学習データセットの相場ですが、デルタもんのケースで解説します。
デルタもんのLoRA学習データセットを作るのにかかった費用の計算をしてみたんですよ。面白いですよ。
まず、デルタもんのキャラクターデザインですね。デジタル画像2枚とアナログ1枚で20万円かかったんです。デザインの試行錯誤に1か月くらいかかりましたね。
それから、デルタもんのVRM 3Dモデル制作。これが50万円でした。モデルだけなら20~30万円くらいなんですけどね。
デルタもんのLoRAは3D出力40枚を手描き修正しているんです。1枚の作画時間が1時間で、最低時給でも4万円以上かかります。人によっては10万円くらいになるかもしれません。手描きアニメのように中国に出すと安くなるかもしれませんが、40枚だと少なすぎて書いてくれないんですよね。
デルタもんは顔のアップをLoRAに入れていないので、顔やポーズなどを追加すると100枚くらい描くのが理想だと思います。
結局、100万円までは行きませんが、1キャラクターのLoRAをゼロから作成するのに50万~80万円の原価がかかるんです。複数キャラクターとなると、かなりの金額になりますね。漫画家さん一人の1作品のデータセットなら、軽く数百万になるでしょう。
前から言っているんですが、データセット作成の仕事はけっこう大きいビジネスになると思います。これに加えて、関連する商品の売り上げから数パーセントもらう契約なども可能になるんじゃないでしょうか。
AIにハルシネーションが多くて、商用の安定度が低い状態なので、まだこういったビジネスは広まっていません。でも、学習データセットの作成自体は、今スタートしておいても、AIの進化によってさらに学習精度が上がっていくだけなので、早すぎることはないんですよ。
LoRAに100枚も手描きしなくていいじゃん?って思う人もいると思います。でも、実際にやってみてわかったのは、AIは苦手な角度が多くて、3Dをベースにして普通絵描きが書かないような角度を学習させないと、似たような構図しか描けなくなるんです。
実は、デルタもんはこういったビジネスモデルの実験でもあるんですよ。
みんなが大騒ぎしている、パクってきた絵で作ったレベルのLoRAは、雰囲気が似ているだけで仕事に使えるほどの精度はありません。
それから、LoRAを業務レベルで運用するには、絶対に3Dモデルが必要なんです。3Dモデルがないと、出すたびに身長とかが変わって安定しないんですよ。3Dモデルを手書き風に変更するためにLoRAを使うのが、業務での標準的な運用方法になるでしょうね。
CN-anytestが登場して、3Dモデルを手描きのLoRAに置き換える精度が爆上がりしたので、近いうちに商用で広まると思います。
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