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定期的に聴きたくなる曲 018

洋楽が続いたので、邦楽からも1曲。
日本のバンドで一番最初に惹かれたのは
RC サクセション。
RC サクセションというより
忌野清志郎という存在に鷲掴みにされた。

父がスネークマンショーが好きで
家にいるときによく聞いていて
シニカルというかラジカルというか
内容はよくわからなかったが
自然とYMOを知った。

深夜か早朝のいろいろなPVを流す天気予報か
TVKのいろいろなPVを流す番組で
YMOで見たことのある坂本龍一と
濃い化粧をした男が意味不明な映像の中で
い・け・な・いルージュマジックを歌っていた。
三千万円分のお札、紅白幕に棺桶、学生服に軍服
最後には、手錠に繋がれた二人がキスをする。
ものすごい衝撃を受けた。
忌野清志郎に鷲掴みにされた瞬間だ。

PVはものすごく好きだが
楽曲は商業的で、嫌いではないけれど
何度も聴きたくなるほど好きではない。

忌野清志郎をたどってRCに着地し、そこから
THE TIMERS、HIS、Little Screaming Revue
ラフィータフィー、スパイスマーケット
時代の流れを泳ぐように
いろいろなユニットで愉しませてくれた。
好きな曲はありすぎて、正直、選びきれないが
必ず欠かすことなく聴いている曲が1曲だけある。

▶︎定期的に聴きたくなる曲 018
不思議/RC サクセション

ラテンっぽいリズムに
韻を楽しむような意味深な歌詞。
聴くたびに、違う状況を想像できて
いろんな意味にとれる、癖になる曲。
メジャーな曲やメッセージ性の強い曲の中で
地味な部類に入るかもしれないけど
初めて受けた忌野清志郎の印象をそのままで
タイトル通り、不思議なのだ。

スパイスマーケットのライブに行ったとき
"時よ止まれ 君は美しい!"という曲の始まりに
清志郎が胸ポケットに挿していたバラを
客席に投げた。
バラは頬をかすめて、自分よりも後方へ落ちたが
一瞬の、頬に当たった小さな小さな感触と
青っぽい香りが忘れられない。

ロックンロール葬で発射された
キラキラのテープは小さなケースに入れて
心の中の清志郎と共に
ずっとお守りにしている。

強い衝撃を受け
忘れられないからかもしれないが
い・け・な・いルージュマジックのPVの最後
手錠で繋がれた二人のキスは
どの映画よりも、どのドラマよりも
美しいキスシーンだと思っている。
まったく必要性がないからこその耽美と
いけないものを見てしまったような背徳感。
あの美しさは色褪せることなく
それはそれは、たまらんのですよ。

観光地のお寺にある歴史上の人物のお墓は
修学旅行で行ったような記憶があるが
自らの意思で
親しい人以外のお墓参りに行くのは
清志郎さんのお墓だけかもしれない。
そこそこ急な坂道を、息を上げながらのぼって
ちょこんと座ったヒトハタウサギと
直筆で彫られた墓石を前にすると
とてもピースフルな愛を感じる。

──ああこの街で会えるなんて不思議──



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