見出し画像

私の前世探究記【第十話】

前回のあらすじ:
アレシュと同じ時代の前世を持つという女性と巡り会えたQ太郎。
そこで、二人で別々にヒプノセラピーを受け、見えたビジョンに共通点はあるのかという実験を試みる。果たしてその結果は……?


【2023年8月末】
Yさんと会うのも久しぶりのような気がする。
これまでに、お互い前世占いやヒプノセラピーを受け、それぞれの前世についての知見を広げてきた。

本日は、両者の答え合わせをするのだった。
Q太郎がヒプノセラピーで見たビジョンをもとにYさんに質問し、Yさんは前世占いの結果と、Yさん自身がヒプノセラピーで見たビジョンを合わせて答える、という形になる。

(以下台詞:Q太郎→Q    Yさん→Y   と表記)


Q「じゃあ、答え合わせね。アレシュの時代に、Yさんの前世はいた?」

Y「居た!」

Q「そのときのYさんの職業はパン屋さんだった?」

Y「パン屋さんだった!」

なんと。時代や職業は、Q太郎が見たビジョンとYさんのビジョンが一致したのだ!

Q太郎は答え合わせを続けた。

Q「そのパン屋さんは小さい間取りで、裏庭があった?」

Y「裏庭あった!」

Q「その裏庭で、ハーブ育ててたよね?」

Y「育ててた!」

Q「Yさんの前世は女性で、ちょっとふくよかな体型だった?」

Y「ふくよかだった!」

ここまでシンクロするのはすごい!
二人のワクワクは止まらない!

Q「住んでた町の名前は、ジェルノフだった?」

Y「違う!ヤロメルシって言われた!


なぬっ!?
ここまで順調に、Q太郎が見たビジョンとYさんの前世占いのビジョンが一致していたのに、住んでいた町の名前のところで初めて食い違いが現れた。

しかし、それもそのはず。
住んでいた町の名前を、Q太郎はそれまで調べた結果を元に「憶測」で言ったに過ぎなかったからだ。

しかしYさんは、実際の占いの結果として「ヤロメルシ」という具体的な町の名前をR先生から聞いてきたのである。

しかし、はて、ヤロメルシ?
チェコ語だとJaroměřと表記する。

スマホの地図で調べたところ、ヤロメルシの場所はアレシュの出身地である東ボヘミア地方だった!

そして、アレシュの生まれたジェルノフの、少し南に位置する。
ジェルノフと往来するのには、地理的にも辻褄の合う場所と言える。Q太郎の憶測はニアピン賞だったようだ。

そして、Q太郎はピンと来た。
R先生から聞いた「J」で始まる名前の町ってコレじゃないか、と!!

目を見開くQ太郎に対し、Yさんは言葉を続ける。


Y「それでね、R先生から、『このヤロメルシって町には、赤いステンドグラスが見えます』とか言われたんですけど、私には何のことやら。Q太郎さん、何か分かりますか?」

Yさんの言葉に、Q太郎はさらに鳥肌が立つ思いだった!

なぜならば、かつてQ太郎がR先生に占ってもらった際、「J」から始まる名前の町について、もう一つのヒントをもらっていたのである。

R先生いわく、「その町には『赤いステンドグラス』があるから、そこに行くと良いですよ。アレシュさんの魂が、そこで待ってます、と言っていますよ」

まさか!
Yさんの占いの結果なのに、Q太郎が訪れるべき町についての答えが出てしまったのである!

Q太郎は、このときのYさんとの答え合わせにより、自分が訪れるべきチェコの地名を確立させることが出来たのであった!

その後は、Yさんと二人で前世の頃の話をあれこれして盛り上がった。


【2023年9月初旬】
夢を見た。
チェコのお城か、もしくは雲の上の神殿か。
そんな場所で、Q太郎は歳上のお姉さんから、いろいろな勉強を教えてもらっていた。
その女性は美しい金髪で、姉か母親のような雰囲気だった。

すると、勉強の途中でQ太郎あてに来客があった。

中世ヨーロッパ風の服を着た、小太りの中年男性だ。

かぶっていた帽子を脱いで、恥ずかしそうに腹の前でモジモジさせている。心なしか上目遣いだ。

上目遣いの小太りのおやじは、Q太郎にこう言った。

「Q太郎さまがボヘミア王国についていろいろ調べてる、っていうのは、コッチ(霊界)で有名になっとります。
そこで、お恥ずかしながら、私の暮らした街についてもQ太郎さまに調べてほちいなぁ、と」

ほう。私のボヘミア研究が、霊界で有名とな!
気分を良くしたQ太郎は、その申し出を快く引き受けることにした。

小太りおやじは言う。
「私の街の名前は、フルディムです。」

フルディムね、あい分かった。けど、綴りが分からないな、と思っていると、家庭教師の女性がQ太郎に教えてくれる。

「Chrdimよ」

「おっけいおっけい。じゃあ、起きたら調べるね。」

そう言ったところで目が覚める。

綴りも覚えていたので、さっそく調べてみる。

フルディム。
東ボヘミア地方の都市、パルドビッツェのやや南。

フス戦争時の司祭「ペトル・フロマードカ」や、「マルティン・ルパーチ」のゆかりの地である。

ちなみにYさんの前世は、このマルティン・ルパーチの異母妹だった可能性がある。
歴史書に載らないのは、マルティン・ルパーチの父親(貴族)が町娘に手を出して産ませた、認知されない私生児だったからだ。

Yさんは生まれてすぐ孤児院に入れられ、成人後にヤロメルシのパン屋で働くようになった、というような流れのようだった。

夢に出てきた小太りのおやじは、マルティン・ルパーチではなく、フロマードカのイメージ。というか、そうであってほしい。

ルパーチは、もっとイケメンなのだ。
だって、史実では、あのヤン・ロキツァナの副官を務める人物であるのだから!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?