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食の確保の選択肢を増やす取り組み

2021年秋に江津市内で営業していたある移動販売車が業務を終了しました。人口の少ない地域であるため効率の良い運営は難しいと思われるので、これは仕方のないことだと思います。ただデイサービスの玄関に来てくれる移動販売車を楽しみに待っている利用者さんは多く、「今日は何がある?」と話をしながら買い物している様子を見ていたので、終了の決定は残念でした。江津市の東部地区はお店が少ないため、まとまった買い物をしようとすると市内中部に行く必要があります。公共交通機関を便利に利用できる地域ではないため、車を持っていなければ買い物には苦労します。そんな地域だからこそ高齢者に人気のあった移動販売車の存在は大きかったわけです。

◯商品を見ながら買い物をする楽しさ

ただ単に必要な物を手に入れるのであれば配達サービスでもいいかもしれません。事前に必要なものを注文しておき、それを届けてもらう方法です。でも移動販売車で楽しそうに買い物をしている人を見ていると、実際の商品を見ながら何を買うかを決めることに楽しさを感じておられるように思います。お店の人との会話も大事な要素です。なのでお店に行くことができなくても、お店に行ったのと同じような感覚で買い物ができる環境を作るにはどうすればいいのかを、この頃から具体的に考え始めました。

◯食の確保の選択肢を増やす

買い物と考えるとかなり大きな話になってしまうため、まずは食の確保の選択肢を増やすことから考えることにしました。思いつくのは、食料品の配達サービス、食料品の移動販売、食事の配達、調理を支援するサービスで、その中で法人が既に行っているのはヘルパーによる調理支援や買い物代行、配食サービスの弁当の配達です。でもサービスを利用するためには介護認定を受けていないといけないとか、市の決めた項目に該当しないといけないとか、誰でも簡単に利用できるものではありません。社会福祉法人が福祉事業としてできる範囲は限られているため、福祉事業ではない形で何かを始めるか、既に営業している違う事業者と協力するか、そんなことを考える必要があります。まあゆっくりと、いろんなことを試してみることにしました。ヘルパーステーションで介護保険外の仕事もできるようなルールを定めたり、独自に配達する弁当「はなはな弁当」の見直しを行ったりと、ちょこちょこと動いていることはあるんですが、その辺はもう少し形ができてきてから紹介します。

◯キッチンカーに来てもらう

昨年10月には、キッチンカーに来てもらって夕食の一品を販売してもらいました。夕方に職場へ来てもらい、職員のための販売をしてもらい、どのくらいの需要があるかを掴むことが目的です。デイサービスの利用者さんや、もっと広く地域の人のためにもやってみたかったんですが、まずは職員を対象にするところからやってみることにしました。もっとシンプルにいうと、仕事が終わった後にたまには職場で夕食を買って帰ることができたら楽だよなあとか、わざわざスーパーまで行かなくても地元で夕食が買えたら楽だよなあとか、一人で暮らしている人も近くで一人分の食事を買えたら楽だよなあとか、そんな単純な発想です。それを自分たちでもできるようにするのは今後のこととして、まずは外部に頼るやり方をやってみることに。

◯今回は「ひなた食堂ますや」さん

来てもらったのは「ひなた食堂ますや」さんです。

今回は事前注文のみを主としたんですが、かなりたくさんの注文がありました。それとは別に当日の購入もあり、なかなかの盛況ぶりでした。毎日だとここまでのニーズはないでしょうが、たまに実施するくらいだと買って帰る人はいると思います。

今回の対象は職員でしたが、このニーズを考えるとデイサービスの利用者さんや地域の人を対象として実施しても利用する人はいるでしょう。「ひなた食堂ますや」さん以外にもいろんなお店の人に来てもらうことも考えられますし、自分たちで何かを提供することだって可能そうです。まだまだできることはありそうです。またおもしろそうなことがあれば試してみて、次につながることを見つける取り組みを継続していきます。

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