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初心に帰って「翻訳作業」の話

昔から、英語がとても苦手な私。

ですが、今はチェコ語の歴史書を「楽しく翻訳」しています。
どこをどう転ぶか分からない人生です。

翻訳といっても、スマホでバーっとコピーしてまとめてガーっと翻訳、というものより、やはり一語一語を手打ちで入力し、翻訳機にかけるのが楽しいです。

今回は私が翻訳する手順をどんなふうにしているのかを、少し紹介してみましょうか。


(゜∀゜)(゜3゜)(゜∀゜)

まず、スマホかパソコンのGoogle検索で、調べたいものについてのワードを入力します。

フス戦争について知りたいときは、日本語よりもチェコ語のほうがより多くの資料を探し出すことができます。

例えば「Krčín」という地名を調べたいときは、「Historie obec Krčín」などと入力すると、クルチーンの歴史について書かれた資料が多数ヒットします。

歴史と言っても、石器時代の頃からの情報さえ書いてあるページもありますので、私の知りたい時代である1400年代の数字が書いてあるかどうかをチェックします。

フス戦争はだいたい1419年の前後に騒乱が起きますから、その数字を探し出せればだいたいはフス戦争についてのことが書いてあります。
チェコ語では1419年を「roku 1419」とか、「r.1419」と表記するので、それを探します。アルファベットの中の数字は目立つので助かります。

お目当ての時代の資料を見つけたら、今度はその全文を軽く流し読みしてみます。

その文章の中に書いてある「人名」を探し出すのです。

Beneš Krčínský z Rýzmburkaなどという名前が出てきたら、その周辺を詳しく読んでみます。
当然、私はチェコ語をあまり知りませんので、この時点では何が書いてあるのかはちんぷんかんぷんです。

が、年数や名前、地名の組み合わせにより、だいたい何について書いてあるのか推測することができます。

アレシュの人生について調べていくには、その家名の「リーズンブルク」を調べなくてはなりません。
ですが、注意しなければならないのは、リーズンブルク家の男の名前が、だいたいどれも「ベネシュ」か「アレシュ」ばかりなのです。

おじいちゃん→アレシュ
おとうさん→アレシュ
本人→アレシュ
息子A→アレシュ
息子B→アレシュ

リーズンブルク家はマジでこれでした。

ともあれ、人名が出現したら、その周辺にある地名と年数を探し出します。
この3つが揃えば、そのページに何が描かれているのかが分かります。これは5年におよぶ私の研究のたまものです。

そのページの出来事をある程度予測すれば、無駄な翻訳をせずに要点のみ抽出できるのです。

以前、私は資料の最初から闇雲に翻訳をし、その文章をある程度翻訳したあとに、それが歴史書ではなく映画のシナリオだったことに気づいた、という経験をしたことがありました。

翻訳の途中で、変だなと思うことが多々あったんです。
戦闘が起きた年数が違うし、何よりもストーリーが出来すぎていました。

だって、敵のお姫様だか婚約者と主人公が密会して恋に落ち、敵側の情報をお姫様がリークするだなんて。
その機密が「ボヘミア王を暗殺し、王位を奪う」というものでした。

その時点で「あ、これは歴史書じゃないな」と気づいてがっかりしました。いかにも映画にありがちな、安っぽいストーリーですよ。

そこまで翻訳するのに3日ほどかかりました。


私の右手には使用限度があるので、その範囲内でしか作業を進めることができません。
貴重な使用限度を消費するのだから、無駄なところを翻訳している暇などないのですが、まんまと3日を無駄にしてしまいました(笑)。

なのでそれ以来、私は翻訳のやり方に工夫を重ね、資料の中の重要事項を見極めてそこだけを翻訳するという方法にたどりついたというわけです。

あと、やっぱり数をこなすのって良いですね。
たくさんのチェコ語の記事を読んで来ましたので、このごろはその良し悪しすら分かるようになってきました。

文章が上手い人が書いたものは翻訳しやすい。
史実とは異なる自説ばかりをアピールする論文は、翻訳しにくかった。

中には、非常に文学的な表現をする著者もいて感嘆した。

やる気のない卒論も読んだ(笑)。

古いチェコ語で、現在は使われなくなったような言葉も翻訳した。

(゜∀゜)
ふはははははは!

大学教授レベルの研究をしとるんじゃないかしら、私。

良いですね、あれほどコンプレックスだったアルファベットが、今では私の自信となってくれています。


本当に、どう転ぶか分からない人生は、素敵でありますな。


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