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愛しの空

たぶん、そこからも見えるんじゃないかな?

と、とても幻想的な空の写真が送られてきた。

西向きの窓がないので
スマホだけを手に持って急いで外へ出ると
ディスプレイに表示されている空と
同じ空が目の前に広がっていて
思わず「うわ…」と声が出てしまった。

色や形が変わらないうちに
慌てて写真を撮り、返信をして
美しい空に引き寄せられるように
少し見通しがよい場所へ移動した。

離れた場所にいて
同じ月や星、太陽を見ることは
難しいことではないけれど
刻々と変わる色合いや形の雲を
離れた場所に居ながらも同時に眺められることは
言葉にできないほどに倖せで
胸がいっぱいになった。

夕方で、交通量は多かったけれど
人通りはほとんどなく
誰も見ていないのをよいことに
目の前に広がる景色のすべてを
自分に取り込むべく
何度も、何度も、深呼吸をして
夏の名残のような空を抱きしめた。

前にも後ろにも
右にも左にも
当然ながら、上にも下にも
誰もいないのに
一日のエンドロールを
一緒に眺めているような気持ちで
泣きそうになった。
てか、泣いた。

でも、美しい景色が滲んでしまうから
溢れてくる涙を袖口でをぬぐって
夜がじわじわと空を染め
マジックアワーが消えていく様を
暫くの間、眺めていた。

遅寝、早起きだったり
釣りにハマっていたり
夕方前に出勤して
明け方に終わる仕事に就いていたりしたので
もしかしたら、人よりも多く
朝焼けや夕焼けを眺めているかもしれないが
目の前に広がる愛しい"イマ"の空を
一生、忘れたくないと
強く想った。

スマホのカメラではなく
せめてコンデジで撮ればよかったな…と
少しだけ後悔したけれど
心の瞳で見て、感じて
記憶と心にしっかりと刻み込んで
My Bestを更新した。

いつか、My Bestを更新するような
朝焼けや夕焼けに遭遇するかもしれないけれど
そのときは
自分から、今の空を見て!って言おう。

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