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おしゃれは我慢、してもしなくてもいい

わたしの母は、おしゃれが大好きだ。
それはかなり前からのことだそうで、母が20代のころなどはファッション雑誌のモデルさんの着こなしに憧れては、ページに小さく添えられたブランド名などの情報を頼りに同じものを買いに走ったほど。

そんな母の口癖のひとつが「おしゃれは我慢よ」だった。

いわく、季節を先取りすることが大切で、まだ肌寒くても春物を着て、まだ暑さが残ってても秋物のニットをまとう、そんな努力も必要なのだと。場面に合ったものを着ることも大事で、多少着心地が悪くても見栄えを優先することもあるのだと。

そういわれて育ったわたしも、素敵に見えるには多少の我慢も必要だと考えるようになっていた。我慢してこそ、がんばってこそおしゃれになれると思っていた。

ところが時代は移り、「ラクな服」「エフォートレス」がもてはやされるようになる。そこへさらにこの数年の外出自粛やリモートワークで、誰かに見られるものとして身だしなみを捉えることが少なくなっていった。

毎朝の仕事モードへの切り替えに役立っていた洋服選びもメイクの作業も、無意味に感じて面倒になった。
かといって、ファッションやメイクを楽しみたいわたしとしては、毎日同じようなものばかり身につけていると飽きて、ますますつまらなくなってしまう。

「自分が着たいものを着ればいい」という、当たり前にも思える考え方に落ち着いたのはごく最近のこと。
今の、この時を生きるわたしには、自分が心地よく過ごすことを大切にするのがしっくりくる。自分の着たい服を着て、その日の状況に合わせたメイクをする。そんなマイペースさがちょうどいい。

ちなみに、冒頭に紹介した母もまた、我慢はあまりしなくなったようだ。
それでも相変わらず、自分がわくわくする服を毎日選ぶことは楽しんでいる。

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