研究者と協働する場を大切にしたい
保育に関係するいろんな分野で活動されている方のお話を聞かせてもらう「この人の話が聞きたい!」シリーズの第4弾を行いました。お話をしてくれたのはNTTコミュニケーション科学基礎研究所の小林さん、樋口さん、篠原さん、渡邉さんです。
お話してもらった内容は以下の通りです。
・NTTコミュニケーション科学基礎研究所の紹介
・年長児はどの程度ひらがなを読めるか
・子どもが描いた絵から親密さを把握する
・こころキューブを用いた感情教育の実践
NTTコミュニケーション科学基礎研究所のみなさんは、子どもの発達に焦点を当て、科学的に調査して育ちをサポートしていきたい考えておられます。その目的のために行ってきた活動の報告でした。
年長児はどの程度ひらがなを読めるか
「年長児はどの程度ひらがなを読めるか」の調査は1967年以降ほとんど行われおらず、現在の子どもの調査を少しずつ行っていきたいとのことでした。
調査の結果、ひらなが読みの習得には地域差があるようだということが見えてきたんですが、それが何によるものかはまだ分かっていません。地域によって教育スタイルや教育風土が違っていることが影響しているのでは?といった仮説も説明されました。地域によって子どもが活動する地域内にどれだけの文字が溢れているか(看板など)も影響している可能性もありそうだと、個人的には考えていたりします。
子どもが描いた絵から親密さを把握する
「子どもが描いた絵から親密さを把握する」では、自分と友達の絵を描いたとき、親密な相手ほど絵に描かれる自分と友達の距離も近くなるのではないかという調査の報告がありました。
親密さが高いほど近くには描きそうだよなとは思っていましたが、実際に描いた絵を見るとその通りだとはっきり分かりました。また、親密な関係だと大人は思っていたけど、絵に描くとそんなに近くなかった、もしかすると親密度はそんなに高くないのかもしれないと、子どものことを違った目で見るきっかけにもなったという現場からの声があったのは興味深かったです。
こころキューブを用いた感情教育の実践
「こころキューブを用いた感情教育の実践」では、自分では理解しにくく表現しにくい感情を「こころキューブ」を使うことでそれが容易になっていった結果報告を聞きました。自分の感情を理解する、自分の感情を人に伝えるといったことはおそらくどんな保育園でも大事にしていて、それをサポートしてくれるこころキューブは保育現場で活用しやすく、子どもの気持ちを楽にしてくれるものだと思います。
研究者との協働は大事
以上の話を聞かせてもらったわけですが、保育者と研究者は互いの知見を交換しあった方がいい!と強く思いました。いろんな大人が多様な見方をした方が子ども理解は進みやすいです。最近は「(保育者)みんなで(子ども)みんなを見ることを大切にしています」と話される園長先生に出会う率が上がっていて、複数の保育者が一人の子どもに関われるように工夫している話をよく聞きます。そこに保育者とはまた違った視点を持った研究者の視点が入ることで、子どもをより多面的に見ることができるようになるはずです。保育者と研究者が同じテーブルで議論する機会、協働する機会はできるだけ多く作っていきたいと再確認できた、とてもいい時間になりました。
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