はヒプノセラピーにも興味を示した様子だった。

Yさんが能動的になって行く姿を見て、Q太郎も再びヒプノセラピーを受けてみたくなった。

そして、Yさんと二人で別々にヒプノセラピーを受け、どんなビジョンが見えたかを後日答え合わせしよう、という事にした。

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