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著名建築家ホテル⑤ ザ・プリンス京都宝ヶ池

ホテルに泊まるために生きていると言っても過言ではない私ですが、ホテル誕生秘話や裏話なんかを知るのはホテルに泊まるより好きかもしれない!というわけで今回は、そんな素敵なエピソードがたくさん詰まったホテルについて。

ザ・プリンス京都宝ヶ池(1986年開業)

その昔、京都宝ヶ池プリンスホテルだった頃に初めて訪れて、郊外だけに客室が広いところも、散歩が楽しめる宝ヶ池公園に近い(名前の通り池があるのも嬉!)ところも、そしてもちろん村野藤吾さんが亡くなる直前まで関わられていたという建築も全部合わせて、好きになったホテル。

その後、グランドプリンス京都になっていて、確かに!部屋の広さやどっしりした建築を考えてもグランドシリーズとして引けをとらないよなぁ〜、なんて思っていたらザ・プリになっちゃって。

ここにホテルを建設するという話になったとき、京都の他ホテルのオーナーの方々は及び腰だったそうで。そりゃそうだよね、サミット開催のために各国首脳が滞在できるレベルのものを作らなきゃいけないという条件があったうえに、サミットが終わればこんな立地に豪華なハコがポツンと取り残されることになる・・。

なかなか手を挙げる人がいない中、京都の政財界重鎮たちからお願いされた堤さんが「採算度外視で協力しましょう」と応えて実現したホテルだとか。ダンディズム!カッコ良い!まあ堤さんに関しては一点の陰りもないとは言えないのかもしれませんが、ホテルに関するエピソードには素敵なものがたくさん✨

さて、そんなザ・プリ宝ヶ池のお気に入り鑑賞スポットはみっつ。

メインエントランスを入ってすぐ左手にあるシャンデリア柱✨ 地下2階からの吹き抜けに立つ柱と、間近で見られるシャンデリアにまず嘆息。

お次はレストランいと桜に向かう途中にあるエレベーターホール。そこの窓から中庭を眺めて、円形の建物を鑑賞✨ これももちろんやりますが、お目当てはエレベーターの扉に埋め込まれたアコヤ貝箱根プリンスのロビーラウンジで伏線回収するために間近で見ておく。

そして最後に茶寮前の池。紅葉の時期なんて本当に最高✨ 鯉が泳ぐ濃い緑の池の向こうに見える数寄屋造り色づく紅葉、いつか必ずここでお食事しよう!と目論んでいる食事処(トップの写真がその茶寮)。金に糸目をつけぬなら、舞妓さんを呼んだり有名な料亭から食事を運んでもらったり、京都の粋な遊びができる✨

ちなみにホテルが8階建てなのは、サミット招致の名残り。各階にひとつずつスイートルームを設けてG7の各国首脳が泊まるときそれぞれの国にワンフロアずつ提供するため。これって逆に「あいつは俺より上階に泊まっていやがる」なんて言われたりしないのかな?って心配になったけど、結局、そのためにと言われていたサミット招致は失敗に終わったらしいから、杞憂でしたね😂 

そして、このホテル、村野藤吾さん建築として有名だけど、実は建設真っ只中に亡くなられていて。建築の規制が厳しい土地なうえ、サミット招致のため先述した条件なんかもあって(おまけにサミット開催に合わせて完成させていなきゃいけない)、いくつもの案が並行して検討されていた中でのボスの急逝。なんとか遺志を引き継ごうと、お弟子さんたちが四苦八苦された末に完成したんですって。

もし最後まで村野藤吾さんご本人が監修されていたら、あるいは違ったものになっていたのかもしれない。始めから終わりまで監修された箱根プリンス(現:ザ・プリ箱根芦ノ湖)と比べて見ちゃう。それが現建築より良くなったとか悪くなったとかそういうことではなくて、ただ、違ったものになった可能性があるということが、一層このホテルを唯一無二にしている気がするんですよね✨


・トップの写真は公式サイトのものを利用しています

新たな視点がもてたり、世界が広がったり、楽しい気持ちになりますように・・✨