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結局のところは、なんだったんだろう

スマホに保存してある写真を整理していて
ふと、思い出した不思議なこと。

2年前の8月
4日間のイベントの仕事先は都内。
おもいっきり通勤圏内ではあるが
朝早く、終業の目処が立たないような
そこそこハードなスケジュールだった。
自宅から最寄り駅まではバスを使っているのだが
バスが走っていない時間の移動で
タクシー代も往復になり割増料金だったら
そこそこの額になる。
仕事先の近場はさすがに高いだろうな、と
思いつつも、ダメもとで宿を探してみた。
オリンピックに合わせて開業したばかりの
観光客向けの小洒落たビジネスホテルが
オリンピックが延期になり
お盆休み期間だというのに
通常よりもかなりお安くなっていた。
東京の中心で、3泊しても1万円でお釣りがきて
そのお釣りを食事代に充てられるほどだった。
往復のタクシー代と同じくらいの額なので
泊まりで経費を落とせるかの確認を取り
いそいそと予約を取った。

新築の匂いが残るほど、どこもかしこも真新しく
いろいろと制限のある時期でもあったので
観光客はまったくおらず、静かで、過ごしやすい
とても居心地のよいホテルだった。

最終日は16時から搬出なので
明るいうちに仕事が終わる。
帰ったら、少し遅いお盆休みだ!と
帰宅後に洗濯をしなくてもよいように
館内のランドリーで洗濯物を済ませ
荷物をまとめて、ベッドに潜り込んだ。

午前3時頃
右手をグッと掴まれて
引っ張られるような感覚で目が覚めた。
攣ったのか?と、寝惚けながら
掌を開いたり握ったりしてみたが
何ともなかったので気にせずに、また、眠った。

朝、目が覚めて、まず眼鏡をかけて
テーブルの上に置いていた煙草に手を伸ばして
右手の甲についた、くっきりした痣のような
赤くなった痕に気づいた。
煙草を吸いながら、押しても痛くないし
何だろう?と、ぼんやりと考えているうちに
そういえば、夜中に手を掴まれて
引っ張られたような気がして目が覚めたな…と
思い出した。
自分で掴んでいたのかと
左手で右手を掴んでみたが
どうやっても痕が付くほど
強く掴める位置ではなかった。
圧迫されていたなら
痺れや、圧迫する何かがあるはずだが
寝巻き代わりの服にはボタンすらなく
思い当たる物が何もない。

ふと、スマホを見たら、8月16日だった。
出がけに、迎え火は焚いてきたが
ずっと留守にしていたから
留守番に飽きたんだろう。
何時に帰れるかは、わからないけど
そんなに遅くはならないから
ちゃんと送り火も焚くよ、と
右手の甲の痕をさすってみた。
まぁ、お盆だし、こういうこともあるよな…と
そのまま、仕事に向かう支度を始めた。

チェックアウトをする前あたりまでは
くっきりと痕は残ったままだったが
5分ほど歩いて仕事先に着いたときには
跡形もなく消えていた。

庭のないマンション暮らしなので
迎え火も送り火もベランダで
アロマキャンドルを焚いている。
そんな型破りなスタイルでも
しょうがないな…と許してくれているはずなのに
いったい何を訴えていたんだろう。

金縛りにあったわけではないし
自分に縁のある故人がしたと思い込んでいたが
真相はなんの仕業なのか
未だに、まったくわかっていない。

いったい、あれはなんだったんだろう?

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